エンドロール

はじめて別れ涙を流してしまった

私は片想いの延長線上にいる 恋人同士のはずなのに 私だけが重たいんだろうな 私だけが嫉妬しているんだろうな たくさん好きな人がいるうちのひとりなのかな お金と時間を私なんかに使っていいのかな 仕事で疲れてるから私が疲れさせてはいけないな 失礼ながらこんなことを考える瞬間もある それに 触れてもいいかな うざがられないかな とか はあ 目が合うとかわいくて胸が苦しくなってしまうな とかさ

昨日の夜には 寝顔を眺めながら 朝起きたら「こわい夢見た」とか言い訳つけて 抱き締めよう って意気込んで眠るのに 目が覚めると 今じゃないかって言い訳つけて 背を向けてしまう 踏み込んだ質問をしたいとき 緊張して手が震えてしまうから あと5分したら言おうって 妙に構えてしまう もう聞かなければいいのに 大切で尊い関係性を保っておきたいからこそ 慎重に遠回りをしてしまっていることは承知である これがきっと 私なりの愛してるなんだ 下手だね

別れ際「次はいつ会える？」なんて聞けないから 「次に会えるのは〇〇？」って確実な予定を盾にする できるだけ早く会いたいのに 目もきちんと合わせずに強がっていた 「会えそうな日あれば連絡するね」優しい瞳が視界に入ったとき 全てが込み上げてきた 余裕がない私を包み込んでくれるような目をしている その目の奥には切なさも含まれていた

涙を見せてしまうまえに

手を振らなければ

そろそろいくね

バレないよう静かに涙が溢れた

傍のカップルみたいに

改札抜けてから再び振り向けない

かわいい顔できない

ごめんなさい

気をつけて帰ってね

帰ったら連絡するね