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シャーロック・ホームズの凱旋

"どんなプロフェッショナルにも、失敗があり、挫折があり、不遇の時代がある(中略)それは名探偵シャーロック・ホームズも例外ではなかった"2024年発刊の本書は「ヴィクトリア朝京都」を舞台にしたミステリー風味ファンタジー。

個人的には、著者の架空の京都を舞台にした作品たちが好きな事もあり、本書も手にとりました。

さて、そんな本書は雑誌連載された同名作品を単行本化したもので、著者曰く"コナン・ドイルが生きたヴィクトリア朝ロンドンは、いまの京都と似ていると思うんです"と語る「ヴィクトリア朝京都」寺町通221。そこに一時は活躍するも(原作読者ならお馴染みの)『赤毛連盟事件』で、“大失態”を演じて以来、引きこもる名探偵ホームズ。そんな彼が、外の現実に起きる謎ではなく『スランプ』という自分の内なる謎解決に挑んでいくミステリー、もとい鮮やかなには解決されないファンタジー作品で。

まあ、著者の他作品を読んできた身としては【ホームズも詭弁論部だったのか!とか】登場人物達に他作品との共通点を感じたり、相変わらず(京都市内在住者としても)作中の風景が鮮やかに浮かんできて面白いわけですが。

一方で、重ねて書くように本書はミステリーならぬファンタジーで。本書後半の並行世界、メタフィクション的な展開は【駆け足的な印象があって、賛否がわかれるのではないか】と思いました。(いつものことかもしれませんが)

著者ファンの方はもちろん、架空の京都市内を舞台にしたファンタジーとしてもオススメ。

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