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古本食堂
"本を指先で引き出して順番を変えたり、コツコツ小さな音を立てながらいつも本を触っていた(中略)覚えておくといい、本は『触れると売れる』って言うんだよ"2022年発刊の本書は古書と食が溢れる神保町、そこにある小さな古書店を舞台にしたハートフルドラマ。
個人的には古本屋でもあるので、興味を惹かれて手にしました。
さて、そんな本書は東京の神田町神保町で小さな古書店『鷹島古書店』を営んでいた兄の滋郎が急逝、お店を引き継ぐために北海道は帯広から出てきた珊瑚(さんご)そして彼女の手伝いをする国文科の大学院生の美希喜(みさき)を語り部に、第一話から最終話までビーフカレーやピロシキ、カレーパンに焼きそばと食の魅力、そして本は言わずもがもな神保町の魅力を伝えながら『古典や絶版本の紹介』もエッセンス的に各エピソードに盛り込まれているのですが。
まず、本を探しに訪れた方に頼まれ選書をお手伝いする中で、自然と【その方自身の生い立ちや人間性が浮き彫りになる】のは、日々の実務として実感しているので。登場してくるFIREを目指す営業マン、自意識の高い作家の卵など。いるいる!と共感したり。
ただ、本書はもともと『絶版食堂』として連載されていて、書籍化の際に『古本食堂』に改めたらしいのですが。終わりの方でタイトルを回収しているとはいえ、全体の内容としては『本』の占める割合とくらべて『食』の割合は少ないかなあと。
神保町好き、古本屋好きな方。また日本の古典文学好きにもオススメ。
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