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なぜこんなにも綺麗な空をみて君は泣くのか
ぼくが知っている青空の色はもしかしたら
君が見えている青空の色と違うかもしれない
泣き疲れて寝てしまったかと思うと
雨雲に侵食されて雨が降ってきた


その日からぼくは
君が泣かない雨の日が好きになった



「どうして青が好きなの?


「綺麗なものだけがなれる色だからかな。
  汚い海や空は青色じゃないでしょう?」



君の目は蒼くて綺麗だ


何年経っても待ち合わせをすると 君ってそんな顔をしてたんだ してたよねって新鮮な気持ちになって 一緒に暮らさないと人の顔なんて慣れないものなんだなって気付いた いやでも友達にはこんな感情は湧かないよな とか考えてたら君が振り向いて不思議な顔をしていた 君にはできるだけかっこいいぼくを見てほしくて けど携帯の内カメを向けるのは小っ恥ずかしいから 駅のトイレで鏡を見て 反射する透明の建物があれば立ち止まる 君は鈍感だから気付かないだろうけど このようにジグザグ待ち合わせ場所に行くのがぼくのルーティン  手を繋ぐのは 手の甲が不意に触れたあとって決めている    お互いに心の準備をできるからさ それとぼくは手汗をかかないタイプなんだ 両親ありがとう ミーハーなデートはしたくなくて 都会を避けてできるだけ人の少ない所へ行く 自然はあればあるほどいい 疲れたら不機嫌になる前にすぐ休む これがぼくらのデート掟だ デートっていうのもうざったい お散歩レベルの外出がしたい 生活の一部を君に染められたい スクープされる余地がないデート したいです 君の部屋は和室で 夏はすごく蒸し暑いんだけど 異世界に居る気分にさせてくれる 本が山積みになっていて 整理しようか提案しても 場所を覚えてるから動かさないでって真剣な顔で言われたことがある その日から本を触るときは声をかけることにした 本を開いたままにすると扇風機の風で頁が狂うことがあるから 新潮文庫の紐付きの本を自然と選ぶようになった 自分の家に帰ると フローリングの冷たさがやけに切ない 明日もまた新しい本を買ってジグザグ待ち合わせ場所に向かおう

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