日々是徒然/ 『文学界』編集部Tさま/其の弐
『すばる』についての…というか、掲載された川野さんの小説の感想ですが、なんとまだ書けないままでいます。何度か読んだのですが…感想というところまでも行かない。
雑誌の[編集]ということについても考え込んでしまって…。必ず、どこかのタイミングで、何かは書きたいと思っています。もう少し時間を下さい。
さて、代わってというわけではないのですが、自身の病気の現在を報告します。
簡単に云うと、執行猶予、保護観察という感じです。
剥取った6㎝の大腸癌のバイオプシー(生体組織診断)の結果…普通はバイオプシーをやって、癌かどうかを検査するのですが、僕の場合は患部の顔がすっかり癌だったので、判定より先にとらなくては…ということで剝いで、剝いでからのバイオプシーです。
模様が歪んでいて…内視鏡検査の医師も、内視鏡で6㎝の患部を薄く剝いでくれた医師も、調べなくても癌だよね…という感じで話していて、顔は癌でもどの位下にもぐっていて、どの位凶悪なのかということが問題であるようでした。
検査の結果如何では、大腸を切断、今度はリンパ節のバイオプシーをして、そこに癌があって…ということになると、さらに抗癌剤という風に進んでいくと…。その先のことを云われました。どういう風に治療が分岐して執行していくのかは、ネット上でも簡単にそのチャート評が見られる。もちろんT病院でも説明用の印刷物になっていて、検査や手術前に説明されたり渡されたりするので…簡単に覚悟も決まります。
今は癌の宣言なんてなくて、検査中に「ああ、癌ですね」と云われるので、昔と違って、本人に隠したり、云わなかったりというようなことはまったくない。(平気そうな顔をしていたからかもしれないが。そして独りで病院に通っていたから、必然的にそうなったのかもしれない)
で、結果としては、最初に書いたように、執行猶予、保護観察で、年に何回か精密検査をして、術後の経緯とか、転移とか別の発生とかを調べるということになりました。実際、次の検査は9月の末に行なうことになっている。
見てもらっているのは、消化器内科なので、今度は口から内視鏡を十二指腸まで入れることになる。かつて食道に小さな癌を見つけてもらってとっているので、それを話したら、(それから何十年も検査していないので)「やらないと!」と云われてやることになった。
まぁさすがに自分でも検査は必要だと思ったので、気持ち的には進んで検査に、そして病気に向き合おうという気持ちになっている。
ご心配かけました。たぶん近々は大丈夫かと思います。しかし癌に大丈夫はないので、精一杯気をつけようと思っています。
何年か前から、死んで自分が居ないという感覚がときどきリアルに襲ってくるようになっていたのは、今回のことを予期していたのかと…納得するものがありました。
これからの短距離走をどう走るかということは、まったく自覚がなくて、このままぐだぐだ行くんだろうなと___ちょっと諦念しているところもあります。一つだけ楽しみがあるとしたら、日野啓三の『断崖の年』以降の作品の構成がすっと分かるようになったり、フローベールやプルーストの作品が読みやすくなったり、澁澤龍彦の『高丘親王航海記』の構成に納得がいったりとか…副産物はあります。死を自覚した文学は、死を自覚した読者に響くところがある。三島由紀夫も読めるようになるかもしれない。ちょっと楽しみです。
さて、これまでやってきた仕事は、復帰できるものは復帰して活動していきたいと思っています。機会があったら…また仕事ができたらいいですね。自分は、創造よりも消費、創作よりは読書、だったりするので、独りで何かを組み上げることは、これからも、これまでも出来ないような気がします。
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