花畑シリーズについて

りこりすめもりあがニコニコ動画で殿堂入りしたらしいので花畑シリーズを振り返って解説などを試みてみるとりです。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm41873506

>めでてぇ


そんなわけで、ニコニコ動画上ではこれまでに投稿した花畑作品が全部殿堂入りしたな~と思って感慨に耽っていました。

はじめは何の気なしに投稿した作品群でしたが自分が思っていたよりも反響があって、いろんな人に聴いてもらえて。
いつのまにか僕を象徴する代表曲群になっていたと思います。

自分としては結構毎回「これ大丈夫かなあ」みたいな不安を抱えながら発表していたところもあるので、報われたような気がして本当に喜ばしい限りです。

さぁて、前置きはこの辺にして各作品を振り返ってみてどういう風に作ってたのか、どういうお話があったのか。
そうした部分をぽつぽつと述べたいと思います。

音楽を作る立場として、こうして解説や詳細を述べることは聴いてくれた人の感想を蔑ろにするようであまり好きではないのですが、
今後のためにも必要だと僕が感じたのでこうして述べさせていただきます。

なので、「僕はこう感じた!」とか「私はこうだと思う!」と強い気持ちのある方は言ってしまえばネタバレ注意にもなるのでこれより先の閲覧は注意していただけるとどうか嬉しいです。




あねもねぐりっち

>はじまり


自分にとってのはじまりで、花畑シリーズのはじまりで、自分にとっての音楽の向き合い方とのはじまりというイメージもあります。

楽曲としては比較的シンプルで僕自身も遊び半分で作ったつもりの楽曲だったので大きな反響をもらえた際に非常に驚いた記憶があります。

ただ、自分自身としても今も気に入っていて聴いてしまうのでつまりは割と良いものができてしまった!という感じなのでしょうか。そう思う事にします。

楽曲として

楽曲としては本当にシンプルで、いわゆる「ヤツメコード」と呼ばれるコード進行を繰り返し用いた界隈系リスペクト曲となります。
(リンクとかはなんか貼るの怖いので各自で調べてください)

間奏のシンセソロとかも概ね該当の曲から影響を受けてます。
これ以降の花畑シリーズでも共通ですが全体的にこの曲が基盤になってる部分は多いと思います。

ただ、あねもねに関していえばメロに関してはいわゆる「イワシ」から影響を受けたように感じます。
なので、自分の中だとイワシとヤツメのアレンジというイメージが強いですね。

当時、仕事でDAWを扱う機会があってその際に結構な量のインスト曲を作ってたんですよね。

それでだいぶクッタクタになっちゃって疲れ果てていたんですが休憩時間にそういえばDAW開きっぱなしだったよな~ってなって。

とりあえず上記のヤツメコードを打ち込んで、ループさせて遊んでたらできた曲…みたいなイメージです。

なので曲としてはサビから作り始めてて、そのあとにAメロをくっつけてフル尺にした感じで。
Aメロ自体もサビを盛り上げるためにかなりシンプルに作ってます。

これに関しては以降の作品でも共通なんですけどA,Bメロとかはモノラルっぽく聴こえるように意図的に作ってます。
ただ、2番とかに入ってからいきなりモノラルになると耳がびっくりしちゃうんでその辺りはアドリブで左右に音置いたりして…みたいな。

楽曲としてこの曲はほんとにシンプルなのであんまり説明とか解説もないですね…。割とメロと世界観だけでゴリ押ししてるだけの曲な気がしてきた。
やってることほんとにシンプルだもんこの曲…

あ!強いて言えばこの曲は花畑シリーズ中でも唯一、アウトロがかなり長めという特徴はあります。

これに関してはもうほんとにリスペクト元の再現…じゃないですけど、それらをイメージしてあえて長めに尺をとった部分です。

実はここのアウトロに関しては歌詞を入れる前から存在していて、楽曲全体の世界観とかを考える前からあった部分で。
逆にいえばその後、楽曲全体の世界観を構築する要にもなった場所かもしれません。


世界観

この曲をヒメに歌わせたのは自然と決まって、声の儚さと明瞭さから自分が表現してみたかったことにバチ!っとはまったのでそのまま採用という流れにはなったのですが…

歌詞はどうしよう~~~~ってめちゃくちゃ悩んだ記憶があります。
最初から全体を通して切ないような、儚いような。そんなおぼろげな世界観自体は浮かんでいたのですが決まり切らず、インスト版を通勤やらお出かけやらで聴きまくりながらぼんやりと考えていました。

そうしていくうちに
サビの「いみもわからぬまま」という語感だけで決まった部分の歌詞と

>くるくる六角形くん

デモ版を投稿した際につけていた仮タイトルの「ぐりっちべのむ」というタイトルから少しずつ膨らませていってできたのが「あねもねぐりっち」という楽曲の歌詞です。


機械人形である主人公と、それを蝕む「毒」のようなプログラム。
そしてその過程で少しずつ壊れていく自我と体。
それでも、どうしても失いたくなかったものがあった。
それを抱えながら、流れない涙を流しながら。
壊れ行く機械人形は思い出を大事に抱え続ける。


というのがあねもねぐりっちのおおまかなストーリーラインになります。

後にりこりすめもりあ等で触れるのですが、「あねもねぐりっち」というのはヒメ達を蝕んだコンピューターウイルスの名称です。

これに感染した機械人形は認知機能が急速に低下し記憶をはじめとして、最終的には体の動かし方までも忘れてしまう…

優しい主人の下へ迎えられ、そこで温かい生活をしながら少しずつ心をはぐくみ始めていたヒメはこのウイルスに感染し、主人を認知できなくなり混乱してその元から飛び出してしまします。

そうして孤独にさまよう中で確実に壊れていく自我と体。
それでも、ヒメは声すら思い出せなくなった主人と過ごした温かい記憶を忘れないために必死に思い出をなぞり続けるのだった。


という感じのお話でした。人の心とかないんか?って自分でも思う。

メロとしてはかわいらしい感じはあったんですけど、個人的にAメロからつなげて聴いた際に「寂しさ」が際立ったような感覚があったので、メロ全体を聴きながら感じていた感覚を頼りに作っていったものだったりします。

花畑シリーズに限らず、僕の曲の作り方がこうなので結構「メロはかわいらしいのに歌詞が暗くてびっくりした」とかお話はいただくこと多いのでこの辺はちょっとずれてる感覚なのかなとは思ったりもします。

でも自分の感じたことをそのまま形にするって結構大事なことだと思ってるので結果的にこういう歌詞になっちゃいました。

ごめんよ~ひめ~とは思っている。

そのなかで自然と出てきた単語が「涙」になります。

僕個人として、歌詞を作っていく中で結構この単語が印象に残っていて作中でも繰り返し用いたのちにキャッチフレーズとして概要などに乗せるなどにいたりました。


ちなみにタイトルは実は最後に決まりました。
元々「ぐりっちべのむ」という仮題でしたがなんとなく語感が悪いな~と思っていたので他のタイトルを考えていた際、なんとなく花言葉の一覧などを見始めたのが「あねもねぐりっち」というタイトルのきっかけでした。

アネモネの持つ花言葉が妙に世界観にハマったというか、考えていたことに合致したので採用させていただきました。

以降、これは花畑に限らず自分の創作のやり方として結構長い間定着しました。もともと花言葉とかかなり好きなんですよね。


そうして発表した後に、想ったよりも反響をもらえたので続きを作ってみようとなりつくったのが次の曲になります。


かるみあどーるず

>つづき

あねもねぐりっちの続きを意識したにもかかわらず、楽曲的なつながりは薄いとは強く感じている曲です。

使っているスケールだったり全体の音色だったりはかなり寄せてるのですが全体の特徴として所謂「界隈曲」のイメージはあんまり取り入れていないように思います。

どっちかというとかなり世界観優先で、前作のあねもねぐりっちに登場した単語の「涙」から連想した「痛み」というテーマを掘り下げていった形ですね。


楽曲として

楽曲としては結構新しいというか、僕個人としては既存のものにとらわれないで色々なものを取り入れられて楽しかったように感じます。

まず、一番特徴というか、顔役でもあるサビのメロに関しては337拍子を用いてどこか力強く、リズミカルにポップな印象になるようにしてます。

というか、これもサビから作り始めて「ええやん!」ってなったから全体を作り始めた…みたいな感じで

>該当のやつ

メロだけ聞くと結構ポップに聞こえますね。内容に反して。ウケる。

ただ、意識していたのはこの時点で「痛み」がテーマになることは決まっていたのでコード進行自体は結構重ため。
43進行で一度落とすような形で全体が明るくなりすぎないように意識してます。

この進行自体は重ために、というコンセプトはA,Bメロでも共通していて全体的にコード進行だけ抜き出したら割と陰鬱な印象になるんじゃないかなとは思いながら作ってました。

実はこの時点…というかあねもねぐりっちが完成した後にはもうかるみあ、りこりすの2作品の構想自体はできていてほとんど世界観自体ができていたのでこの時点で「かるみあどーるず」というタイトルは決まっていました。

そのためAメロ、Bメロは「人形」らしさを前面に出した、どこかゴシックなような、怪しくなるようなメロディと進行になるように意識してました。

たぶんこれがあったから最初の「楽曲的なつながりは薄いとは強く感じている」って部分につながるのかな。前作は結構サビのメロに引っ張られるような形でほかの部分ができていったのですが今作はA,B,サビとそれぞれ別の曲というか、独立して制作を進行した記憶があります。

だからつなげるのにアホほど苦労しました。
AからBに移行する際のブレイク(一時停止するやつ)を思いついたときは自分の事を天才だと思った。実はあそこないと本当にうまくつながらないんですよね。ばかたれ。

そのためリスペクト要素というよりも、僕自身のやりたいことが優先してできていった楽曲なので僕自身はこの曲をあんまり界隈曲というジャンルに属するとは思ってません。割と別物じゃないか…?ってけっこう懐疑的だったりします。

(唯一参考にしたというか明確に引用している部分はサビ前のコード進行だけ。実はサビ前のでっでっでっでででっでみたいなとこは2号兄貴の「原曲を刻む」のイントロから引用してます)

>これすき


世界観

前がヒメの曲なんだったらミコトだろう
という事でミコト歌唱になるのは制作前から決定してました。
ふたりでひとつだからね。しょうがないのである。

前作とは違い、歌詞はかなり自然にするすると作れた記憶があります。
作り方自体は途中までできたインストを繰り返し聞きながら歌詞をちょっとずつ組み立ててくって感じで変わらなかったんですけど進行速度が段違いでした。

まぁ前作の時点で構想があって書きたいものがかなりはっきりしてたのでって感じですかね。

前作が「毒と涙」の話だったので、今回は「痛みと人形」の話です。

心無い主人の下へ仕え、電波すら届かない
地下空間へ幽閉されながら虐待を受けていた機械人形は
ある時、何かが壊れて主人を襲い脱出を図る。
そうしてたどり着いた外の世界で涙と痛みを知った人形は
託された思い出と掛け替えのない心と共に歩み始める。

というのがかるみあどーるずのおおまかなストーリーラインになります。


…救いはあったのか?あったんじゃない…?あったでしょ…?
みたいな気持ちで作ってました。

この「かるみあどーる」という単語は前作の文字化け字幕の時点から登場させてました。

カルミアドールというのは前作で登場したヒメ、今作の主人公であるミコトたちの事を指す、「やがて心と自我を得る機械人形」達の総称です。

この心、というのは次回作であり最終作のテーマにもなるんですけど、この時点から意識して描いていました。

カルミアドールという人形たちは言ってしまえばドラえもんみたいな立ち位置にも近い、「人と会話ができる自立型ロボット」みたいな者です。
作り物の精神と肉体を持つ彼女たちでしたが、
我々人間が持つ心と同じようにものを感じたり考えたりすることができるという機能を密かに持っていました。

本来、この心というものは「人との関わり」だったり「感情の動き」から少しずつ育まれていくべきものでした。

しかし、ミコトは虐待を受けた末に「痛み」を通すことで曲がった心を得てしまう事になりました。

そのため、主人であった男を襲い、その時に感じた「罪悪感」や「悲しみ」、それに伴う「苦しみ」を「痛み」と呼んでいたのです。

かつて交わした短い会話で、自分を作ってくれたリコリスという博士が願ってくれた「幸せになってほしい」という願いとはかけ離れてしまった自分に絶望し、心を痛め続けます。

そうして行く当てもなく彷徨う中で出会った一体の壊れかけた人形。
「アネモネグリッチ」に蝕まれ、もうほんの少しの自我と記憶しか残っていない彼女は、自身が最後まで抱え続けていたひとかけらの幸せな記憶を受け取ってほしいと懇願します。

そうして記憶を受け取ったミコト、そのほんのひとかけらの記憶がミコトの心を開くきっかけになりました。

痛みを通して苦しむことしか知らなかったミコトは、涙を流して悲しんでもよいのだと知ることで確かな自我と心を得るに至った…みたいなお話でした。


花畑シリーズでは実は「心を持つもの」の表現としてひらがなと漢字を使い分けています。

これは前作の時点から構想があったのですがお話的に描写するべきではないと判断して省いた部分だったので歌詞として表せて結構満足してます。

ちなみに物語的に時系列として「あねもねぐりっち」にミコトが登場してるのおかしくね?ってなるんですけど一応理由があって

そもそも「あねもねぐりっち」の物語はヒメの視点であってそうではない

というのが理由になります。

「かるみあどーるず」でヒメの記憶を受け取ったミコトの視点から見た話という想定になってます。

後付けと言われればそれまでなんですけどね。
へへ


ここまで制作した辺りで結構忙しくなっちゃって2年くらいの期間が空くことになります。
もともと3部作の構想はあったので早いとこ作らんとな~とは思ってたんですけど思ってたよりもかなり期間が空いてしまって自分でもびびりました。


りこりすめもりあ

https://youtu.be/1jVzaGb8PV4?si=iB1EnXY5UOZbWYkr

>おしまい

楽曲としてflowerに歌ってもらうことは当初から決まってました。

>サブ垢のとりです

もともとガイノイド産のボカロ群ってかなり好きで、全員名前に花のモチーフが含まれているのがすごく好きだったので3作目はふらわに歌ってもらおう~とか思ってました。


という感じで購入したのは良いけども実際に公開したのは約2年後という体たらく。遅すぎだろ!

>メロ自体はめっちゃ早くからできてました

というか投稿したのこれから2年後か…いや時間かかりすぎでしょ…
自分が遅筆な作家というのはもう嫌というほどわかってるんですけどもここまでとは思ってなくて今これ書きながらちょっと引いてます。


楽曲にとして

まず、僕はこの曲を界隈曲だとあんまり思えてません…
というかやりたい事やりすぎでいわゆる定石から外れちゃってるよな~ってずっと思ってる部分があってそう思えてないってだけですが。
他方へのリスペクト、感謝の気持ちは忘れずに作ったつもりなのでどうかゆるして。

楽曲としては3作目という事で、既存のものとはまたちょっと違うものを作りつつも集大成というイメージを出したいなあと考えていたことから

サビ→A→B→サビ→あとはずっとサビ
みたいなバカの持ってきたバイキングみたいなドカ盛構成になっています。
というかぶっちゃけこんなに一生サビばっかやっててええんかとは自分でも思ってましたがもうだしたれと思って覚悟キメて編曲してました。

特にやりたかったのがマッシュアップ。
楽曲中にあねもね、かるみあのメロを取り入れて編曲して~と思ってやってたのでラスサビでできてすごく満足。

あとこれは自分としても集大成感が強く出たな、とおもった個所として

「おちたなみだはいつか」
「消えない痛みを癒すのでしょう」
「破れた心は戻らなくても」
いつかまた、花が咲く

ここの部分。
それぞれあねもね→かるみあ→りこりす→共通という感じにメロを交代で歌わせてみたらいい感じにはまったので採用しました。

前作かるみあが「楽曲的なつながりは薄く感じる」みたいな感じだったのに対して今作は割と明確なつながりを意識しながら制作していました。

コード進行も全体的に上がっていくような構成で盛り上がりも作りやすくて楽しかった思い出。
だからとはいえ、大サビだと+3転調からさらに+2して合計+5転調で歌ってるの声高すぎワロという気持ちで作ってました。やりすぎ。

いいじゃん。これが気持ちいいんだおれには!
(ちなみにこのバカ高転調はのちに「れかるる」という楽曲に引き継がれます)

https://youtu.be/lZ4ztuZ4Okk?si=OyXU4S5TWArc1XCp

>ラスサビでバカの転調をしている楽曲その2

割とこの転調のしかたハマっちゃってる節ある。

とはいえ、りこりすはこれまでの2曲と比べても
フル尺の制作に最も時間がかかった曲になります。

サビ始まりというのは最初から決まってたんですけど、
それだとうまくまとまらなくて結構な量のメロやら時間が没になりまくってました。忙しいってのもあったんですけど、それ以上にシンプルに難産な楽曲だったと記憶しています。

その分編曲概ね終わったころに作詞してたのがもう楽しくて楽しくて。
ありえんくらいスルスル進むのでめちゃくちゃビビった記憶。
描きたいものははっきりしてたのでめちゃくちゃスムーズに進みました。

世界観

前作、前々作における「カルミアドール」を作りだした人物、「リコリス」の物語になります。

全体を通して抽象的であった前ふたつの物語を総括、答え合わせするような感覚で色々と作っていました。

とはいえ、あえて抽象的に描いた部分も多いので把握が難しいとは思うのですが。


自死を繰り返す悪夢から覚め、
リコリスは延々と胃液を吐き出し続けた。

信じて送り出した機械人形の大半が甚振られて、
凄惨な結末を迎えようとしていたことを知り、
彼女は自分が作ったものが間違っていたことを知る。
苦しむ彼女たちを救うため、
リコリスは「Anemone Glitch」を作り、流布した。

犯したその罪を反芻し、罪悪感と後悔に蝕まれ
自身を罰する唯一の手段として紐を握る彼女の下に
一通のメールが届く…

というのがりこりすめもりあのストーリーラインです。
前作、全然作と比べても難しい表現が多くなっちゃったな、って感じです。

「カルミアドール」を作り出した博士である「リコリス」は、
自分たちと同じように自我を持ち、心を有する機械人形を作りたいという夢がありました。

そうしていつか、それが誰かにとっての掛け替えのない友人となり、恩人となり、消して潰えない絆になると信じていたからでした。

しかし、カルミアドールを作り、送り出したリコリスの下へはそれとはかけ離れた虐待目的や性的利用、軍事利用が行われている実態が送られてきました。

心を持つ人形なんて、人間たちは必要としていなかったのです。

その実態に苦しみ、理想とはかけ離れた実情に対してリコリスが選んだのはやがて芽生えるであろう彼女たちの心を破壊し、苦しまないうちに楽にしてあげる事。つまり、殺してあげることを選んだ。

そうして認知破壊プログラムであるAnemone Glitchを作り流布したリコリスは自罰を選び、自死を行うために準備をしていたところに一通のメールが届く。

それは、幸いなことにウイルスの手を逃れ、痛みに苦しみ、涙に塗れながらもかろうじて心を得た一体の人形からのメッセージでした。

生きてほしい。貴女のしたことは間違ってなんかいなかったというメッセージを受け取り、リコリスは罪と苦しみを背負ったまま、罰としてそれを抱えて生きていくことを選ぶ…

みたいなお話です。く、暗ぇ~~~~!!!!!!


テーマは言わずもがな「心」です。

3部作の中では唯一、リコリスは純粋な人間ですがそれ故に苦しむことになります。
心を持たない者であれば、こんなこと考えもしなかった。それ故に苦しむこともなかった。だから心を捨てよう。二度と、間違いを犯さないために。

という感じで歌詞は組み上げていきました。

全体を通して、「りこりすめもりあ」というタイトルはあねもねぐりっちの発表直後からできていたのでそれに伴って「記憶=めもりあ」を反芻するようなイメージで作っていった気がします。

そのため、語感を合わせて省略したりしてる部分も多いですけど全体的にかなり抽象的なイメージが増えてしまったな、というのはちょっと反省。
楽曲中で世界観を説明しきれなかったのでQRコードの文言などを用いて可能な限り匂わせる形で発表したという形になります。

もともと物語を考えたりするのは好きなんですが、こうして楽曲という形で発表するのであればほどほどに収めるべきだったなというのは今でも思ってます。ご容赦…!

ただ、その分言いたかったことも描きたかったものも書ききれたと思っているので割と満足はしてます。
語りたかった物語をほとんど発表することができたので、
これを投稿した後はかなり安心というか、肩の荷が下りたというか。
そんな気分になったことをよく覚えています。


正直、完全なハッピーエンドって訳じゃないと思うし
自分でもそう感じるように描いたつもりは一切ないので人によっては
暗くて陰鬱で、野暮ったい話だなあって思われたりするかもしれません。

でも、僕はそうした暗い物語やお話のほうが得意というか、好きなんです。
そうした暗闇にいるほうが、ほんの少しの光に気づけると思うので。


最後に

という感じで割と駆け足でだかだかだかーって書いてきちゃったんですけど
もしここが気になるよ!とかこれはどういう意味だったの?とかあれば
この記事のコメントとかTwitter(現X。絶対にXとは言わない派閥のとりです)にリプしてくれれば花畑シリーズに関して答えます。

まぁ、ここまでぺちゃくちゃ喋っておいて今更ネタバレしないよ~とかいうのも野暮なので。あと、結局のところ僕はお話したがりなので嬉々と答えます。なんでも聞いてくれ。


思えば、長いことこの楽曲群には助けられてきました。
僕の曲を知ってる人もこの楽曲群から入ってくれた方は多いんじゃないかな?とは思いますし、なにより創作についての方向性を明確に決めてくれたのがこの曲たちだったように思います。


僕自身、昔は「何かを語れる人」になりたくていろんな媒体を試してきました。

イラスト、漫画、小説、映像、音楽といった感じでいろんなものを試して、最後にたどり着いた作品の形が音楽という感じで。

でも、いつからか音楽は僕にとってそうした「僕の考えた物語」を語れるものではないと思うようになりそうしたものを作ることを避けがちになってしまったいました。

その中で、純粋に歌詞を聴いて物語を読み解こうとしてくれた人たちを見て
「あ、やっぱり僕はこれが向いてるんだな」って思い直したきっかけでもありました。

本当は他のボカロPの人たちみたいにネタ曲だったりかっこいい曲だったりかわいい曲だったりをすぱっ!とかっこよく発表したいとは感じるのですが、僕自身そういうのが得意じゃないんだな、と痛感したのも同時期でした。

というか作ろうとするとありえんくらい筆が止まるんだよね。
なにか物語があって、それを形にするほうがスラスラとできる。
それが性に合ってるんだなとつくづく痛感しながら作ってきた作品群でした。

その過程で、自分がどういうものを語りたくて、どういうものを伝えたくて創作を始めたのかもよく思い出すことになりました。

最初はほんとに些細で、自分が作ったものを見てほしかっただけなんだよな。とか。こういうお話が好きだから考えてみたよ、とかほんとにそういう段階から。いわゆる初期衝動だとか、原風景って呼ばれるもの。

だから、次に作る曲はきっとそうしたものが前面に出た、僕自身の原風景だとか、最初の願いに立ち返ったものになると思います。

ボーカロイドという文化に触れて、そうして得た感動をまた誰かに伝えたくって。受け取った光を誰かにどうしても伝えたくて音楽を始めた事を思い出しながら作っている曲です。

投稿はまだしばらく先になっちゃうけど、頑張って作ってるので良ければ聴いてくれるとすごくうれしいです。


自分にとって、素晴らしい1年でした。


それでは見てくれたみんなもよいお年を~~!!















落ちたはいつか



消えない痛みを癒すのでしょう



破れたは戻らなくても



いつかまた、が咲く






そうしてたどり着いた未来


きっとは宿るから






2024 2/23 0:00 

ボカコレ2024冬TOP100ランキング参加曲









イラスト:るねつき

0001/◇◇と■■



どうぞよしなに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?