INPUT【小出祐介さんについて】

 芸能人の中でも特に、この人の普段の生活をうかがい見たいと思う人がいる。

 それは、ロックバンド、BaseBallBearのボーカルギター、小出祐介さん。
自身のバンドのほぼすべての楽曲を製作していて、そこから生み出された楽曲は今更言うまでもなく素晴らしいのだが、このミュージシャンとしての卓越性を形作るのは、この人のもう一つの一面にあると思う。

 それは、映画、漫画、アニメ、ゲーム、アイドルなどの、いわゆるサブカルチャーへの造詣の深さ。 その詳しすぎる知識に、僕も影響を受けている。

 そんな小出さんのオタク的一面が見れる番組が、フジテレビオンデマンドで配信されていたホウドウキョクというチャンネル内の番組、「真夜中のニャーゴ」である。(現在は配信終了)

 小出さんはこの番組の毎週水曜日MCで、南波一海さんと共に毎回テーマを決めてトークするのだが、この企画の発案から構成まで自分自身ですべて考えているというのだから凄い。
 

 そうなると必然的に、テーマは小出さん自身が好きなものが中心になっていくのだが、それが特撮映画やホラー映画、アイドルソング特集など、とても偏りのあるもの。そんなテーマを紹介して魅力を語る小出さんの熱意が視聴者にも伝わってくるし、一つ一つの言葉選びが上手でわかりやすい。人が饒舌に好きなものを語る姿は見ていて全然飽きない。ニャーゴは大衆性を無視した、まさに「狭く深く」を体現した番組である。

 そんな番組の企画の中で僕が興味を持ったのは、「小出祐介の1年をふりかえる」という企画。
 小出さんがホワイトボードにその年のスケジュールを一日ごとに細かく書いて「この日はどんなことがあったか」を振り返る企画。

 僕は思った、「こんなに忙しいのか」と。

 一枚のアルバムを出すのに、楽曲のプリプロダクション、自宅やスタジオでのデモの製作、レコーディング、マスタリング、プロモーション、取材など...書ききれないほどの仕事量があるのがわかる。そこにツアーの移動。そしてライブ。フェスのリハーサルも加わったりすると、もう想像しただけで眩暈がするほど。

 しかし、ここまでは他のミュージシャンもやっているはず。小出さんの凄いところは、前述したサブカルへの精通であり、スケジュールを見るとメインである自身のバンドの他にも映画評論やラジオ出演、アイドルへの楽曲提供などのその幅広い知識を活かした仕事をこなしているのだ。その仕事の数々を昨日の事のように番組内で語る小出さんの記憶量も凄まじいし、こんな密なスケジュールを手を抜かずやり遂げる姿が格好良すぎる。こんなにマルチに活動してるミュージシャンはいないんじゃないのか...と思うくらい。
 また、ポツポツとある数少ないオフも映画館に行ったり、漫画を読んだり。曲のためにインプットを欠かさない。

 そしてそこから得たヒントが、しっかりと音楽の上で活かされているのがわかる。彼の経験や作品を鑑賞して思った気持ちが、小出祐介が作る楽曲に彼自身の言葉として還元されている。
 この膨大なインプット量が、「小出祐介」という人間を形成しているのではないか。 特に言葉の表現力や創造力の豊かさは、そのインプット量に比例する部分が少なからずあると思う。

 ある衝撃的な作品に触れたりしたとき、今までと考え方が変わったりするように、小説や映画に触れて感動したり、旅行に行って知らない景色を見たりするのは、人格を形成する一つの要因となるのだと思う。

 なので今、学生の時間がある時に様々な作品に触れインプットを沢山して、大人になって何かを創作したり、自分の気持ちを表現するアウトプットの機会がもしあれば、思い切り自分を表現できたらな、と思う。

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