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イエスと  (ショートショート)

学校の帰り友人と歩いていると霧がまわりに立ち込めてきた。
歩いていくと見知らぬ街に出た。人垣がある。
中に男の人が立っていた。
私を見ると「よく来たね」とその男の人は私たちを招き入れた。その人はイエスだった。

イエスのいる家で何日か過ごした。
特に何かあったわけでもなく過ごした。
友人はお使いを頼まれていた。

「送っていこう」と言われ三人で歩きだすと、霧が立ち込め途中でイエスは立ち止まり、友人とわたしは10メートルほど先に進んだ。
振り返るとイエスの姿がおぼろげに見えた。
友人と離れて思わずもどったがもうそこにはいなかった。

私たちは通りを渡ると友人がまた明日と言って駆けていった。
後で友人とあの時の話をしたら、けげんそうな顔をしてそれって何と言われた。

あの人がイエスである必要はないのだが、宇宙人だとしても良いのだが、自分の確信としてそう思う。
過ごした何日かが私の心の力になると思った。
私もイエスと会話した内容を忘れていた。霧のように。

ただ、イエスのたたずまいが心に残っている。

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