イラストのお仕事の裏側と画材について・2
Piyoko-Laboイラスト担当、ひよこです。
先日書いたこの記事。
実はもともと本アカに書いた記事なのです。まぁまぁマニアックな記事で、すごく注目されたわけではありませんでしたが、響く人には響いたようです。
その後調べて新しく判明したことがあったので、覚書として記録しておきます。
一応前の記事をおさらいしておくと、絵具には大きく分けて以下の種類があります。
①水彩・・・水溶性。乾燥後も水をつけるとにじむ
①-1 透明水彩・・・塗り重ねると下の色が透けて見える
①-2 不透明水彩・・・塗り重ねると下の色が隠れる。別名ガッシュ
②アクリル・・・水溶性。乾燥後は完全に固まる
②-1 アクリルガッシュ・・・不透明アクリル絵の具
②-2 アクリル絵の具・・・透明水彩絵の具。リキテックス
③油彩
前回、油彩に関しては全く書いてなかったことと、記事へのコメントから
・油彩
・小学校で使うマット水彩
・ポスターカラー
について書きますね。
なぜ、イラストレーターは油彩を使わないのか?
一般的に絵描きといえば、油彩絵具のイメージが根強いものと思われます。ベレー帽にスモックを着た画家がイーゼルに立てたキャンバスで絵の具を描き殴るような感じでしょうかね。
この絵はイーゼル立ててませんが。。。
しかし残念ながら、イラストレーターで油彩を使う人はまずいません。
なぜかと言えば、油彩は非常に乾くのが遅いことが理由として挙げられます。
基本イラストレーターの作品は絵をそのまま鑑賞するわけではなく、商品や雑誌など、何かにプリントして使用することがほとんどです。
また、発注から納品までは、数日から数週間と非常に短期間です。
機械にかける際には、完全に乾いている必要があるため、乾燥に数日から数週間以上かかる油彩では到底間に合わないのです。
そんなわけで、多くのイラストレーターは速乾性のアクリルを好んで使います。
「マット水彩」は「不透明水彩」とは似て非なるもの
幼稚園時代から絵画教室に通わない限り、多くの人の絵具デビューは、小学一年で用意する「マット水彩」でしょう。私はこれが苦手でした。
大人になって改めてイラストの勉強をして、ガッシュ(不透明水彩)を使ってみると、小学時代の嫌な思い出がよみがえりました。そか、あの頃の絵具はこれだったんだな。
それは大きな間違い。小学時代のあの絵具・マット水彩は不透明水彩とは全く別のものです。
マット水彩は水を多く含めば透明水彩みたいにも使えるし、水を減らせばガッシュのように上描きできます。透明水彩とガッシュのいいとこどりをしてるのがマット水彩。「半透明水彩」と呼ぶのが正しいそうです。
ただマット水彩が完璧かといえばそういうわけでもなく、絵の具の発色や伸び、退光性などは専用絵具(透明水彩・不透明水彩)には劣ってしまうんだそう。
絵画の完成度より扱いやすさを優先。子どもが細かいことを気にせず、ノビノビ描くのに向いてるということです。
ポスターカラーとは、なんぞや?
小学校を卒業すると、今度は否応なしに「ポスターカラー」の洗礼を受けます。このポスターカラーって何なんだ?と調べてみました。
ガッシュ(不透明水彩)の一種で、彩度が高いことが特徴。色鮮やかだからポスター向けなのですね。
んでも雨が降ったら流れちゃうから、屋外に貼るにはアクリルが良いんですって。まぁそうですよね。安価なため教材向きなんだそうです。
蛇足:たかが画材?されど画材
「本当に絵が上手い人は画材など関係ない」というのは真理でもあり、やっぱりちょっと違うとも思います。
人には向き不向きがあります。画家とて例外ではありません。
記憶をたどるに、私は小学時代で出会ったマット水彩が苦手だったために、絵具で絵を描くことが好きでなくなったように思うんです。
高校生の頃に油彩を習って、さらにその想いに拍車がかかりました。
しかし一転、大人になって透明水彩と出会うと、やっと自分の思うような絵が描けるようになりました。そこで自分は「不透明」な絵具が得意ではないだけだと気づきました。
思い起こすと、小学時代も私はマット水彩をしゃびしゃびに薄めて描いていて、これじゃダメだとよく𠮟られたのです。全然ノビノビ描かせてもらえてなかったですね。マット水彩の使い方としても間違ってなかったし。
不透明でも、アクリルはそこそこ描けるようになりましたが、時間をかけてちまちま塗り重ねることが好きな私には、アクリルは向きません。あっという間に乾いちゃうから。絵具も無駄になるし筆も固まるし。
2007年(イラストスクール卒業)にアクリルで描いたパン
結構評判よかったけど、仕事には結びつかず
ぼーっと生きてても叱られないのは、透明水彩や色鉛筆で塗るから。どれだけ時間かけても固まらないし、味わいが増します。
そんな奴でもこうして絵を生業としてるんですから、今、絵が苦手だと思ってる人も、画材を変えてみたら、好きになれるかもしれませんよ。
また、水彩の場合は実は絵具や筆以上に重要なのは「紙」です。よい紙を使うと急にうまくなったような気になれます。お試しあれ。
今は色鉛筆 + デジタルで落ち着いています
※素朴な疑問。
日本の画材メーカーが大阪に多いのはナゼ?
サクラクレパスもターナーもホルベインも大阪。
(ターナーやホルベインは海外メーカーだと思ってた)
ぺんてるは東京、クサカベは埼玉。