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左利きのマウス

マウスを動かしたらいつもの挙動ではない。一瞬戸惑ったのち、それが左利き用の設定がされたマウスであることに気が付いた。お客様用のパソコンの設定をした時の話だ。右利き用のものとは右クリックと左クリックが逆。たったそれだけなのに、設定に関わる全ての動作でプチパニックを起こした。

これは管理者権限で実行したいから右クリック・・・いや左だ。これを選択したいから左・・いや右だ。いつも無意識でしていた操作が左右逆になることによって、そもそも無意識だったことが意識レベルまで上がり、地味にエネルギーが奪われる。

何とか作業をしながら私は思った。当たり前のように右利き用に作られているものがほとんどの日本では、左利きの人はこれが頻繁にあるのかと。

左利きの友人によれば、がま口を開けるのも反対らしい。がま口に左右の差があることにすら気付いてなかった私は驚いた。そして、少し怖くなった。知らない間に便利だと言って不便なものを押し付けたことがあるのではないかと。不便であることは当事者にしか分からない。だから、思い返してみても何も思いつかないことが怖かったのだ。

私はたった数時間「地味にエネルギーが奪われる」だけだったが、これが毎日、それも地味じゃなくて相当、かなり、それ以上の人もたくさんいる。

合理的配慮という言葉を浅生鴨さんのこの記事で知ってから、このことについてずっと考えている。


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