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Mesoblast $MESO はコロナ治療の救世主となるか?

こんにちは、ぴたごららです。今回は今週バイオテック投資家界隈で話題になっていたMesoblastについて調べてみました。

Disclaimer:
本内容は非専門家である私がニュース記事等をまとめたもので、内容の正確性や、専門用語が正しく使われているかなどは保証できません。正確な内容に関しては原文をあたってください。本内容、またそれに基づいた投資判断につき、私はいかなる責任も取れません。
また、本記事は特定の医薬品の使用を推奨するものでもありません。

なぜ話題になっていたか

2020年9月30日から有価証券が取引停止になり、一人東証状態になっていたんですね。プレスリリースも簡素なもので、以下のような感じでした。

Mesoblastの有価証券は同社の要請により取引停止処分となります。オーストラリア証券取引所が別の決定をしない限り、2020年10月5日の通常取引開始か、または市場に発表されるまで、有価証券は取引停止状態を維持します。(抜粋・意訳)

これにみなさん騒いでいたんですね。

Mesoblastとは

Mesoblastはオーストラリアに拠点を置く再生医療(細胞治療)関連の会社です。同社の主力(予定)製品はRYONCIL(remestemcel-L)で、ステロイド抵抗性の小児の急性移植片対宿主病(GVHD)の治療として承認申請をしており、FDAは優先審査品目に位置付けた上で9月30日までを審査期限としていました。

GVHDとは臓器移植に伴う合併症のひとつ。
移植片にとって、レシピエント(臓器受給者)の体は異物である。GVHDとはドナー(臓器提供者)の臓器が、免疫応答によってレシピエントの臓器を攻撃することによって起こる症状の総称である。混同されることがある病態として、いわゆる拒絶反応がある。拒絶反応はレシピエントの免疫応答によってドナーの移植片が攻撃されることによる合併症の総称であり、GVHDとは、攻撃する側と攻撃される側が反対である。(wikipediaより抜粋・意訳)

なおremestemcel-Lはコロナによる急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療薬としても開発が進められており、現在フェーズ3試験が行われています。

みなさんそろそろ期限だけど承認どうなるかな、ドキドキ、ってなってたんですよね。そんな中「東証よりちょっとお先に取引停止するわ」って言われたもんで大騒ぎです。

取引停止について

@goldenpyreneesさんにアドバイスをいただき調べたのですが、このような取引停止はオーストラリアだとたまにあるようです。Mesoblast自体も2016年に同じような状況になっています。

私は「取引停止」と聞いてさぞやましいことがあるんだろうな、さてはオーストラリア版のテ○か?と思ったのですが、そういう訳でもなさそうです。現時点で承認されている製品はないものの、そもそもFDAに承認申請を受理されていて、先立って開催されていた諮問委員会でも9対1で承認を支持されています。しかもremestemcel-Lは日本ではTEMCELLの製品名で承認済みです。怪しい製薬会社ではありませんでした、疑ってすみませんでした。

結果的にFDAから承認は下りず、取引が再開された10月1日の時間外で同社の株価は37%下落しました。

興味深かったのが、9月30日がFDAからの承認通知期限で、10月1日の日中に同社が何もプレスリリースを出さなかったので、仕組みがわかっている人が早く非承認だったこと、あるいは審査期限が延期されたことを開示しろと煽っていたことです。承認だったらFDAもプレスリリースを出すようで、それがないということから自ずと結論が導き出されるようです。しかもその間取引停止で売りたい人は売れずパニックに…
今回非承認に至った理由は主に有効性に対する懸念とのことで、ピボタルとなった小児試験にプラセボ対照群がなかったこと、成人を対象とした試験で失敗していることなども背景になっているようです。諮問委員会の結論はあくまで「推奨」とのことで、FDAが必ず従わなければならない訳ではないようです。

コロナ治療としてのremestemcel-L

今回の非承認は「効果がないから」というより「効果があるか明確にわからないから」という感じでしょうか。諮問委員会がサポートしたことから小児の急性GVHDがニーズのある治療対象ということは間違いなさそうです。
今回の件でMesoblastは時価総額にして10億ドル相当が吹っ飛びましたが、そもそもこの適応症に対する売上はピーク時でも1億ドル程度の見積もりだったようです。この数字だけを見ると会社として終わったわけではないのに売られ過ぎ、となるかもしれません。BioMarinの時は似たような考察をして私はインしたのですが、credibilityは絶対的にBioMarinの方が上だと思っています。

重症のコロナ治療として当たれば大きいように思いますし、TEMCELL(日本ではJCRファーマが販売)のロイヤリティも着実に入っているようですが、今まで米国における承認実績がなく、かつコロナ治療においても画期的治療薬指定などを受けていない、というのはちょっと怖いですね。

中等度または重度のARDS患者12人が、ニューヨーク市の病院でremestemcel-Lの2回の投与を受けた。そのうち9人の患者(75%)が中央値10日で人工呼吸器の抜管に至り、退院した。これは、同時期のニューヨークの2つの主要病院ネットワークにおけるコロナ患者のうち、抜管が可能な患者がわずか9%であり、生存率が12%であったことと対照的である。(抜粋・意訳)

いかがでしょうか。これだけ見るとすごく有望そうですが…12人だけのデータですからね…
個人的には、コロナはたとえワクチンができたとしても根絶には至らず、インフルエンザのように付き合っていかなければならない感染症のようになると予想しています。その場合、残念ではありますが重症化してしまう方がゼロになるとも思えませんので、たとえば先日紹介(以下)したRegeneronのREGN-COV2などが重症例の治療薬になってくれると嬉しいですし、それとは別にMesoblastのような細胞治療のアプローチがあっても良いと思っています。

他のコロナ関連の細胞治療銘柄

コロナのADRSに対する細胞治療については、他にこのような銘柄もあります。

Pluristem Therapeutics Inc. $PSTI

イスラエルの会社で、140人規模のフェーズ2試験を実施中。

Brainstorm Cell Therapeutics $BCLI

米国ニューヨークの会社で、動物実験データが有望とのこと。

参考資料:
Mesoblast | Financial results for the period ended June 30, 2020
http://investorsmedia.mesoblast.com/static-files/400f9ae8-06ff-4c17-81dc-192ef9459021

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