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アイヌ神謡集

"『銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに』という歌を私は歌いながら流に沿って下り、人間の村の上を通りながら下を眺めると"1923年発行の本書は美しい言葉の結晶。【その昔この広い北海道は、私たちの先祖の自由の天地でありました】アイヌ民族に向けた神謡(カムイユカラ)集。

個人的には北海道に旅行に行くのをきっかけに手にとりました。

さて、そんな本書は言語学者の金田一京助との出会いがきっかけとなりアイヌが日々の幸せを願って物語るカムイユカラ13篇を『文字』にして後世に残そうと『ローマ字で音を、それに平易な日本語訳をつけて』発刊されたもアイヌ伝統文化の復権復活へ重大な転機をもたらしたアイヌ伝統文化の復権復活へ重大な転機をもたらした】ことでも知られる一冊なのですが。

そういった社会的な影響をさておいても、特に本書に収録されているフクロウやクマ、キツネやカエルといった動物神が【体験や戒めを自らの視点で語る】カムイユカラの形式は『神話』と言えば強大な力を持つ神が大上段に構えて人間に向けて語るイメージがあった私にとって新鮮で、その美しく詩的な言葉の魅力もあって印象的でした。

また、そうしたこともあって北海道は白老町に2020年に開業したウポポイ。国立アイヌ民族博物館(民族共生象徴空間) にも訪れてみたのですが。同館に弟にして言語学者、アイヌ初の北海道大学教授となった知里真志保と一緒に展示されている『著者の直筆ノート』を見つけた時は"おお。これが。"と、とても嬉しかった。

北海道の先住民、アイヌの世界観を知る最初の一冊として。また伝統文化の復権復活へ重大な転機をもたらした歴史的な一冊としてもオススメ。

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