ロックスター

3bという職業がある。
所謂、付き合ってはいけないといわれる3つの職業「バーテンダー」「美容師」「バンドマン」
それぞれの頭文字がBから始まるので「3b」と総称されている。

僕の友人(男)にシンガーソングライターがいる。
元々はバンドを組んで活動していたそいつはあの有名な「方向性の違い」によって解散し個人での活動に至るという背景をもっていた。

まあ確かに、くせのある性格で読書の時間にみんなが小説やエッセイを読んどるのに1人だけPRESIDENTを広げとるようなやつ。
音楽に関してもこだわりや信念をもって向き合っているイメージは素人の僕にも伝わる熱量で疑いの余地など微塵もないほどだった。

昨年から、僕は友人の誕生日にバースデーソングをプレゼントしている。
そしてその作詞は僕が、メロディはMr.PRESIDENTにお願いしてギターを弾いてもらい曲を作成している。年に一度だけ活動するバンドを組んだ

今年で2年目になるバンドに変化を加えるべく、
以前飲み屋で知り合ったバイトの女性をピアノに迎え、3人体制となりなんか本格的になってきたな新鮮だなとか言いながら作曲していった。

PRESIDENTがメロディを考え、僕とピアノにメールで伝え、後日集まって録音する。

録音する日を決めそれぞれが自宅で練習していたが実はPRESIDENTとピアノは面識がなく録音する日が初めましてになる。流石にそれは良いスタートがきれないと思い僕は上野で集まって一度飲むことにした。2人とも了承してくれ即日に集まって僕を介して2人とも自己紹介し飲んだ。
終電を過ぎても酒は進み、恋愛観についての話になった。僕以外の2人には恋人がいるが、PRESIDENTは浮気はバレなきゃいいという考え、ピアノは絶対に嫌だという考え。
結局上野から1番家が近いPRESIDENTの自宅で飲むことになった。

道中、酒を買いつまみを買い自宅に着き飲み直しながら少しだけ曲の打ち合わせをして物の1時間ほどでPRESIDENTとピアノが眠りはじめた。

さほど眠くないが明日の朝も仕事なので寝とくことにした。

朝方6時頃、物音が聞こえた。どうやらピアノが起きて自宅に帰るところをPRESIDENTが送るようだった。構わずもう一度目を瞑った。

後日、再集合し、スムーズに録音を終え打ち上げをして終電でそれぞれ自宅へ帰った。ピアノが楽譜とペンをPRESIDENTの家に忘れたと慌てていたが終電が迫っていたので断念し、こんど取りに行くといい改札へ消えていった。

録音から4日後の深夜、僕はPRESIDENTの家で彼と2人で飲んでいた。
録音の日には机の上にあったピアノの楽譜が消えていた。嫌な予感がした。

「楽譜なくなっとるけど取りにきたん?」
「はい、3日前取りにきました。」
3日前というと、録音の日の翌日になる。

「それで?」僕が聞く。
「飲みに行きました」
「それで?」また聞く。
「一度別れたんですけど、朝まで飲みたくなって連絡して、ピアノの家で飲み直しました」
「それで?」答えはでとるけど聞く。
「そーいうことをしました」

やはり3bはおそろしい。
そして他の男とはしないなんて言ってた翌日に会ってしちゃうピアノもまたおそろしい。

人の大事なものや、大切なものは都合よく変わり
それ故、人の根本はなかなか変えられないものなのかもしれない。

嫉妬ではなく、空しい哀しい気持ちになった。。

3人しかいないバンドの中でチョメチョメしてちゃ今後の方向性に支障を来す。

解散するか、、、

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