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落とし物

今日はビートルズの日だという。
残念ながら、私はビートルズはあまり聴いていないほうだ。
有名な曲ならいくつかわかる。しかし学友の中には、人生が変わったという人もいた、、、
 ジョン・レノンは”It's Only Love”を削除したかった、1968年にはRolling Stone誌に”忌まわしい歌詞が原因でずっと嫌悪感をもっていた”と語っている。

Avant même que John ne sorte des Beatles, il a commencé à dénoncer «Ce n’est que de l’amour». En 1968, en discutant avec le magazine Rolling Stone, il a expliqué son problème avec la piste. « J’ai toujours eu honte de cette cause des paroles abominables », a déclaré John.

この曲への嫌悪はまだ続く、1980年にもプレイボーイのインタビューで同様の発言を繰り返すのである。
しかし、ポール・マッカートニーの伝記 ”Many Years From Now 1997"の中で、"It's Only Love"のような間に合わせの曲については、争うことはなかったという、もし歌詞がそんなに悪ければ、直したのに、このテーマについて丁寧に議論なんかすることはなかった、だってとポールは強調する、それは、ロックの歌詞でしかない、文学作品じゃないだから。

« Parfois, nous ne nous sommes pas battus si les paroles sortaient plutôt fades sur certaines de ces chansons de remplissage comme » It’s Only Love « », a déclaré Paul. «Si une parole était vraiment mauvaise, nous la modifions, mais nous n’étions pas si pointilleux à ce sujet, car ce n’était qu’une chanson rock’n roll. Je veux dire, ce n’est pas de la littérature. »

 村上春樹は「ノルウェイの森」というビートルズの楽曲を、わざわざ題名に掲げた。
 白状すれば、高校生のとき運動部で部活を引退したあと、村上春樹の「風の音を聴け」の世界観に圧倒された。こんなに文学が面白いのかと、思った。Jazzにはオーディオ経由で聴いていたが、小説に出てきたとき輻輳的な力をもって雰囲気が迫ってきた。
 文学が私を魅了したのは、プレイボーイが晩稲の女子を籠絡させるより容易(たやす)かっただろう。それまで、小説をろくすっぽ読んだことがなかったのだ。
 そんな私は浮かれすぎていたのか、文学部の門を叩いた。そして、あまりの知識の差に圧倒された。そのトピックのひとつがビートルズだった。
ビートルズを聴かないにどうして村上春樹を読むのかと云われたこともある。2年生になるときに専攻を決めるときに、思わず英文学は避けてしまった。どこかで気後れしたのだろう。
 熱しやすく冷めやすい性格のせいで、たくさんの落とし物をしてきたのだ。
それを「世界の終わりとワンダーランド」の夢読みの1シーンのように、ひとつひとつ拾い上げて、下手な横好きでもいいから、ここに復活していこうと思ったのが、このnoteである。
 来年からは、村上春樹の小説を読み返す日ということにしてみようと思う。
 ポール・マッカートニーとジョン・レノンにはだいぶ意見の相違がある。でも、それだからといって落としたものが要らないものとは限らない。文学にしても数学にしてもそのほかの学問にしても、自分が知りたくて興味を持ったものは、拾ってあげなくてはいけない。いまはそう思っているのである。

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