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世界は経営でできている

"人類史における本来の経営は『価値想像という共通の目的に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げるさまざまな対立を解消して、豊かな共同体を創り上げること』だったはずだ"2024年発刊の本書は『これまで読んだ中で最高の(令和冷笑体)エッセイ』

個人的には著者の『日本企業はなぜ『強み』を捨てるのか』も面白かったことから本書も手にとりました。

さて、そんな本書は自衛隊を経て、現在は『東大史上初の経営学博士』にして平成生まれの慶大准教授として活躍する著者が、経営を『企業のお金儲け』と安易に同一視するのは間違いであると指摘。本来の経営は『価値想像という共通の目的に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げるさまざまな対立を解消して、豊かな共同体を創り上げること』であるべきで、そうした概念下では【誰もが人生経営の当事者となる】と、既存の文芸、映画、哲学書等のパロディ的な節題、豊富な引用を下敷きに、家庭や恋愛、勉強や就活、仕事や芸術といったありふれた日常生活で悩みや関心のタネとなる15のテーマについて。"笑えるなら暇つぶしに、笑えなければ現代社会では希少な静寂の時間が得られる"と独立して読める構成になったエッセイなのですが。

いやあ。ビジネス版"森見登美彦"ともいうべきか、著者自身の自虐ネタを散りばめつつも、日常的にあるある的な話題の眺め方を論理的に指摘していて面白かった。

また拝金主義、そうした流れで経営=効率的なお金儲けとでも決めつけた粗悪な"経営本"が書店に積み上がっている中、ビジネスパーソンの1人として。本書の視点は熱苦しさというより、清涼感に満ちていて素晴らしく感じました。

気軽に読める日常系エッセイとして、またお金儲けが全てになってしまっている全てのビジネスパーソンに届いたら。。いいなとオススメ。

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