段ボール一箱 ショートショート
父が段ボール一箱にぎっしり詰まったのを送ってきた。
中身は処理しきれなかった、いらない父自身が写った写真。
なんの嫌がらせかと思う。
この不思議な荷物は、中に例えお金の入った封筒があったとしても(入れたら声高に言うだろうしどうだっていい)段ボールの底までなんて確認なんかしない。
即ゴミ捨て場へ。
この段ボール箱には、呪いがかかっているから。
しばらくしてから確認の電話でも来るのかと思ったが、電話もない。
その不安の為に、押し入れに保管なんかしない。
なんとなく愛が有りそうなのが笑える。
うちの家族の不思議な性悪な癖。
そういえば、母も何かのオマケだとか驚く程価値のない物が詰まった段ボール箱を送ってきたことがあった。
一つも必要な物も、良い物もなかった。
愛が有りそうで、愛の欠片もない物が送られてきた。