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昔話に学ぶ《か》

むかしむかし

あるところに、

おじいさんとおばあさんが

暮らしていました。

ふたりの大事な畑が

たぬきに荒らされるので、

おじいさんは

切り株にとりもちを塗って

たぬきを捕まえ、

家の台所の梁に吊るしてこらしめました。

おじいさんが

畑へ出かけた後、

ひとりで餅つきを始めたおばあさん

を見たたぬきは、

餅つきの手伝いを申し出ました。

おばあさんが縄を解くと、

たぬきは杵を振り上げ

おばあさんを殴り殺しました。

おじいさんが悲しんでいると、

以前おばあさんと一緒に

傷の手当をしてあげたうさぎがやってきました。

おじいさんの話を聞いたうさぎは、

おばあさんのかたきをとることにしました。

翌日、

うさぎがたぬきの通り道で

ワラを集めていると、

たぬきがやってきて

手伝ってやろうと言い、

うさぎが集めたワラを

半分背負って歩き出しました。

ずるがしこいたぬきは、

うさぎが集めたワラで

自分の家を建てようと考えていたのです。

うさぎは「カチカチ鳥が鳴いている」と言い、

たぬきの背負っているワラに火をつけました。

ワラはあっという間に燃え上がり、

たぬきは背中に大やけどを負いました。

翌日たぬきが仕返しに来ると、

うさぎは魚獲りに変装して

たぬきをだましました。

たぬきを魚獲りに誘い、

自分は小さい木舟に乗り、

たぬきを大きな泥の舟に乗せました。

ふたりが川へ入り

舟を漕ぎ出すと、

たぬきの乗った泥の舟は

水に濡れ砕け、

川に沈んで

浮かんでくることはありませんでした。

こうして

うさぎとおじいさんは、

おばあさんのかたきをとることができたのです。

おしまい…


『かちかち山』

きっとこの物語に秘められた想いは

「因果応報」

悪いことをしてはいけないよ

返ってくるよ

なんだと思うけれど、

そもそも、

『タヌキを家の台所の梁に吊るして懲らしめた』

それはタヌキが畑を荒らしたから。

そこの原因の部分がすっぽり抜けている。

ずるがしこいたぬき

もちろんずる賢かったんだろうに

でも、藁を盗む前に火をつけて火傷

うさぎもうさぎでクレイジーすぎやしないか

優しい優しいおばあさんを殺した恨み

殺人鬼に情なんて必要ないということか

昔話には

ちょいちょい出てくる因果応報

悪者を懲らしめるシーン

でも、

その悪者は本当に悪者だったのだろうか

悪者になるべくしてなろうとしてなったのか

生きるために

山では食料が少なくなって

人里におりてきたのだろうに

ウサギも

傷の手当をしてあげた

それは動物を捕るための罠にかかってた

だけなんではなかろうか

ココには記載されていなかったが

ウサギがタヌキに

火傷の薬として

火傷をした傷口に

辛子味噌をベタベタと塗りたくられて

あまりの痛みで

泣きながら走って逃げだしたシーンもあった。

「被害者」「加害者」

立場で分ければ

簡単なんだけど

果たして、この場合の加害者は

タヌキなんだろうか。

実行犯のウサギ

共謀したおじいさん

僕には彼らも加害者に見えてしまう。

そんな構成や情勢を教えてくれるのは

鬼滅の刃なんだと思う。

鬼を狩る

鬼狩りとも呼ばれる鬼殺隊

主人公の竈門炭治郎は

ある日、家族を「鬼」に惨殺され、

唯一生き残った妹の禰豆子は鬼に

そんな禰豆子を救うため、

家族の仇を打つ

鬼殺隊に入り、修行し強くなり

鬼の

でも鬼側にもストーリー、背景はあって

それぞれ抱えているものもあって

そんなものが混ざり合い、反発し

一つの物語となっている。

きっと

タヌキにもウサギにもおばあさんにも

それぞれストーリーはあったろうに

「因果応報」を教えるための構成には

すこし無理くりな部分が

乱雑に散りばめられている

それがゆえに

タヌキの非道

ウサギのサイコな行動

おじいさんの手を染めてない感

これらが際立ってしまったのかな

利用者さんの生活の支援をしていると

どうしても癖の強めな方がおられる

どうしてこの方の話し方は

こんなにもキツいんだろう

なんでバチバチとした雰囲気で

過ごしているんだろう

喧嘩吹っ掛けるような態度しか

出来ないんだろう

なぜ触法(法律に触れる行為)を

してしまったんだろう

もちろんやってはいけないことはいけない

でもそれに至った経緯や原因は

それぞれあるはず

そんなところに触れることで

ようやくヒトを知れる

関係づくりは大変

だけど、関係を築いてこそ

解決の糸口は見えてくる

そもそも

問題解決は本人にしか出来ない

だからこそ

協力し支援する


実はかちかち山

ウサギの後日談がありまして…

ウサギは、

溺死したタヌキを調理して食べるため、

適当な人間の家を訪ねます。

そこで

タヌキ汁を作ってもらい、

タヌキを食べてしまいました。

腹がいっぱいになって満足気なウサギ。

ところが、

その家の人間は

ウサギを捕まえようとしてきました。

焦ったウサギは逃げだそうとしますが、

人間が刃物を投げて来て、

ウサギの尻尾に当たり千切れてしまいました。

これが元で、

ウサギの尻尾は短くなってしまったのです。


えっ!あ!えっ!

ウサギのしっぽはそういう原因があったんだ

いやいや。これは昔話。

でもね。

やっぱり悪いことはしちゃいけないよ。

ウサギもタヌキに悪いことしたよね。

きっと

おばあさんがいなくなった

おじいさんの気持ちも

ウサギがタヌキを沈めた報告がなければ

いつまでも晴れることもないだろうに

これで報告があったとして

一時は喜んだとしても

おばあさんがいない心の穴を埋めるものは

ないだろうに。


やっぱり悪いことはすべきではない…

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サポートがなんなのかすら理解できていませんが、少しでも誰かのためになる記事を綴り続けられるよう、今後ともコツコツと頑張ります!