見出し画像

ペントハウス 所感。チュ・ダンテ一家について。

韓国ドラマのペントハウスにどハマりして、シーズン1を10日弱で一気見してしまった。儚げ美人のスリョンさんが好きすぎて、寝ても覚めてもスリョンさんのことを考えてる。そんなスリョンさんと大悪党チュ・ダンテ、そして双子の兄妹ソクフンとソッキュンに関して、興味深かったので感じたことを書いておきたい。完全に自分用の覚書。シーズン2-20ぐらいまで見てるから、そこまでのネタバレは普通にしてるので注意。

①チュ・ダンテはどうしてヘインをすり替えた上で生かしておいたのか??


スリョンさんがチュ・ダンテと結婚する前に交際していた男性との間に授かったこどもであるヘインを、チュ・ダンテは別人にすり替えた上で「生まれる時に脳に障害を受けた」と偽り鎮静剤で10年以上も眠らせておいたわけなのだけれど、(実子のミン・ソラは孤児院へ)どうしてそこまで手間をかけて生かしておいたんだろう?

別人にすり替えた理由は、「あいつ(スリョンを自分から奪ったスリョンの恋人)の子供を生かしておくわけがない」とチュ・ダンテが自分で言っていたように、猛烈な嫉妬心からな訳だけど、それなら死産だったということにすればいい。
すり替えた上で生かしておいた1番の理由は、スリョンの実家の土地をヘインに相続させて、それをゆくゆくは自分が相続するため(だからいよいよ土地が必要になった時点でヘインを始末しようとした)。これは割とわかりやすい。

でも、2番目の理由は、むしろこっちも同じぐらい重要で、「ヘインを人質にとってスリョンをコントロールするため」だと思った。
仮死状態のヘインの生命を維持するには膨大な資金がいる。それをチュ・ダンテが払うことで、チュ・ダンテの力なしではヘインは生きられないとスリョンに知らしめる。

チュ・ダンテって、ことあるごとに「私に任せておきなさい」って言うんだよね。
あれって、一見優しげな夫に見せながら、実は相手の自由を奪って無力感を味わわせてコントロールするセリフだと思う。

自分のせいでヘインが障害を負ってしまったと自分を責めたスリョンは、争うことができずにチュ・ダンテの手に落ちる。

初登場時のスリョンの、美しいけど儚げで、どこかぼんやりとした佇まいは、籠の中の鳥、という言葉がよく似合うと思った。世間のことも、家庭のこともよくわかっていない、おっとりとした奥様、ってかんじ。

ドラマに出てくる母親たちが、子供の教育に血相を変えるのと対照的なその姿が、最初は余裕と上品さからくる優雅さだと思って見ていたけど、実際は上記の理由で内心戸惑うことしかできず、「頼りになる」夫の隣で表面的に微笑むことしかできていなかった、それが正しいと思い込んでいたんだろうなと思う。

後半のスリョンを見ると前半のスリョンが彼女の本質ではなかったと言うことが分かってくる。

ユン室長と共謀して、ヘインを死んだことにして自分の元に取り返してから、目に見えてスリョンは生き生きとしてくる。家業の家具屋の経営も自ら率先して行い、ファッションもそれまでの淡く儚げなドレスから、快活なパンツスタイル・サングラスに変化する。何よりも、自分の子供を自分の手で守るという、韓国ドラマの女性に強く描かれる「母性の衝動性」に後押しされて、前半の彼女とは打って変わって、しかし本質的な知性や品格によって違和感なく大胆に、行動を起こすことが出来るようになる。
(ここが悲しいくらいオ・ユニと対照的。オ・ユニも子供を愛する気持ちは負けず劣らずだけれど、いかんせん知性や品格に欠けており感情的でただただ見苦しい)

②双子の兄、ソクフンについて

本作のイケメン枠、ソクフン。文武両道容姿端麗、寡黙でクールなその姿に、ペ・ロナもハ・ウンビョルも、視聴者もくびったけだよ(何)。

でも、妹含めヘラパレスの子供達ほどは行動が目立たなくても、しっかりミン・ソラいじめには加担してるし、ロナが虐められていても、気にはかけつつも自分から助けには行かない。そろそろロナのこと助けにくるかな?と思ってても、全然来ない。おかしいな、普通のドラマだったらそろそろいい展開になるはずなのにな。

なんで??

そもそもロナのどこに惹かれたの?ヒロイン補正を抜いて(コラ)

教室に入ってきた補欠生ロナを見て、最初にヘラパレス勢がバカにする中、「・・でも顔は可愛い」と呟いたから、そもそもに顔が好みだったっていうのは大前提としてあるわけなのだけれど、その後も虐められては挫けないロナの姿に、困惑しながらも惹かれていく。

この「困惑しながら」っていうのが重要だと思ってる。

最初、どうしてロナのことが気になるのか自分でも分かっていない。
それを「イケメンだけど恋愛慣れしてない実はウブな男子高校生」ってことにするのもいかにもメロドラマっぽくていいんだけど、ちょっと違うと思う。
そもそも実はクールでも寡黙でもなくて、単純に「自分の感情が分からない」のかなと。そしてその根底に父親からの虐待がある。

ソクフンとソッキュンは、日常的に父親であるチュ・ダンテから身体的・精神的虐待を受けていることが作中で描写されている。父親の意に背く言動をすると即・力でねじ伏せられてしまう。未成年ということもあり、金銭的にも父親の力なしでは生きられない。つまり、スリョンと同じように、無力感を染み込ませられてコントロールされている。同級生たちを見つめる冷めた視線は、諦めの眼差しでもある。


だから、スリョンとソクフンは、なんとなく表情がぼんやりしていて似ているなと思う。

で、どうしてロナに惹かれたのか。

顔が可愛いから、それ以上に、いじめや差別、暴力に決して屈しない姿が、あまりにも新鮮で、勇気をもらったからなんじゃないかな、と。こんな生き方があるのか、と教えてくれたのがロナだったんじゃないかな。

逃げるスリョンを追おうとするチュ・ダンテの前に「母さんに構うな」とソクフンが立ちはだかり、たじろいだチュ・ダンテはソクフンよりも小さく見えた。もちろん本気を出したら身体能力なんて歳の差があってもチュ・ダンテの方が強いのだろうけど、チュ・ダンテがたじろいだのは、今までコントロールできていた息子が初めて反抗したことに対して怯んだからなんだろうな。
でも、ソクフンは賢いので、未成年で親の庇護を受けないと何もできない自分の立場をよく分かっているので、それ以上は噛みつかない。

③双子の妹・ソッキュンについて

大丈夫なの?ってくらい細くて足が長い・・・。眼福・・・というのを上回る超いじめっ子。ミン・ソラやロナのことを虐めてる時の顔は、少女漫画の悪役のソレすぎる。

でも、そうなったのは割と最近らしい。その変化の原因は、スリョンが実は継母だったという事実が発覚したから。

今まで過ごした日々の全てがひっくり返るぐらい、血が繋がっていないというのはそこまでショックなんだろうか?と見ていて面食らったけど、たしかに10代の多感な時期にその事実を知るのは酷だし、韓国の母娘の絆ってなんだか尋常じゃなさそうな雰囲気を醸しているから、拒否反応を示すのも当然なのかしら・・?

(新居にオ・ユニとぺ・ロナが顔を寄せて撮った写真がデカデカと飾ってあるのを見てゾッとした。韓国では母娘というのは一心同体みたいなところがあるのだろうか。ここは国民性なんだろうけれど、異文化すぎる)

で、「母親面すんなー!!」とひたすらスリョンを拒否するソッキョンだけど、スリョンが死んだ後の回想で、スリョンにまとわりついて甘えるソッキョンや、スリョンに髪を結んでもらうソッキョンの姿の描写がある。それは現在のツッパって不良になってるソッキョンの姿とは大分違う。数ヶ月前まで、ただの甘えん坊な女の子だったのだろうなと思う。どうしてこうなった・・・・。

先の韓国の母娘は一心同体説から考えると、母親を偽者と否定することは、自分自身を偽者と否定することに等しくて、ソッキョンの根底には自己否定があるんだろうなと思う。だからやることがいちいち無謀で派手。どうなってもいいや、みたいなどこか破滅的で、投げやりな様子が感じられる。加えて虐待も相まって、自分という人間は、父親がその気になればいつでも消されてしまうんだという恐怖と諦めもある。でも自己否定に走り切って自暴自棄になるにはプライドが高く気も強いから、必死に周りに噛み付いて自分を守ろうとしている。もう自分を守ってくれる人はいないから。(兄に頼ると兄が虐待されちゃうし)
そういう、弱い自分を守るには自分が強くなるしかない、でもコントロールを失って暴走する姿が見ていて辛い。

同じ苛めっ子でも、ウンビョルとはそこが違う。ウンビョルは他人から見たら親にも財団にも守られてるから。そりゃソッキュンから見たら目障りで仕方ないだろうなと思う。ウンビョルはウンビョルで親の期待が大きすぎて大変なわけなのだけど・・・。

ところで、ソッキュンは父親に虐待されているにもかかわらず、目に見えて父親の権威を傘に着るし、テストでいい点が取れるよう父親に不正を頼むし、それってどういう心理なんだろ・・・と考えてた。

基本、チュ・ダンテって、女性が自分の支配下にさえいれば、それなりに目もかけるし、世話も焼く人間なんだなと、ソッキュンに限らず多々いる女性陣を見ていると思う。それは人間扱いというより完全に自分の所有物扱いなわけなのだけど・・・。
だから、女性陣も、歯向かいさえしなければ、ある程度の我儘は聞いてもらえると学習してる。そしてそれを武器にすること、悪びれないことを覚えていく・・・。
韓国の女性の気が強いのって、もしかしてそういうモラ気質の男性に対する処世術だったりするの・・・・?怖・・・(偏見)


シーズン2で生みの親の話をされた時に、ソッキュンが「自分の母親は1人(スリョン)だけ」と言い捨てるんだけど、本当にソッキュンはスリョンのことが大好きだったんだと思うと切ないね。

もしかしたら、うちのお母さん他の母親と比べてぼんやりおっとりしてるなー天然だなーそこも好き!とか思ってたのが、ぼんやりしてたのは実の子供に気を取られていたからだったんだ、って勘違いしてそう。本来の自分を取り戻して必死にミンソラ事件の真相を追うスリョンの姿を(何をしているか知らなくても)見れば見るほど辛かっただろうな。ソッキュンにしたら裏切り行為だもんな。

そんなことを考えると、ソッキュンをただの嫌な奴、という目では見れなくなってくる気がするな。


・・・と、ペントハウス一家について考察して見たけど、全部自分の妄想なので・・・・。


余談

チュ・ダンテって、政略結婚だとか言いながら、スリョンやソジンの心に他の男性がチラつくとものすごい怒り方するんだよね。どんなに彼女たちが反発したり噛み付いたりしても飄々としてるのに、男が絡むと表情が一変する。スリョンの元恋人は殺されたし、ユンチョルも消されかけたし、ソジンも軟禁されてるし。これってどういう心境なんだろう??
愛情はないけど、自分の所有物を他の男に取られる、というのがマジで許せない、ってことなのかな。男性ってそういうものなのかね??それとも何かものすごいコンプレックスでもあるのかね・・・???父親と何かありましたか・・・??

あと、スリョンはもちろんのこと、ソジンを軟禁して家事させてるのを見てて思ったんだけど、気の強い女性を屈服させて支配して飼い殺しにするのが性癖っていう可能性あるよね。
それって、女性恐怖症とかの裏返しの可能性あります・・?母親と何かありましたか・・・??

なんか血へのトラウマもちみたいな描写もあるし、チュ・ダンテの過去が明かされる今後に期待。チュ・ダンテにも同情の余地が生まれるような過去が果たしてあるのだろうか・・・・。でもあんなに悪い女だったソジンですら、シーズン2でむしろ苦労人というか、被害者じゃん・・・って思うようになったから・・・・。


でも間違いなくこの作品の真の悪人はオ・ユニだよ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?