みんながどういうこと考えて成長や研究を決めてるの教えてほしい noteとかで(全36回完全版・35スキル環境編)
■はじめに
全4章のうちの3章め、前回
の続き。
今回の見出しカードイラストはクリエイト:ワンダーランド「蒼空の碧」。
とある事情により1回しか配布しなかった珍しいカードだ。
そうせざるを得なくなった理由については23:00で後述する。
■22:00:自然35・領域24・具現35・解析35
領域-6、自然・具現・解析+5。
公開された35スキルの中で手の届きそうなもののうち、デメリットつきで効果量の高そうなライブラリとランドスライド、パッシブ初の召喚スキル・山精木魅、召喚専用の強力パッシブスキル・効果付随と、面白そうなものや有用そうなものを見繕った形だ。
効果付随は召喚の道へ進まなければ活かすことのできないスキルだったが、17回辺りから奪命という強力な効果を持つ装飾を愛用していた身には、同様に倒される際おもむろに攻撃を繰り出して回復する、通称残機を持つ召喚物を繰り出せる可能性があるのは夢があった。
■スキル研究:22:00
前回に続きスピリトゥスを1研究。
デスペラートは武術制約20、初期状態で公開されていたスキルで、なかなかの威力を持つデメリット付き無属性連撃だ。
このスキルはとらやこぐまなど有力な使役NPCの使用スキルとしても名を馳せていた。
仲間になった使役NPCはともに更新回を過ごすほど基礎能力が上がり、時には新たな技も覚えた。序盤の敵であるこぐまなどこの段階で出てくると10更新以上を主人と共に過ごしており、屈強だ。その上、使役NPCにも超過適応を始めとする数々の従者専用強化スキルは適用される。
これまでの進行ルートにはこれらの使役者がいなかった都合上研究を遅らせていたが、このタイミングでベースキャンプへ帰還するのと同時に研究したと思われる。
使役NPCとキャラクターどちらを見るにしても使用者とマッチングしなかったことに助けられているスキルと言えるが、この時点での研究が結果的に大きな意味を持つ。
■22:00余談:印象深い従者たちと、彼らを取り巻いた環境について
この辺りでは使役を検討したり召喚スキルを習得したりしているが、森は結局敵NPCを使役することも、召喚NPCを召喚することもなかった。
森の成長だけではこの辺りにあまり触れられないので、印象深い使役NPCと、何故彼らが輝いていたのかの話で当時の環境について補完しておく。
使役されるNPCはおおむねアタッカー向けとサポーター向けに二分され、前者においてはこぐま・とらとともに洗濯機、後者においてはラフレシア・大毒茸・蜃などがこの頃の代表格だった。
パワフルヒールを振るう土偶、地属性の純回復スキルが揃うアルラウネなどヒーラー向けも少数ながら存在した。
その他、少人数環境では成り行き的に行動を共にした結果、その珍しさや意外な強さから主人とセットで知られた使役NPCたちもいた。
使役NPC1体ごとに名前やアイコンがつけられる仕様により、主人の愛着を感じやすかったのもあるだろう。
特に初期から使役を行っているキャラクターや使役NPCを使いこなすキャラクターの場合「あの人と言えば」という顔的な使役NPCが知れ渡っていることも多かった。
こぐまのデスペラート、とらが時折ランダムに繰り出す強撃、洗濯機のディープブルーなど、名の通ったアタッカーNPCはいずれも代名詞と呼べる強力な攻撃を持っていた。
もちろん更新回が進んでより強力なスキルが出てくれば苦しくなるが、新たな従者強化スキルと過ごした時間による強化がそれを補完してくれる。
従者強化スキルが共通で効く仕様上、召喚型キャラクターが使役NPCを従える場合も多かった。
サポーターは弱化担当か強化担当かで型が分かれ、腐食による回復弱化・盲目による命中・回避低下など肉体変調のスペシャリストであるラフレシア、厄介な効果が多い【スキル使用後】パッシブの発動を抑止できる精神変調・魅了を撒くことができる大毒茸は弱化担当。
使役NPCながらクリエイト:ワンダーランドが使用できた蜃は強化担当の筆頭格だった。
こちらはアタッカー型に比べ使役者が行動を割かなくとも仕事をするため、非召喚・使役型のキャラクターでも扱いやすい型だった。
また、大毒茸の話で登場した【スキル使用後】パッシブのうちとりわけ警戒されたのはスキルではなく、とらも所持している強撃という付加効果だった。
これは五月雨を煮詰めたような付加で、スキル使用後たまに当たりづらいが非常に重い一撃がノーコストで飛んでくる。偶然の命中1つが致命傷になりかねない。
しかもスキルではないため、スキル研究による弱化もできない。
場所を問わず使える合成で作る食材によって容易に付加でき、特定の料理種別にすることでアイテム喪失もなく使用できたことも強さや普及率に拍車をかけた。
この頃は連続行動スキルも強力になっており、
など特定スキルを使い続けているだけで1ターンの連続行動数は容易に上限に達し、多くの【スキル使用後】発動チャンスを得られた。しかも後者は属性化によって命中不安の解消や更なる火力強化まで可能だった。
そして多くの【スキル使用後】効果を抱えていたのは、転移門・超過適応を代表とする「サモン」使用時を条件とするスキルたち。
この頃、その2つに匹敵する脅威の存在が知られ始めていた。
場に新たな召喚NPCやビーフがサモンされると同時に、場にいる従者が一斉に主人をかばい始めるのだ。
その数8回。
合計ではない。従者1体につきだ。しかも累積する。
その上このツリー直上にある35複合スキルは、表記内容だけで騒然となる代物だった。
召喚NPCは倒してしまえばもう出てこない。
そんなせめてもの対抗手段は、このスキルの登場によって意味を失った。
もちろん複数体登場するたび、転移門や超過適応や贖罪山羊は発動する。
この時間の森が対人戦をした相手は、折しもそんな戦術の使い手だった。
あの時ほど茸の撒く魅了を渇望した日はない。
この戦いに私は通常戦の戦闘設定が読めなくなるほど頭を使い、そして不運も重なり、森はこの回の通常戦でNPC戦唯一の引き分けを喫している。
■23:00:自然35・領域15・具現34・解析35・時空15
領域-9、具現-1、時空+15。
完全新規のツリー・時空に触れ多くのスキルを習得したが、大きな目標は先制。
セットすると戦闘1ターン目から即座に追加行動が発生するスキルだ。
空間掌握により生まれた人を一撃で倒すという可能性は、もちろん戦略や準備を伴えばより確実となる。
序盤の1行動に大きな意味が生まれた世界で、短期決戦の重要なパーツとなるスキルに注目が集まり始めていた。
そして前回からこの回にかけ、世界には激震が走っていた。
いくつかのスキルに関する修正が告知・実行されたのである。
ゴッズディサイドの効果量半減(100%→50%)
クリエイト:ワンダーランドの持続時間半減(6T→3T)
精確・粗雑痛撃のクリティカル影響への見直し
前2つはシンプルで分かりやすい。では、最後は?
この条件に該当する最も有名なスキルは、間違いなくこれだった。
3研究しても止まらないスキルを、ついに天が止めに来た。
クリエイト:ワンダーランドについても時勢を反映した時短営業などと称され、この3つの修正は各所に大きな影響をもたらした。
ひるがえってこの森を見てみよう。
見事にすべて習得し、存分に振り回している。
当時の呟きには狼狽する私の姿が克明に記録されていた。
この修正による大きな影響を鑑みてか、システム側からは臨時ボーナスのFP50が配布された。
ただこの次の更新日が2/10=豚丼の日であったことを反映してか、正式な理由は「豚丼の日」だからとされており、そのためこのFP50自体がもっぱら「豚丼」と呼ばれていた。
そして前回からこの回にかけての変更は、スキル影響面に留まらない。
それについて具体的な告知はなかったが、しかし多くの人、特に対人戦に意欲的なランキング上位者はそれを実感していた。
変更されたのは対人戦マッチング処理。
ゲーム開始当初はマップの近隣から対戦相手が選ばれていたが、ゲーム中盤で突如マッチング範囲が大きく拡張され、間を置かず対人戦をしないという選択肢自体がゲームから消えた。
この2つにより、対人戦を考慮しないキャラクターと対人戦を最重視するキャラクターのマッチングが自然発生することとなったのが18:00頃から。
双方のモチベーションに大きく関わるこの事態を重く見たのか、この22:00から影響力=大まかな強さやランキングレートを基準としたマッチングが優先的に組まれるように変更された。
もちろん2陣営の参加人数や強さ分布が同じでない以上、すべての面において常に最適なマッチングは組めない。
おおむねPT人数が少ないほど仕様意図通りにマッチングが成立していた印象があり、ここから特にソロ上位戦では回替わりボスラッシュとでも呼べそうな濃厚な対人戦が繰り広げられることになる。
私は今でもここからの残り13回、現実時間にして半年を戦い抜くために5年分ほど脳機能を前借りしたと信じている。そんなことをしてまでゲームをしてはいけない。
■スキル研究:23:00
自分が倒された時、相手全体へ攻撃を加えられる火属性スキル。
火属性には類似の付加を付与するなど、倒されることをきっかけに猛攻を繰り出す離脱前爆弾と呼ばれる型のパーツとなるスキルがいくつかあり、タイミングを考えればイバラシティ陣営のベースキャンプ滞在者に使用者がいたものと思われる。
倒されると同時に使える回復手段で復帰すれば二度三度と爆発できたり、本人が爆発して相手を道連れにし従者だけが残って勝利をもぎ取ったりとなかなか対処が難しい型で、研究することで少しでも有利を取りたかったと考えられる。
■24:00:自然35・具現35・解析34・時空35
領域-15、解析-1、時空+20、具現+1。
更に時空ツリーを駆け上がる。
自己強化や回復、敵味方を問わない攻撃を得意とする自然関係のツリーの中で、時空との複合ツリーは一二を争うほど攻撃性が高かった。
クリエイト:キャノンを5分割したような強烈な攻撃を繰り出すメテオは地属性の最大火力で、先述した離脱前爆弾になれる百花繚乱もある。
先制を合わせると戦闘開始から終了まで絶え間なく動き続けているようなツリーだ。
22:00の対人戦で苦しめられた強力な召喚サモン:ジン、その直上で珍しい回復系の召喚サモン:スレイプニルも習得。
だがここで取得した意味が大きいのは、実は25スキルのプレシアンス。
珊瑚樹の習得時に守護は追加HPバリアのようなものと説明したが、追加HPとは一つ明確に違う点がある。
守護によって攻撃を受け止めた場合、攻撃そのものは回避した扱いになるのである。
この仕様が非常に重要になるスキルが、35複合に存在していた。
より研ぎ澄まされた姿で、イディオータが帰ってきた。
ダイスを振ることはやめても、相変わらず回避されれば終了。
だがこれほど手数があれば、途中で途切れてすら相手を打倒できる。画面の上から下までを1スキルのダメージ表記が埋め尽くす様は圧巻の一言。
対処には、守護によって初撃の段階で確定回避してしまうのが一番手軽かつ確実だった。
もちろん消費SP1000は法外に重く、40複合が現れてもこのスキルは非召喚スキル消費トップを譲らず同率首位の存在を許すのみに留まるほどだった。
だからといってそうそう飛んでこないかと言うと、そんなことはない。
この消費SPの仕様には抜け穴が存在した。
イバラシティの戦闘にはカードという、外付けのスキルを発動できるようなシステムがあった。
外付けといっても自分が習得していないスキルでも使用できるという意味で、SPは自分が払うしEPコスト上限をオーバーすることはできない。
このカードは特定タイミングに強制発動するが、SPが不足していてもSPをマイナスまで割り込んで発動する。
さらに、カードの消費SPが使用者のMSPより高くても上記の仕様で問題なく発動する。
莫大な消費の代わりに一発逆転の可能性を持つヘカトンケイルがこの枠で大歓迎されたのは言うまでもない。
どのようなカードが入手できるかは他プレイヤーとの交換によるため、基本は運次第ではあるが流通量を増やすことで特定カードの入手率を上げることはできる。
そのような作戦があったのか単純な運なのか私にはわからないが、イバラシティ陣営のソロ上位者はヘカトンケイルカードの所持率が比較的高く、突然ヘカトンケイルが飛んでくる可能性は広く存在した。
相手の所持カード欄にヘカトンケイルを見つけた時の対策として、そして実際に幾度も命を救ってくれた手段として、プレシアンスは思い出深いスキルの一つだ。
■スキル研究:24:00
ヴィクティムは自分や味方にダメージを与えながら4連撃を繰り出すスキルで、先述した強力なアタッカーNPCの一体・とらの主力スキルの1つ。
連続行動増効果が一定値に達するかが重要な連続行動スキルは1研究のみで止まる場合も多いため、ライブラリはまず1研究で止めている。
■25:00:自然35・具現35・解析34・時空5・変化35
時空-30、変化+35。
豚丼を食べて時空を一気に下げ、代わりに上げたのは新たなツリー・変化。
イディオータなど強力なスキルは多いのだが、森の場合はこの時点の異能構成で上げることに大きな意味があると踏んだ。
定番構成での余りEP枠に入るスキルが貧弱という悩みを解決する、あらゆるステータス上昇効果を強化する万能パッシブ・千変万化。地属性2つめの敵攻撃属性変化・バンカー。
こうした堅実に強いスキルを回収しつつ、残りのスキルで大きな戦法の変化と、同じ戦法への対策を試みることができる。
パワフルヒールに頼り切って他の回復スキルには目もくれなかった森は、仕様変更によりついに有力な回復スキルを1つも持たなくなった。
今から回収しようと思えば、もちろん使えるものはある。
しかしこのまま回復スキルが不要な短期決戦の完成度を上げる方が効率がいいと踏んだ。
対人戦環境は空間掌握の配備や攻撃スキルの基礎火力上昇により大火力が飛び交う世界へ変わりつつあり、回復スキルを覚えてもすぐに長期戦をするのは難しい。
だが森の手元には既に空間掌握が、クリエイト:キャノンが、メテオが、先制が、クリエイト:ワンダーランドがある。
更に言えばアイテム欄には戦闘開始時の連続行動値を上げる付加・追風の素材があり、今すぐは実現できなくとも1Tから3行動する目途は既に立っていた。
その3行動のうちにどのスキルで相手を倒すのか。その組み合わせを大量に作って読めなくするとともに、もし構成を当てられてどれかのスキルがキャンセルされても相手を倒せるだけの力をつけたい。
……と考えたのが23更新頃。
新スキルの効果発動もそこそこに以降しばらくの習得計画を作り、大枠をそれに沿って進めるのは以前と変わらなかった。
先制のため時空を上げることは確定。35スキルを加味し始めた当初は、そこから響鳴を経由して百薬へ向かうことを考えている。
検討によりそこに割り込んできたのがこの大幅な変化の上昇だ。
その路線変更の有力な後押しとなった一つは与ダメージ上昇スキル、アスティオン。
イバラシティの与ダメージ補正は元値100%に追加で上昇幅%だけ加算される形で、このスキルの上昇幅は150%だったかと記憶している。これだけで次の与ダメージが2.5倍だ。
PTのどこへ飛ぶか分からないのが欠点だが、それは空間掌握が適用できるという美点でもある。
実使用結果では空間掌握や必殺など数々の補正の上、与ダメージ補正は310%まで上昇し、この次に繰り出したクリエイト:キャノンはその他の補正がないにもかかわらず6桁に迫るかというダメージを叩き出していた。
もちろんこれを振るえる世界とは、これが飛んでくる世界でもある。
その有力な対策が紙一重。
大ダメージを受けた際に内部で回避判定をもう一度行うようなスキルで、致命傷が飛び交う世界では覚えているだけで圧力になる。
変幻自在は条件がついた代わり何度も発動するようになった先制に近く、ブレイドフォームなど「フォーム」がつくスキルを使うとその場で追加行動を得る。
ブレイドフォームのAT増を始めフォーム系スキルは堅実でシンプルな強化スキルが多く、ダメージを与えるための準備時間を大幅に短縮できる。
また1ターンまるまるフォームし続けて過ごし、先制などで実現するターン3行動を次ターンへ丸ごとずらすスキルキャンセル逃れにも使えると考えていた。
■スキル研究:25:00
アスティオンの危険性は上で語った通り。
ハデスポムグラネイトはこれから環境を大きく占めていく、空間掌握とともに必携クラスの強力無比なスキルだった。
空間掌握で強化できる全能力上昇。弱いわけがない。
デメリットとして共に強化される自傷すら、任意のタイミングでカードを使うための呼び水として有用だった。
森の変化35も将来的なこのスキルの習得を目指してのことだ。
まだ習得者が少なかったためこの段階では1研究に留めているが、この先で当然3研究され、それでもなお飛び交っていたほどのスキルだった。
■26:00:自然35・具現9・解析34・変化35・響鳴35
時空-5、具現-25、響鳴+35。
召喚を実用するには具現Lv参照の強化スキルがほぼ必須ではあったが、個人で戦うためのより強い力を得るべく具現を下げる方向で決断。
2更新で潔く豚丼を食べ切り、追加でいくらかFPを消費している。
響鳴はSP攻撃や魅了付与に長けるツリーで、待望の地属性SP攻撃・イクスクレイム、強力なSP攻撃5連撃のエレクトリックパレードの習得により相手の行動をSP面から止め、そのまま倒すことも可能になった。
ノクターンはダメージのない魅了撒きスキルで、一応の一応【スキル使用後】を止める手段も得たということになる。
だがこの回の最大の目的は、なんといってもスペシャルタイムの習得。
一見、さらに上昇ステータスが増えるとともに時短を進めたクリエイト:ワンダーランドだ。
しかしその真価は、書かれていない上昇幅にある。
全能力上昇幅、驚異の130%。
ワンダーランドの2倍、修正前のゴッズディサイドをも軽く超えていながら、どこまでも効果時間の短さだけがネック、効果判明当初はそんなスキルだった。
が。
そこからほとんど間を置かず、この効果時間を延長する方法が見出された。これだ。
持ってはいるけど、いつ覚えたんだっけ? ……少なくとも私はそんな調子だったし、これ以前は使用結果さえ珍しいほどの無名なスキルだったことを覚えている。
必殺スキルとしての使用や空間掌握で強化ターン延長効果までも伸びることがこの頃に判明し、スペシャルタイムとともにこのスキルは一躍脚光を浴びた。
■スキル研究:
ハデスポムグラネイトに追加で1研究。
先制は1研究で「戦闘開始時から連続行動」という強みを失うためここで研究しているが、上位を占める強者の多くはこの性質を理解していたため、森は相手の先制1研究にたびたび泣かされることとなる。
その他、自己習得した強いスキルの1つとしてエレクトリックパレードを1研究している。無属性スキルのため、こちらが地属性強化・耐性を持って戦うとより刺さりやすい脅威だった。
■27:00:自然35・解析34・変化34・響鳴35・武術15
具現-9、変化-1、武術+15。
序~中盤で一度0まで下げた武術を上げ直す。
あれ、これから百薬に向かうはずでは? 2023年から計画表を見直した私もそう思った。
豚丼により広く普及してきた贖罪山羊対策にはチェインリアクトのような多段攻撃による召喚主への狙撃が有効で、そうした攻撃は武術ツリーに多い点を考えたのだろう。
そしてこのタイミングで武術へ向かった大きな目的はおそらく血気だ。
この少し前から、敵NPCが使用する中にこんなスキルが登場していた。
この段階では使役した敵NPCが使えるだけで、習得条件となる異能は何なのか、そもそも今後キャラクターが使えるようになるスキルなのかさえ判明していなかった。
だがこのスキルの地撃化の文字からして、きっと自然の系譜だ。
自然=地属性とは自他双方の属性化スキルが揃う唯一の属性であり、単系に自己地撃化が置いてあるようなツリーなのだから。
そしてこのスキルを更に魅力的に見せたのが、既に習得していた百花繚乱。
このスキルが散り際に繰り出す多彩な属性攻撃を、大山鳴動はすべて地属性にまとめ上げてくれる。
ここで血気の話に戻ると、こんなスキルだ。
散り際の火力はこのスキル最大の華で、かつて回収した、命中に関する同様の効果を持つ死線とともに離脱前爆弾の必携パーツと言ってもいい。
こうして森は散り際に爆発する森となるための手段へ突き進んでいく。
■スキル研究:27:00
幾度話に挙げたかわからないスキルへついに釘を刺した。パッシブスキルの3研究は五月雨以来である。
3研究しても強化補正の下降幅はわずか15%。だがその15%がある側とない側がぶつかり合えば、形勢が前者に傾く可能性は無視できないだろう。
自分自身を含め多くが持っていたスキルだからこその選択だ。
■27:00余談:地図とキャンプと装備計画
イバラシティはマップ制のゲームで、キャラクターはその地図上を1更新につき5歩まで進める。アイテムや装備作成などの取引は、マップ近隣のキャラクターとしか行えなかった。
歩くために必要なリソースが尽きたら陣営別のベースキャンプへワープ帰還し、取引が活発で、システム購入ができ、解禁済みのどのボスへでも挑める環境で戦力を整える。
その繰り返しでゲームは進んだ。
森は23:00に帰還してから、この後実に31:00までの9更新をベースキャンプで過ごしている。
それまでのマップ上で行っていたのは未知のイベントポイントの開拓だ。
イバラシティ側、チャットルーム用のマップを見ればゲームマップ上でのイベント位置はいくらか推定できたため、同様の目的を持った他キャラクターとともに目的地へ向かい、戦っていた。
未知のボスと初めて戦ったキャラクターはその場でボーナスFP+5が得られるなどこうした行動を促す仕様のためもあったが、単純に何があるか分からない場所に向かうことも、マップとにらめっこしながらそこまで行けるかどうかを考える時間も、私には楽しいものだった。
23:00の帰還当時、マップは既にフルオープン。
それに伴って開拓先のルートも地図上で既に考案されており、そちらへ向かうためには今現在も開拓を続けている誰かに同行する必要があった。
だが開拓が進んだ分多くのボス戦が解禁されており、そちらのドロップ品にも魅力的なものが山ほどある。
開拓遠征の間にアイテムが溜まっていたり、欲しいアイテムや揃えるべき装備が増えていたこともあり、森はマップ最後の出発地点が開くまでベースキャンプで戦力補充をしていた。
アイテム数などリソースに余裕が出てきたこの頃は同種別でも複数の装備を持つことが当たり前になっていて、ソロ環境では特に召喚・使役NPCを前に出して後列に立った召喚主を狙い撃つための長射程武器は必携となっていた。
さらに開拓遠征中に新たに売り出されたシステム購入素材は基礎的かつ強力で、これを使って射程1の基本武器も作製。
他には遠征中・キャンプ滞在中に手に入れた追風素材を装備化し、先制と合わせて1ターン3行動による速攻を実現。
装備種別は命中率向上が期待できる幸運付加のつく防具種別・法衣。
この頃は追風と同様連続行動に関与する加速付加素材がベースキャンプ外で出現し開拓者が喜びに沸いた時代でもあり、そちらについてもかなり遅れたが取引で入手できた。
加えて帰還の数更新前に発見されたボス敵が蘇生という、文字通りどんな致命傷からでも蘇る付加の素材を所持しており、ゲーム進行に伴ってソロ撃破が可能な戦力・戦法が見出されてきたためこれも入手。
地属性を強化する強力付加の素材を落とすボスも発見されており、そちらも確保した。これらは水以外の各属性に存在したため、他属性へ対抗する意味もある。
その他、特定属性への耐性装備を持っているとその属性の使い手への圧力をかけられ、実際この滞在中に地耐性装備保持者との戦いで大いに悩んだため、片手間で可能なものとこれからのボス撃破で使用予定がある属性分は作成しておき、
これらをこなすため長期滞在しているうちに40スキルによる新たな装備種別や強力な合成素材が解禁されたのでさらに滞在を延ばし……
ベースキャンプを出る頃には、装備欄を見ただけで圧力を与えそうな装備がそれなりに完成していた。
地図を見ながらルートを考えることが、ボスリストを見ながら装備計画を考えることにうまくすり替わったらしい。
こういうことを考えている過程もとても楽しいゲームだった。
■28:00:自然40・解析34・変化34・響鳴35・武術15
自然+5。
まだスキルも手に入らないLv40帯に早々と手を伸ばしたのはもちろん新スキル解禁への期待によるものだが、まだLv40スキルはやってこなかった。
この時間は何のスキルも習得していない。
だから上げるはずだった百薬は? 2023年の私もそう思った。この時点でFPは40以上残っている計算だし、やろうと思えばできたはずだ。
だがこの頃の習得検討表を見ると、どうも将来的に自然をLv99、カンストまで上げる計画を視野に入れていたため、大きくFPを使うことを避けていたようだ。
特定異能だけを上げ続け早々にLv99に達したキャラクターはごく少数存在していたが、キャラクター表現を超えてそれに踏み切らせるだけのスキルは初期状態から存在した。
こうした異能Lvを参照する強化スキルが各属性とともに無属性・召喚に存在し、ソロ対人環境にはこの当時既にLv99具現により屈強極まりない召喚NPCを呼び出す召喚主やLv99の属性異能と自己攻撃属性変換スキルにより全攻撃に圧倒的な属性攻撃力を載せるキャラクターが実在した。
こうしたスキルで自属性耐性までが上がる都合上、自他ランダム攻撃の大崩壊や自他の攻撃属性変換スキルを持つ地属性は属性99に高い適正があり、「自然99大崩壊ですべてを滅ぼす」は考えに疲れた時の案としてしばしば異能習得表に出現していた。
予告されていた36更新も終盤が見え始め、ともすれば現時点の行動が40スキルを取り終えた後までへ影響が及ぶこの頃になって、その案はいつも以上に現実的なものとして存在していたのだろう。
もう一つの理由は次回分で。
■スキル研究:28:00
ハデスポムグラネイトを3研究し、完全に釘を刺す。
ムスケルクラフトはデメリットつきの強力な無属性攻撃で、ヘカトンケイルの下にあるこのスキルの習得者が増えていた対策もあっただろうが、この研究についてはまずこのスキルの使い手について話をしなければならない。
このスキルの最も有名な使用者はプレイヤーキャラクターではなく、召喚NPCだった。
己の肉体つまり強力な無属性攻撃をもって敵を討ち、味方が攻撃されそうになればその身でかばい、味方が傷つけば不器用ながら救命もこなす。その姿はまさにヒーロー。
そんな名前負けしない存在だったが、それに加えこれまでの数々の強力な従者強化スキルは変わらずヒーローに味方した。
豚丼FP50が配布され思い切った方向転換がしやすくなるタイミングも重なり、35複合解禁以降あちこちでAT・DX+100%され召喚主をかばうヒーローが呼ばれては駆け付けるようになった。
この期に及んでまだ実用的な回復スキルが1つもない森の取る戦略は限られている。
ヒーローを呼ばれる前に召喚主を倒す。サモン:ヒーロー自体をスキルキャンセルする。そして愚直にヒーローを倒す。
もちろん最後はできる限り起こしたくない事態ではあるが、その使用スキルを研究しておけば万一の対策となる。
22:00のデスペラート研究はこぐま・とらの他偶然ヒーロー対策にもなっていて、このずっと後でついにヒーローを召喚されてしまった森はこの辺りの研究で命が助かっている。
まあヒーローの強さの本質は強撃ともっぱら噂されていたし、体感としてもだいぶその通りだったので、ここの研究はある意味悪あがきと言える。
出現後の対策がほぼ不可能だからこそ、ヒーローは強かった。
■29:00:自然40・解析34・変化31・響鳴35・武術25
変化-3、武術+10。
クリアしたイベントでボーナスCP+2を得てさらに武術を上げ、ゴッズディサイド弱体化後も残ったAT+100%、ソウルビートを習得。
既にスペシャルタイムを習得している以上当初ほどの輝きはないものの、ATを大きく上げながら多段攻撃でかばう回数を削れるこのスキルは贖罪山羊の出現以降株を上げており、実際召喚型キャラクターとの戦いでは数度出番があった。
命中に関わるステータスを堅実に上げる巧技、MHPそのものを減少させるフィアスファング、ソウルビートと同じ多段攻撃ながら研究を逃れやすいジェネラルも回収。
だから百薬は? という数千字前の話を繰り返すと、40複合スキルを見てからに回そうと決め込んだようだ。
百薬35まで上げハデスポムグラネイトを習得することは確定しているが、おそらく40スキルが控えるこのタイミングで多くのFPを使うと自然99への振り直し以前にツリー位置次第で大山鳴動の習得を逃しかねない。
この判断は吉と出て、この1更新後40複合スキルを含むスキルリストを見た私は大喜びした。
大山鳴動とハデスポムグラネイトが交わる先に、渡りに船のようなスキルが存在していたのだから。
■スキル研究:29:00
変幻自在は先制と同じく1研究でその意味を大きく失う。先制を警戒しながらこちらに無警戒だと思ったのだろう。
ソウルミュージックは響鳴派生の多段SP攻撃スキルで、1段ごとにダメージが大きく上昇するタイプの連鎖撃。
だがこのスキルの特長は受けている変調を攻撃前にATへ変換する点で、自分に変調を付与するデメリットがあるスキルとともに使うのが定石だった。
素の5段フルヒットの威力も無視できず、属性使いに刺さりやすい無属性ということもあってここで研究を加えている。
だが異常変換型のAT増はもちろんこれ1つではない。実際に、森はこの回でこの類似スキルの使い手に敗北を喫している。
使い手の多くが対処の難しい回避・高速型だったのもあって、これ以降も類似のスキルには度々悩まされることとなる。
この辺りは語るべき環境要素が多く、この章が最も長い。おつきあいありがとう。
40スキルが出現し、記事は次回へ続く。