早稲田「シャノアール」閉店 〜さらば青春の喫茶店〜
2020年1月6日 Twitterを開き、目にしたのは
早稲田の喫茶店「シャノアール」が閉店するという話題だった。
「シャノアール」といえば学生時代、少なくとも100回以上は通った店だ。
別に「シャノアール」は老舗の喫茶店でも、お洒落なカフェでもない、
片田舎にもあるようなチェーンの喫茶店だ。
でも、それが居心地が良い理由だった。
安っぽい有線のBGMが流れ、学生や近所のおじさん・おばさんがガチャガチャ話す、ムードとは無縁の空間が非常に居心地が良かった。
10年前の学生時代、2000年代から2010年代にかけて、
友人、恋人、先輩、後輩、もちろん一人でも、何度もこの店を訪れた。
学園祭の舞台イベントの構成を馬鹿みたいに何時間もかけて話し合ったり、
初めて女の子と付き合ったことを先輩に打ち明けたり、
映画やテレビ番組、芸能人、漫画の批評をして口論になったり、
覚えたてのタバコを吹かしながら、小難しいSFの短編集を読んだり
一方で、就職活動の時にくだらない内定本を読み漁ったり、
どんな時でも、この店に来ていた。
この店の美味いかどうかもわからないホットコーヒーを飲み、
コーンフレークしか入っていないチョコパフェを食べ、
当時は「カッケェ」と思っていた「H」という銘柄のタバコを吸い、
東京の街で「それっぽい学生ごっこ」をしてるのが楽しかった。
それから10年、
僕は念願だったテレビ業界に入り、
六本木で業界人らしい酒の飲み方を覚え、
ガールズバーのお姉ちゃんのLINEの聞き方を覚えていった。
学生時代に比べれば遊び方の幅が広がった。
でも、結局は「シャノアール」でダベっていた楽しさには勝てない気がする。
安っぽい言い方をすれば、あれが僕の青春時代だったんだろうなと思う。
馬鹿みたいにあそこでくっちゃべってた空間が本当に楽しい空間だった。
これからシラフであそこまで楽しめることはないんだろうなと思う。
1月7日 おそらく最後であろう、早稲田「シャノアール」を訪れ、
ホットコーヒーとチョコレートサンデーを頼み、この文章を書いている。
換気が悪くてメチャクチャ煙い、声のデカい学生がバンドと映画の話で騒いでる。
横のおばあちゃんが旦那さんに「シャノアール」と「ルノアール」の違いを説いている。
やっぱり最高の店だ。
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