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再発を防ぐ〜肉離れのアスレティックリハビリテーション〜




現在、Jアカデミーに所属しトレーナー活動をしています。
これまでトップカテゴリーからアマチュアまでの選手をみてきました。
トレーナーとしてただ選手のリハビリを行うだけでなく、パフォーマンスアップにつながるトレーニングなども行なっています。
ケガをしてからではなく、いかに怪我をしないようにプレーするか、その中で最大限のパフォーマンスを出せるかを常に考えリハビリやトレーニングを行なっています。

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<SNS>
Twitter:Godai Tanaka
note:https://note.com/godai55

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こんにちは!!

今回は肉離れに対するアスレティックリハビリテーションから予防・パフォーマンスアップまでを紹介していきます。

Jリーグが再開して2ヶ月ほど経ちますが、再開してすぐは筋肉系のトラブルや怪我もあったかと思います。

私が担当しているカテゴリーはジュニアユース以下ですが、ジュニアユース年代の選手は活動再開後に筋肉のトラブルがかなり目立っていました。

長期間の休み明けで基礎筋力が落ちている中で、段階的に負荷量を上げていましたが、基礎筋力に対するアプローチが少なくこのような状況になってしまったのかもしれません。

やはり、予防としての基礎筋力に対してトレーニングすることは必要だと再認識することができました。

ということで、今回の肉離れに対するアスレティックリハビリテーションでは大まかに

軽い疫学
復帰までのプロトコル
肉離れのアスリハの概論と実際
復帰基準
アスリハ+α

このような流れで説明していきます!


★肉離れの疫学(肉離れとは)

疫学については安江さんの記事に詳しく載っているためここでは軽くおさらい程度に紹介していきます。

肉離れは

ハムストリングスの損傷が多い
ついで下腿三頭筋、その次に大腿四頭筋となっている

ハムストリングの損傷では筋肉と腱の間での損傷が多い

受傷するシーンとしては
急なストップ、ターン、方向転換が多い
つまり非接触での損傷

季節や時期などの影響も受けることがある

ざっくりですが肉離れはこのような実態があります。

細かいことはもっと多くありますが、現場レベルではこのくらいで十分かと思います。



あまり動画がなかったので内田選手のハムストリングス肉離れの受傷シーンです。

パスを出す時足を遠くに伸ばしたまま着地して受傷しています。

これは典型的な受傷と言えます。

筋肉は伸ばされながら力を発揮する時により大きな筋力を使います。
大きな筋力を発揮するため負荷も高くなります。

そのため受傷シーンのような足を伸ばすことでハムストリングスは伸ばされます。
その状態のまま地面に足が着いた瞬間に強い力が働いて、その負荷に耐えられずに受傷となったわけです。

肉離れの多くはこのような受傷パターンがあります。

こういったシーンを覚えておくだけで肉離れの見方が変わるかもしれません。


★肉離れの損傷度(損傷の度合い)

I型 末梢筋繊維
Ⅱ型 -1度 わずかな損傷
-2度 部分断裂
-3度 完全断裂
Ⅲ型 腱付着部

Sports Medicine No.218

このような損傷の場所や分類があります。

Ⅰ型の損傷であればおおよそ1週間〜2週間
Ⅱ型の損傷は4週間〜6週間
Ⅲ型の損傷は状態にもよりますが断裂していれば3ヶ月以上かかるとされています

肉離れはこのように損傷を受ける場所の違いや損傷の程度によって復帰するまでにかかる期間が変わってきます。

この復帰までの期間は病院でドクターが判断するため、迷ったらすぐに信頼できるドクターに診てもらうことをお勧めします。


★肉離れのプロトコル(復帰までの流れ)

肉離れのプロトコルにおいても復帰まで大まかに4つ分けます。

急性期・亜急性期・回復期・復帰期

この4つに分けて書いていきます。


*急性期*

肉離れの急性期であっても基本的に3日程度が急性期と考えます。急性期では損傷による強い炎症反応が出ている状態です。

日常生活や安静時での痛み、熱っぽさ
があるうちは急性期と捉えていいでしょう。

他のケガでも共通して言えることですが、怪我した直後の対応、急性期での治療が予後の良し悪しを決めると言っても過言ではありません。

肉離れでは、損傷してから筋肉の出血があります。
出血量を増やさないこと、出血の範囲を広げないことなどが必要になってきます。

この辺りの処置・対応の仕方は安江さんの記事に詳しく載っているので参考にして頂ければと思います。
*亜急性期*

肉離れの亜急性期は3日〜1週間程度とみてください。

急性期の強い痛みなどの炎症が落ち着いて、日常生活レベルでは問題なく過ごせる状態であると言えます。

亜急性期では患部の治療を優先させながらも患部外で心肺機能を落とさないようなリハビリも行っていきます。


*回復期*

亜急性期後半〜回復期からアスレティックリハビリが始まります。

肉離れのリハビリでは筋肉を伸ばした時の痛みと力を入れた時の痛みがなくなることが重要になります。

筋肉を伸ばした時の痛みを伸張痛、力を入れた時の痛みを収縮痛と言います。この伸張痛と収縮痛を回復期までの期間でなくなるように治療することが大事です。

これらの痛みがなくなり次第ジョギングが開始となります。

そのため伸張痛と収縮痛はリハビリの中で重要な基準となります。


*復帰期*

復帰期では、アスレティックリハの後半であり、練習に部分的に参加している状況になります。

フルスプリントが問題なく行えていて、減速やストップ動作といった筋肉に負荷のかかる動作も問題なく行える状態であると言えます。

ここまで来れば後は練習に全て合流し、ゲームに入っていくという流れになります。



★肉離れのアスリハ

肉離れのアスリハにおいても、まずは患部の炎症が落ち着いている、日常生活が痛みなく送ることが出来ている、などがクリアしていれば開始となります。

またアスリハの開始がジョグOKからだと、伸張痛や収縮痛がない状態が必須と言えます。

肉離れのアスリハでは

筋肉の状態
可動域(身体が動く範囲)
動作の改善
サッカーの動きの改善

この4つに分けて考えていきます。


リハビリのタイムマネジメント

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