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『老天使の肋骨』中川多理人形展までの徒然⑴

展覧会のタイトルは『老天使の肋骨』と決まって
中川多理はいま窯の作業も仕上げの裁縫も佳境に入っている。

会場は元映画館。
11月29日から12月3日までの展示となる。

中川多理は最終作業に入ると、所謂文芸的頭を動かさなくなる。本人の言葉によれば動かなくなる。
なので代替えに少し、展覧会の背景を紹介していく。

ただし、あくまでも予想で想像なので、展覧会までの盛り上げ、期待の時間稼ぎというようなものとして受けとめて頂きたい。

イメージやコンセプトを受けたものは、
『老水夫行』コーリッジ。
そして先行して『エレンディラ』マルケスであろう。
老天使は、かなり前から使われていて、それと『老水夫行』との関係は深くなかろうと思う。老天使の名称については、中川多理は余り多くを語らないので、様子はしれない。
それは、むしろそのほうが良いように思う。

中川多理は、小説のモチーフや場面をダイレクトに引っぱることはない。ずいぶんに身体をもって昇華して人形にもちこまれている。小説読みのレベルの高さあってのことだろうと思う。

『老天使の肋骨』の展示自体には、『老水夫行』がかなり使われている。
展示は若干大掛かりなので、あらかじめ打ち合わせをして現在、準備中なので、少し『老水夫行』についても話を聞いている。

中川多理の小説の読み方は深くてあっているが、非常に身体的であるしかつ視覚的である。あたかも中川多理のこれから生まれてくる人形が、小説を読んでいるというのでは…という錯覚に陥る。
『老天使行』から非常に鮮やかな、そして物語のポイントになるところが人形に反映される——ようだ。(まだ見ていない)

『老水夫行』の前書きには『哲学的考古学』が引用されていて、おおよそ

天地には目に見ゆるものより多し目に見えぬもの具体に描け

というようなことが書かれていて、『老水夫行』が、目に見えぬ不思議なこと妖しきことを、具体として描かれた詩であることを宣言している。怪しの具体化が『老水夫行』のテーマの一つなのである。

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