Dollhouse Family _ Kanna Takeda
【 Dollhouse Family / 01 _ My Mother & Dishes 】
【 Dollhouse Family / 02 _ Grandparents & Green Sofa 】
久しぶりに、実家に帰った。ずっと住んでいた、赤い家。お気に入りだった食器や、使い込まれた家具、昔読んでいた絵本。そしてお母さんと祖父母。全てが、あの頃のまま、存在していた。
私は幸福だった幼少期を思い出し、懐かしむと同時に、記憶が織り込まれた景色や世界を、ただ静かに眺めていた。まるで、ドールハウスを眺めるように。
私は子供の頃、ドールハウスで遊ぶのが好きだったが、大人になった今、ドールハウスを見ても、当時抱いていた感情全てを取り戻すことはできない。そのドールハウスの世界にのめり込み、その世界と同化していた当時の私とは対照的に、俯瞰する「観客」としての自分がいるだけだ。
しかし私は、かつての自分が作り上げた、絶対的な幸福が存在する世界を見て、こう思うだろう。あの頃の思い出は、幸せで、可笑しくて、チャーミングだと。
いつでも実家に帰れば、いつでも笑顔で私を向かい入れてくれる。まるで、クローゼットの中で私を待ち望んでいる、あのドールハウスのように。
私はそんな家族との思い出を、一枚のイラストにした。
( おじいちゃんとおばあちゃんを描くのは何年ぶりだろうか。昔のアルバムを、実家のタンスの中から掘り出し、何百枚もの写真を、一つ一つ眺めた。そこには幸福な時間が、永遠に存在していた 。)
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