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20221220.突然思い出した一年前の話


毎日更新ならず
話の内容はなにもない

眠ろうとして暗闇の無音の部屋、目を瞑る
視覚と聴覚が遮断され、残されたのは私の脳そのものである

止まらない思考、未来のことを絵を描くように想像したり、過去を本の頁を捲るように振り返ったりする夜

寝れないので、夜から朝へ
これくらいの時間になると眠りに落ちるか、忘れかけていた、いや、むしろ完全に忘れていたことを突然思い出すかのどちらかなのだ

数ヶ月前に意識を失いぶっ倒れたことがある
段々暗くなる視界と、私の友人との架空の会話が脳内でずっと反芻していたのを覚えている
つまり夢を見ていた
ああ、人は死ぬ直前はきっと、夢を見るんだなとぼんやりと意識を失ってゆきながら、なんとも言えない心地良さに包まれていた
結局その倒れた店内で流れていた爆音の山下達郎が私を三途の川から引きずりあげてくれたのだった

話が逸れた

夢を見る原因は、脳が現実で起きた情報を処理するためだと言われている
私は寝ようとして頑張っている時は夢と現実(思考)の狭間をフヨフヨしていることが多い、というか毎日そうなので、想像や記憶の追跡で時間を食ってしまうんだろうと気づいたのだ
なので毎日寝た気になっていない
毎日毎時間眠い

今日は1年前のことを思い出した
素直に美しいと感じたことだったので、忘れないようにこうして記しておこうと、鴉が鳴き始めたのにも関わらず今私はこうしてスマホのキーボードを叩いているのである

1年前にとあるイベントに行った
人がごった返して息もまともにできない室内で、人混みが苦手な私はプラコップのビール片手に出口近くの階段に飛び出し、階段で丸くなって座り込んで煙草を吸っていたのだった

ふと辺りを見ると、階段の踊り場にひとり座り込んでいて、ちょうど目が合った
先方はなかなか泥酔しているようで、うい〜っすと完全酔っ払いテンションで話しかけてきたが、首元にまあそれは私が喉から手が出るほど欲しいお高いカメラが掛かっていて、思わず食い気味に話しかけたのだった

どうやら写真で飯を食っている酔っ払いだった
私も趣味ですけど写真やってるんですよー、といってカメラトークで盛り上がってると、ひとりの女性が近くを通りかかった
とても鮮やかで豪華な髪飾りをつけていたので、私と泥酔カメラマンで思わず同時に女性に声をかけた

「写真撮らしてーー!!!」

女性は驚いていたけれどいいですよ、と快諾してくれて、カメラマンは例の高級カメラ、私はいつもの如くiPhone12をすぐに構えた
カメラマンは流石プロで、一瞬で完全に撮影の空気を奪い取られたので私は数枚撮ってカメラマンの撮影風景を勉強がてら眺め始めた

そのとき女性が「私の顔、醜いので髪飾りだけで…」と顔をカメラから背けた
私も自分の顔が全く好きでは無く、写真を撮られるのはかなり苦痛に感じてしまうので、彼女の言葉に共感しか無かった
すごく気持ちはよく分かる、突然声掛けてごめんね…もうやめた方がいいかしら…なんて思った

泥酔カメラマンは即答で真っ直ぐな目で彼女に「すっごく綺麗だよ。大丈夫、こっち向いてごらん」と彼女に向かって言った

お世辞も嘘偽りも感じられない、純粋で美しい言葉だった
強い人なんだな、と思った
強いひとから放たれる強い言葉は、何故こうも迷いも疑いもなくただただ美しいのだろう
私もいつか、疑いや迷いのない美しい言葉を人に届けられるようになるのだろうか
美しい言葉で美しく輝いた人を私も写せるようになるのだろうか

そんなことを思ったなと、いうことを思い出しました
フリだけ長くてオチ短くてすいませんでした
泥酔カメラマン、その後は知らんが、今日も誰かを美しい言葉で勇気づけてシャッターを切ってるのだろうか
しらんけど


以上でした

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