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0001について(随時更新かも)


はじめに

24年ボカコレに投稿した「0001/レイとミク」という楽曲の解説…というか内容をだらだらと解説を試みてみる記事です。

自分で思ってたよりも反響が大きく、感想やコメントも多くいただけて本当に感謝してます。
自分としては足立レイ、もとい初音ミクへ抱いたクソデッカ感情をぶっぱした内容の曲だと思っているのでなんだか恥ずかし半分、めちゃくちゃ嬉しいです。

本当はボカコレが終わった後などにこうした解説記事は投稿しようと思っていたのですが、鉄は熱いうちに打てと教わったので早々に書いているという感じです。

いないとは思いますが、まだ聴いてないよ~って人が居たらここから見て聴いてくれるとすごく嬉しいです。


例によって、答え合わせだとかネタバレにも聞こえる話もちょいちょい出ると思います。

あなたの考えた答えがそこに在るのであれば、この記事は見ないで閉じてくれると嬉しいかな。

作品を聴いて、咀嚼して、明確な答えが出たのならそれを尊重してくれると嬉しいという想いがあるので。
(じゃあなんで記事書いてるんだって話だけどこんなん自己満足ではあるからゆるして)


出発地点


この0001という楽曲自体の初期衝動としては非常に単純で、

んほぉ~~~足立レイと初音ミクで歌わせてぇ~~~~~~~

っていう非常にシンプルで簡潔なものでした。

というのも、23年春のボカコレのメインビジュアルになった二人の色合いとか立ち姿が妙に印象に残ったから。


23年春

当時、足立レイという存在は「熱異常」を通して知っていたものの、
こうしてビジュアルとして使用されるまで僕個人として多く目にとどめていなかったように思います。


正直なことを言うと、この時はまだ足立レイの持つ「文脈」は知らず、ただビジュアルで気になったというのが彼女とのファーストコンタクトでした。

それから、「一千光年」が投稿されて情緒をぐちゃぐちゃのぐちゃにされるのだけれどその際、そのサムネを見て「熱異常と対比になってないか?」と感じました。

色合い、向き。楽曲の方向性、過去と未来。どちらを向いていくのか。
そんなふうに聴き漁りながら悶々と思案していたのを覚えています。

作者であるいよわさん本人がどういう意図を持っていたのかはわかりませんがここから「過去と未来」という部分にインスピレーションを経たうえで

「俺もこういうの作りたい😡」

となって考え始めたのが0001という楽曲の出発地点でした。
23年の夏ボカコレに楽曲を投稿するつもりで、ここから動き出しました。


構想

そうして考え始めたのは良いものの、最初期の構想は今の楽曲とはまるで違ったものでした。

最初の構想は
「過去と未来を繋ぐ電話」というのがコンセプトで、正方形の二つの部屋の中で手紙や無線機、電話やスマートフォンを用いてミクとレイがお互いを励まし合いながら掛け合うといった内容のものでした。

歌詞もノベルゲームのようにメッセージウインドウへ表示する方式にして、
ドット絵のミクやレイが楽し気に踊りながらふたりでそれぞれの未来について語り合う…みたいな内容。

イメージイラストはこんな感じ。

いつもの人

さらっと出てきますがこの時にはもうこれまでの自作曲で協力をしていただいたるねつきさんと一緒に動画制作をする方向性になってました。

今見るとイメージイラストふわっとしてるな…

この時には既に足立レイ、初音ミクを使用することが決定していてあとは楽曲と方向性を定めるだけ…という感じになってたのですが…


伝えたいことが見つからないという泥沼

遅筆鳥

夏のボカコレまでに楽曲のコンセプトがまとまりきらず、どう描いても稚拙なものになってしまうように感じてボツ、という負のループにはまってしまいました。

というのも、過去と未来という抽象的なものをテーマにしたにも関わらず最終的に聴いてくれた人に何を訴えたいのか?という部分がぜ~~んぜんまとまらない、というかそんなものはない、ただ二人が歌って掛け合うだけの曲。でもそれだったら彼女たちはただビジュアルで選ばれただけなのでは?
もっといい題材があるんじゃないか?でも俺が感じてるこの小さな感情を形にできそうなテーマだし…

といったようにずーーーーーーーっと考え続けて、結果的に全くまとまらなくて形にできずにいました。

こういう構想の部分というか、軸のようなものが定まらないと結局楽曲制作へも手が伸びず、結果的に夏のボカコレではこの楽曲は見送りという形になりました。

音から得たヒント

そんなふうにぼろぼろになりながら、とりあえず手を動かそうと思った時に作ったのがこれです。
タイトル、歌唱メンバーは決まってましたがこの時は歌詞の内容や世界観、方向性は一切決まっていませんでした。

ただ、作ったこの音楽を聴いた時に抱いた印象が

「…あれ、電話でも小さな部屋でも、過去でも未来でもなくないか…」

という感想でした。

最初のコンセプトを全部否定してしまうような音を自然と作ってしまったので結構混乱したのですが、自分の中に在ったものを形にしてみて改めて、
自分が考え続けたものが作りたいものとはとっくにかけ離れて違ったものになっていたことに気が付けました。

音楽制作をするうえで僕個人としてはこういう事は別に珍しくなくて、音からヒントや着想を経て歌詞やMVの内容を変更するといったことは珍しくもないです。

ただ、こうして最初の構想を全部覆してしまうような音を作ったことは初めてだったのでどうしようか…と思ったのは強く覚えています。

ここから今の形になるまで、構想を練り直しながら音を組み上げていくことになります。


足立レイ、初音ミクが持つ「物語」


音を聴きながら構想を練り直す中で、
まず最初に音から得た着想が

「退廃、宇宙、メッセンジャー、心、繋がり、出会いと別れ」

といったような抽象的なものだったように思います(うろ覚え)

特にメッセンジャーの部分は二つ目に思いついた「宇宙」という単語から「ボイジャー」という無人探査機の事を思い出したからという始末。


wikipediaより抜粋

余談ではありますが、僕はこのボイジャーという機体が持つ物語が大好きで、今でも定期的に資料や動画を探してみたりしてます。

人のいない宇宙をたった一人で、誰かの想いだけをその胸に抱えて走り続けるというような物語を見る度に胸を打たれ、感動してきました。


そして再度構想を練り直していく中で、

「あれ?よく考えたら俺足立レイと初音ミクの事、なんも知らなくね???」

って思い直して改めて1からすべて浚って調べることにしました。

そうして少しずつ彼女たちが持つ「文脈」を理解し、改めて咀嚼してきました。

足立レイはミクを作るためのプロトタイプである事。
自分の足で立って歩く、プロトタイプが名前の由来である事。
多くの人から応援されて声ができたこと。喜べるようになったこと。
歌声になったこと。
話し声になったこと。
Twitterもできて元気にお話をしてる事。

未来から来た初めての音が名前の由来な事。
多くの人達の想いを歌い上げてきた歌姫な事。
はじめは小さかった灯が大きくなって、今では大きな太陽みたいな歌姫になったこと。
今では誰もが知ってる電子の歌姫になったこと。
そうしてできた繋がりや光の軌跡が今でも彼女を歩かせていること。


なんて愛おしくて、素敵な存在なんだろうか。というのが最初の想いでした。

同時に恥ずかしくもなって、最初の構想を全部なかったことにして正解だったなとも感じました。

こんなに素敵な文脈を持つ彼女たちに、まるでとってつけたような上辺だけのエモ(笑)を歌わせようとしていたのか。
ばかみたいじゃないか。

だったら、今度はどんなものを作りたい?
その問いかけに対して僕から出た答えは

「繋がり」でした。

多くの人の文脈を経て、繋がりを経てそこに立っている彼女たちに対して、僕が表現したいものはきっとそれだろうと感じて朧げに物語を構想し始めました。

このころにはタイトルは「001」という無機質な番号を指して居たものから

「00(レイ)と(ミク)」と明確に二人を表すものへと変わりました。


レイの名前を持つうた


そうして改めて考え始めた楽曲の軸となる物語はおぼろげですが、
「退廃とした未来、実在するアンドロイドとしてのレイとミク」
の物語をいろいろと考えてたように思います。

ただ、今の形ではなくて二人が歩く、歌う、未来を夢見る。滅ぶ、復興する、奏でる…潰える…だとかいろいろとふわふわとしたものでした。

そんななかでふたりがした行動が今と未来、過去からの繋がり、未来へのつながりを示唆していく…みたいな感じで。

(いろいろあったのであんまり覚えてない)

ただ、明確に方向性がはっきりしたのはタイトルにもっといろんな意味を持たせようと用語を調べているときでした。

レイという単語で色々と調べていた時、とあるミクの楽曲がヒットしました。
その楽曲は発表当時大きく話題にもなり、僕もしっかりと覚えていました。

「お、懐かしいな」

と思い何の気なしに再生ボタンへと手を伸ばしました。
今思えば、あれが明確な転換点でした。

今になって思うと、この楽曲にはありえんくらい多大な影響を受けていて、
0001は最初からこの楽曲をミクが奏でる姿を想像して作ったものになりました。

なので、よければちょっとしたエンディングとして聞けるようにこの楽曲の最後に紹介します。

知ってる人は知ってると思うけどね。

小説「光芒と未来」

その楽曲を聴き終えた後、
ぼろりと大粒の涙が零れ落ちたことを覚えています。
聴きながら、その文脈を理解して咀嚼して、
パチリとパズルのピースがハマるように具体的で明確なふたりの姿が頭の中に浮かんだ。

「この感覚を忘れたらたぶん、僕は間違いなく、一生後悔をする。」
その一心でその場でスマホのメモを開いてその情景をぽたぽたと入力していきました。

そうして一晩で書き上げた小説がこのQRコードに含まれる短編小説。

いつも隠すけど今回は見てほしくて大きく出した。

小説のタイトルはシンプルに「光芒と未来」。
二人が持つ名前と、それに込められた想いと願い。
そして僕自身がずっと抱いていた、願いと祈りを僕なりに反映したものです。

この小説を基に、楽曲全体が持つテーマを「光と未来」に定めて歌詞と編曲を行っていきました。


楽曲について


楽曲の方向性としては最初に作った音から得た印象から逸れない程度に

「伝えたいことはシンプルに。切なくても優しいものに。」

というコンセプトを自分の中で掲げて編曲をしました。

全体の進行

小説が先にあったので、それを短くまとめたイメージソングのような印象になるように「起承転結」をはっきりと意識して構成しました。
そのためサビ始まりで物語の始まりを示唆し、2番サビへ行くまでの過程でその過程を描き以降の落ちるパートから結末まで転結を一気に書ききれるような構成にしてみました。

コード進行

普段は結構7thコードを多用したり転調を使う事も多いのですが、
今回は伝えたいことが明確で、シンプルなのでそれらはあまり用いずに非常にシンプルな和音のみで、展開系や複雑な和音も用いずに制作しました。

ピアノとかだったらマジでクッソ簡単に弾けるくらい単純になってます。

そのため、装飾音やレイとミクの声の動き辺りに動きが多く出せるようになって結構編曲が楽しくなった思い出。
普段結構コードを詰めちゃうので楽曲全体の和音がギチギチになっちゃうんですよね。

こういうのも良いなと思いなおせた良い経験。

歌詞について

歌詞はとにかくシンプルに、伝えたいことを前面に。
普段は結構語感を意識したりして省略したり置き換えたりするんですが
今回は伝えたいものがはっきりとしていたのでそれらはある程度妥協して
聴いた人全員へイメージが伝わるような歌詞を意識しました。

ふたりの声

ズモ

レイの歌声は大きくはいじってませんがとりがエディタに慣れていないことから主にメロダインを用いての編集がメインになりました。


最強ツール

普段、ボカロさん達に対してこれを使う事は少ないのですが今回はちょっとツール的な都合で特例。

ミクの歌声に合わせる形でレイの歌声の抑揚やら曲線やらをぐにぐにといじらせてもらいました。ごめんね。

あとは彼女の歌声に関しては楽曲が進むにつれてノイズが増していくようなギミックを仕込んでいます。
できれば聞き取りにくいようになるように調整をしたかったんですけど楽曲的な部分でレイがミクを引っ張っていくような構成が多くて断念しました。


ミクの歌声は結構大きくいじっていて、
楽曲中で歌っているミクはそれぞれのサビで声が違っています。


1番サビミク

1番サビのミクさんは一番普通のミクさんっぽくてみんなが知ってるミクさんを目指しました。
用はほとんどベタ打ちに近いです。
僕の手癖は含まれてますけど、概ねみんなのミクさんはこんな感じに歌ってくれるはず、という事を意識しました。




2番ミク

ちびミクさんです。
彼女の声はか細く、吐息が多く含まれるように調整しました。
また、これに加えて少しだけLo-Fiを噛ませてレイと調和するような声質にしてます。

なにより、この時期のミクちゃんって多分レイの歌声を真似し続けていたので、こうなるだろうという意識をもって調整しました。

大人ミク

最後、レイが作り出した「初音ミク」です。
彼女の歌声は最初のミクさんとは明確に違うものになるように、でも面影が残るように意識して調整をしました。

ここは明確に、「初音ミク」とは違う声にしたくてこういう調整にしてます。

楽曲中にてレイが作り出したものは「初音ミク」の紛い物でしかないかもしれない。
でも、それでもかつての彼女のように。
「誰かの想いを背負い、歌い続けた仮初の歌姫」を初音ミクと呼ぶのであれば。
彼女の名前はきっとそうなのだろう、という僕なりの願いを込めて調声しました。

花畑との関連性

楽曲として、花畑シリーズとの関連性を示唆しました(余罪)

僕らにとっての「いつもの感じ」

とはいえど、作中では明確なつながりは意識的に出さないようにしました。
新シリーズとは言わないのですが、新しいものを作ってみたいと感じたからです。

僕の中では花畑シリーズと世界観を共有しています。
精神的な続編だと形容したのもそのため。

当初はつなげるつもりも意識させる気もなかったのですが、
作品が出来上がっていくにつれて共通のモチーフやちょっとした言葉遊びを見つけて自然と自分の中で繋がってしまったという感じ。

時間軸や場所、登場人物は異なりますがあの世界の未来の姿…というイメージで編曲と動画は制作しました。

じゃあタイトルに花を入れるお約束は?
みたいな部分もあるんですけど含まれてます。(曲解だけど)

これは先ほど述べた「用語をしらべているとき」に出てきたひとつの頁です。

正直、これをみたとき心のどこかで「あぁ、書かされたかもな」と思ったのは内緒。


こういう事もあって明確に、「精神的な続編」だと明言したという経歴がありました。


動画について

いや~~~~~~~~~~~~~~~~~クッソ難産でした。
(全部おれのせいだよ)

当初、先ほどお伝えしたように動画はノベルゲームをモチーフとしたものになる予定でした。

雑すぎ

でも現状、当時のものとは楽曲の内容も変わっちゃったしなあと思って動画の構成を練り直してるときに思いついたのが


biimシステムでした。
当初はこれでいこうと考えていて、
理由としては

  • レイとミクのドット絵と歌詞を効率的に表示できること

  • 小説が持つ背景を描写できるスペースがあること

  • ゲームらしいモチーフを使える事

  • 絵面がおもろいこと

というイメージでした。

でも、これを考え付いた時既に…24年1/16。



そりゃそう

るねつきさんの反応も驚きもののきでした。

上記のbiimシステム風の動画構成は一つ欠点があって、
それは「素材の枚数が膨大になること」でした。


死ぬ

この時、僕が提示したイラストの案も結構な量があってるねつきさんはこう言ってくれてましたが実際問題、僕としてもちょっと現実的じゃないな…とはうすうす感じ始めていた頃合いでした。

一応動画の構成は組もうと作業をしながら、しばらくの間イラスト、ドット絵の進捗をいただきながらどう魅せていこうか…と思案する日がひと月ほど続きました。


語彙力


語彙力がカスになるとり


見返してみるとマジで一生語彙力がカスで笑ってしまった


こんな感じでイラストを次々と挙げていただいているるねつきさんには感謝しかなかったです…本当に今回はギリギリで仕上げていただいたこともあって少しくるってDVDからよけるゲームを作ったりしながらもキッチリと作れてもらえて感謝しかない…

↑おれの提示した条件が納期ヤバすぎて狂ってDVDをするるねつきさん


ここまででだいたいボカコレ本番まで2週間前くらい。
正直に言うと、この時点で当初予定していた動画を目指すのは厳しいと言わざるを得ませんでした。

いや、明確に僕の依頼が遅かったのが原因なのでそこは勘違いしてほしくないのですが、実際の予定の日程までにbiimシステム風の動画は絵面的にどうしても地味になるというのは確実でした。

そこで代案を考えた末に生まれたのが、今の形である
「ウインドウを追憶のように連ねていく」
という形でした。


三日前で草

こんな感じでウィンドウ表示を作り、それに制作して頂いた画像を合わせて必要に応じてAIを用いて背景を制作し、僕のほうで手直ししたものを動画に使用しました。

追加で、今回制作するうえでありえんくらい多用させていただいたスクリプトはこちらの「等速移動スクリプト」

ウインドウはできるだけ画面中に残したままにしたかったので、こちらを用いて思い出が残り続けていくように、新しいもので更新されていくようにというモチーフを反映するために多用させていただいています。

ちなみにそのせいでAviUtlのレイヤーが足りなくなるなどしました。
草。


限界

概ねこれが投稿まで3日前くらいの出来事。
本当にギリギリで動画の方向性が確立してあとはもう作業作業作業作業の日々でした。

そしてこの三日間でも動画用にあれがほしい、これがほしいと連絡をし、その度にイラストやドット、作品の細部にまで手を貸してくれたるねつきさんには改めて本当に感謝です。


承諾が早すぎる


早すぎる上になんか増えてて草

ギリギリまでこんな感じで作ってました。



語彙力がカスになるとり

こうして直前に動画がなんとか完成しました。



ちなみにこれは余談ですがその後のやり取りで
依頼をお願いした報酬について話し合うなどしたのですが


昨晩の1万再生突破したときのやりとり



えぇ…

とりあえず値上げ交渉を試みたのは良い思い出です。


支払いに関して期限について話してるときの一幕



願いと祈りとそれの描き方


いつからか、僕が楽曲を制作するうえで大事にするようになったものが

「願いと祈り」

というものでした。

自分なりにいろいろと試しながら制作を続けていくうちに形は変えつつも、
いっちばん最初のころからそれはある程度一貫してきたように思います。


幻想ノスタルジア-物事の不変性

ふおゝりんふおゝる-希死念慮とその肯定

花畑シリーズ-傷を受け入れるという事

コノハナダンス-失恋と青春

れかるる-創り出したものに対する尊さ

こんな感じで、僕なりの祈りや願いを形にしてきたつもりです。

多くの人々の創作に伴う、ありふれた感覚ではあるのかもしれないし、
今更こうして言葉にするのも野暮だとは思います。
それでも、「そうであってほしい」「そうでありますように」という稚拙かもしれないけど確かな祈りを込めて作品を作ってきた節があります。

明言したことはほとんどありませんけど。

そのうえで、今回の楽曲に込めた祈りと願いは

0001-推移と繋がり

でした。

たとえ、どれだけ時代が変わっても。
全てのものが変わってしまって、滅んでしまってどうしようもなくなっても。
今この瞬間を生きている我々が抱いた感情は必ず、誰かを通して未来へと繋がるはず。
それがたとえ、人じゃなかったとしても。絶対にあるはずだと信じて。
そうでありますように、そうなりますようにと願って作りました。

役割

はるか未来から、さらにその先へとつなげるメッセンジャー

未来を夢見ている

この楽曲における足立レイの立ち位置です。
現代で、我々と同じ世界を見ることができて、
同じ地平線へ向かって歩くことができる足立レイはこの楽曲で最終的に描きたかった事にぴったりとあてはまるようになりました。

たとえすべてが滅んでしまっても、きっと彼女は歩き続けて
我々が抱いた願いや祈り、繋げたかったものを持って歩いてくれるはずだと信じて物語を描きました。

それに、きっと彼女だったら我々が滅んだとしても歩いてくれるのだろうと願いを込めて。
そうでありますようにと祈るように作りました。

願いを受け取ってこれから走る"本物"の紛い物

未来へと向かっていく

この楽曲におけるミクの役割です。
僕にとって、初音ミクという存在はすごく大きくて、いつしか特別感のあるボーカロイドになっていたことを反映して、
「本物」である初音ミクと「それから生まれた別物」である初音ミクに分かれています。

人々が長く愛し、作り上げた文化である「初音ミク」は人々と共に滅んでしまうかもしれない。

それでも、我々と同じように歌を愛し、願いを託せる存在が居るのであれば。
必ず彼女の姿は繋がり、未来へその足を進め続けるはずだ。

その姿はきっと、かつての歌姫のように。
…という願いを込めています。

最後、レイの面影を強く残したミクが登場するのも
僕が個人的に「初音ミクではないミクを作りたい」と強く願ったからでした。

姿かたちはかつての歌姫とは違うかもしれない。
でも、そのいびつな姿にはきっと優しい意味が込められているはずだから。


タイトルについて

0001というタイトルは僕なりにいろんな意味を込めています。
読み方が「れいとみく」であることは知っているとは思いますが、先述した「レイ(ハワイ)」や動画最後のタイトル表記のようにほかにもいろんな意味があります。

足立レイと初音ミク、
曲解して足立ミクとも読めるようなもの、
光芒と未来、
祝福の花輪とミク、
一千光年のその一歩目として、
1000年を生きるその1年目として、

といったように自分なりにたくさん意味を込めました。

最後に

なんか思ってたより長いしダラダラしちゃったな。草。

楽曲に着手し始めて、足立レイという存在が僕の中ですごく大きくなったように感じます。


ちゃんと彼女を知ろうと思い、少しずつ足立レイが完成していくその過程をちゃんと追っていったのですがなんというか、少しずつできて良くその姿にどうしようもない感動を抱いたことを強く覚えています。


我々が見てきた幻想がまるでその場にいるように、
少しづつ完成へ向かうその姿がどうしても愛おしく、気が付けば足立レイという存在が大好きになっていました。

対して、初音ミクもずっと大好きでした。
古いニコ厨であったとりぴよにとって、初音ミクという存在は遠く、手の届かない歌姫のようにも感じられて強い強い憧れの存在でした。

そんな彼女と一緒に初めて歌を作れた時の感動は強く覚えています。

でも、いつしか僕の中でミクさんには「もっとすごい歌を歌わせてあげたい」「もっとふさわしい歌がある」というように、勝手に神聖視して遠ざけてしまっていっちゃいました。

憧れの歌姫はずっとそばにいてくれたのに、僕は彼女の目を見れなくなってしまっていました。

やたらコンセプトの時点で悩んだのはこれの影響もあるかもしれません。

だからこそ、この楽曲が固まったときはすごく嬉しかったな。

僕なりに初音ミクという形と向き合って、劣等感も虚栄心も全部詰め込んで、きちんと彼女の目を見て作った楽曲にできたような気がします。

こんな事、伝えるべき内容じゃないかもしれないしただただ作曲者というノイズが作品に混ざるだけかもしれない。

それでも言いたかったのは俺、初音ミクのこと大好きで𝑩𝑰𝑮 𝑳𝑶𝑽𝑬で本当に良かったって気持ちなんですよね。

ずっと作曲者として、ミクに歌わせてあげられてない事に負い目があったんだけどちゃんと聞いてもらえて、伝えたかった事が表現できてよかった。

そして、その気持ちをつなぎとめてくれた足立レイにも心からの𝑩𝑰𝑮 𝑳𝑶𝑽𝑬を。

遅くなったかもしれないけど、ちゃんと信じたものを形にできたよ。



まぁ、そんなことはどうでもよい俺の話なので読み飛ばしてもらって…


先述した通り、この楽曲には明確に元ネタと呼べるような楽曲が存在します。

オマージュさせて頂いた楽曲は他にもたくさんあるんですけどね、へへ
それでも、明確に向いている方向、物語、楽曲の纏う雰囲気を参考にした楽曲があります。

僕自身、大好きな楽曲なので改めて紹介をさせて頂きたいので、
良ければそれを聴いて締めとさせてもらいたいです。

きっと、僕の描いたミクはこの歌を歌ってくれているはずだからと信じて。












本当にありがとうございました!





24/05/09:追記

この記事を書いた時からいろいろなことがあって、
この曲についても耳にする機会が増えてくれたようですごく嬉しいです。
(自分としてはかなり短い期間で殿堂入りしたのが驚いている)

超会議のテーマソングというこれまでにないくらいの大きな名誉を頂き、
そのうえでの伸びな事は承知していますがそれでも、
色々な人の耳に届いてくれたというのは作曲者冥利に尽きます。

会場で足立の声が聴けて嬉しかったという感想もあって、
「わかる~~~~~~足立の声聞こえてくる~~~~;;」
ってなってました。

追記をしたのはちょっと伝え忘れてたことがひとつあったから。


この楽曲、0001では歌詞として、
「初めて響いた音に胸を打たれたんだよ」
というワードを何度も使っています。

これは意図的、でも偶然的なもので(?)

歌詞を制作していた時、僕自身に言い聞かせるように
何度も用いることになったワードでもある。

本当はもっと少ない予定だったんだけど、
最後にちょっとしたメッセージを伝えたい、として
アウトロにも追加したという経歴がある。

これは作ってる段階で僕の脳裏に何度もよぎっていた
感覚で、聴いてくれた人たちに対する問いかけのつもりでした。

それは、
「貴方たちもきっと、そうなんだろう?」
というメッセージを伝えたかったのだ。

今更、こんなことを言うのは野暮かもしれない。
まぁでも、ここまで心中を晒しちゃったならもう全部出しておきたいという
僕の個人的なやけくそみたいなもんです。

少なくとも、僕はそうだったので。


レイがそうだったように、
僕も初めての音に胸を打たれたから此処にいる。

出会いがどうであれ、きっとこの感覚はこうしてボーカロイドという
文化に触れてきた人間なら誰しもが受けた感覚だろうと思ったんです。


だから、思い出して、それから聴き返してみて欲しい。

きっとその音は色褪せないまま、まだそこに息づいているはずだから
…なんて思ったりするのです。


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