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水族館で会える「世界一過酷な子育てをする鳥」

動物園でなく水族館で会える鳥と言ったら......、

そうです、ペンギンです。

水族館などではかわいい動物キャラクターとして扱われがちなペンギンですが、本来の生息域は主に南極大陸やその周辺の島々です。南極大陸の気温は常にマイナスで、内陸部では年平均気温が-50℃を下回る極寒。植物は生えておらず、餌は海に潜って取るしかありません。人間が南極点に到達したのはたった109年前の1911年で、想像を絶するような環境だったはずです。そのような環境での生活は、たとえ進化で適応した動物にとっても易しいものでは無いでしょう。例えば、南極大陸にあるコウテイペンギンの繁殖地の温度は-60℃以下にもなり、卵を生んでから孵化して雛が成長するまで約半年間も絶食し、天敵や寒さから子供を守ります。まさに世界一過酷な子育てです。近年では、気候変動や餌の枯渇が原因で絶滅危惧種に指定されている種もあります。

ペンギンに興味を持って頂いたところで、この記事では日本の水族館や動物館で飼育されているペンギンの種類や生息地、習性、飼育施設などについて簡単にまとめて紹介します。今度水族館に行くときの予習のため、雑談のネタにするため、知識欲を満たすためなどに使ってください。

各章冒頭の画像に情報をまとめてあるので、それだけ読めばペンギンについての最低限の情報が得られます。

0. ペンギンの基本情報

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ペンギンは、鳥綱ペンギン目に属する種の総称で、現生するのはペンギン科のみです。全部で6属18種類と言われています(亜種の分類については様々な説あり)。

ペンギンは南半球の主に高緯度帯~南極大陸に分布しています。実は、南極大陸の内陸で繁殖するのはコウテイペンギンとアデリーペンギンの2種だけ。他の種は比較的温暖な南極半島や南極周辺の島、南アメリカ・アフリカ南部・オーストラリア・ニュージーランドなどで繁殖します。加えてガラパゴスペンギンは赤道直下に生息地があります。

日本の水族館では18種のうち11種が合計2000羽以上も飼育されています。野生のペンギンが居ない北半球では一番ペンギンが居る国になっています。

前置きはここまでにして、以下では日本の水族館で飼育されている11種それぞれについて、外観、分布、生活様式などを簡単に紹介していきます。各種ペンギンの情報だけでなく飼育施設も記載しているので実物を見たい場合は参考にどうぞ。
(ペンギンの属名や種名は和名や英名、亜種名など色々な呼び方があるので、飼育施設での名前とここに記載されている名前は違うかもしれません。)

1. キングペンギン属

属している種: コウテイペンギン、キングペンギン
特徴: 大型(100 cm前後)、橙色の首周り

コウテイペンギンとキングペンギンは大きさ、首周りの模様、フリッパー(ひれ)の長さなどで区別できます。

(1) コウテイペンギン

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※体重は繁殖期かどうかで大きく変化するのであくまで参考

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▲「肯定」ペンギン

(2) キングペンギン

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発見当時は最大のペンギンだったのでキングと名付けられたけどその後にコウテイペンギンが見つかって2番目になってしまった。

2. ジェンツーペンギン属

属している種: アデリーペンギン、ヒゲペンギン、ジェンツーペンギン
特徴: 中型(70 cm前後)、基本的に白と黒で単純な模様

それぞれの種は頭部の模様の違いで判別できます。

(3) アデリーペンギン 

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▲昔Twitterで流行ったコラ画像はアデリーペンギン

(4) ヒゲペンギン

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(5) ジェンツーペンギン

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3. マカロニペンギン属

属している種: マカロニペンギン、イワトビペンギン、(シュレーターペンギン)、(スネアーズペンギン)、(フィヨルドランドペンギン)、(ロイヤルペンギン)
特徴: 中型(70 cm前後)、黄色いトサカ

それぞれの種はトサカの形状で区別できますが、6種もいるので覚えるのが大変。

(6) マカロニペンギン

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(7) イワトビペンギン

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4. フンボルトペンギン属

属している種: フンボルトペンギン、マゼランペンギン、ケープペンギン、(ガラパゴスペンギン)
特徴: 中型(70 cm前後)、首の黒いライン、腹部の斑点

それぞれの種は首のラインの本数と頭部の模様で区別できます。

(8) フンボルトペンギン

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(9) マゼランペンギン

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(10) ケープペンギン

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5. コガタペンギン属

属している種: コガタペンギン、ハネジロペンギン
特徴: 小さい(40 cm前後)、黒でなく青みがかった色

(11) コガタペンギン

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6. 日本では飼育されていない種

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日本では、上に記載した5属の一部とキンメペンギンが飼育されていません。ニュージーランドとオーストラリアのペンギンは現地ツアーなどに参加すれば簡単に見ることが出来ます。ガラパゴスペンギンを見るためにガラパゴス諸島に行く場合は、日本発のパッケージツアーで最低40万円くらいかかるみたいです。

7. 参考

Wikipedia
Photo Volcanica Penguin Info and Photos
ペンギンブック
Web水族館



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