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遺伝子治療関連銘柄の注目アップデート②:2020年下半期

こんにちは、ぴたごららです。

さて、前回に引き続き遺伝子治療関連のバイオ銘柄の最新動向を見ていきたいと思います。前回記事は以下をご覧ください。

Disclaimer:
本内容の正確性は保証できません。本記事、またその内容に基づいた投資判断につき、私はいかなる責任も取れません。また本記事は特定の医薬品の使用を推奨するものでもありません。

BridgeBio $BBIO

先天性副腎過形成に対するBBP-631と、カナバン病に対するBBP-812の治験届提出を予定しています。

遺伝性疾患に対する治療薬候補(非遺伝子治療)を複数保有しているのと、 癌領域でもフェーズ3まで進んでいるプログラムを持っています。次の打ち手として遺伝子治療への参入を考えているようです。

ちなみにですが、先日noteにまとめた遺伝子検査会社Invitae $NVTAの共同設立者であるRandy ScottがBoard of Directorとして参加しています。

Invitaeの記事は以下をご覧ください。

遺伝子治療に関してはこれから参入というところでしょうし、今のところ企業としては治療薬候補を他ベンチャーから導入しまくって大きくなろうとしているようなので、なんというか、ガチャガチャしていますね。あまり統一したビジョンが見えず、個人的にはしばらく様子見です。

Krystal biotech $KRYS

常染色体劣性先天性魚鱗癬に対するKB105のピボタル試験となるフェーズ2試験の開始と、Aesthetic Skin Conditions(病気というより美容目的?)に対するKB301のフェーズ1試験開始を予定しています。

企業としては皮膚科領域にフォーカスしていて、最も進んでいるプログラムは劣性栄養障害性表皮水疱症に対するberemagene geperpavec(通称B-VEC)。美容への参入も考えている(?)のは面白いと思いますが、ちょっと未知数ですね。
どうでもいいですが、CEOの名前がKrish Krishnanで社名がKrystal Biotechというのは、どうなんでしょう。あまり好きなセンスではないです。

MeiraGTx $MGTX

X染色体劣性網膜色素変性に対するAAV-RPGRのフェーズ1/2試験の追加結果、放射線治療による口内乾燥に対するAAV-AQP1のフェーズ1/2試験結果、パーキンソン病に対するAAG-GADの商用製剤試験の治験届提出、RPE65欠乏症(網膜色素変性?)に対するAAV-RPE65の承認基準に関するFDAとの協議を予定しているとのことで、目白押しです。

大半の眼科領域の治療薬開発ではJanssen(Johnson & Johnson $JNJの医薬品部門)と提携を組んでいて、キャッシュの受け取りに加えて開発・商業化コストまでJNJが負担してくれるそうです。主要領域でコストの心配があまり要らないというのは相当強いと思います。

口内乾燥はよくわからないですが、パーキンソン病治療でも開発がそこそこ進んでいるようで、個人的には先日紹介したApplied Genetic Technologies Corpよりはこちらの銘柄の方が気になります。技術の優位性などを確認してからsmall positionを持ちたいかも。

Orchard Therapeutics $ORTX

異染性白質ジストロフィーに対するLIBMELDYのEU承認の可能性、 LIBMELDYのUSでの治験届提出、ムコ多糖症1型に対するOTL-203のproof-of-concept中間データの開示、前頭側頭型認知症とクローン病に対するプログラムの内容開示、といったイベントを控えています。

プログラムの数が多いですね。全体把握が難しそうなので、個人的にはもしblueprint bioを持つのであればこちらはパスかな、という感じです。

Passage Bio $PASG

GM1-ガングリオシドーシスに対するPBGM01のフェーズ1/2試験を開始するようです。

小児の疾患に絞っているわけではなく、中枢神経系の疾患であれば守備範囲とするようです。まだ治験を開始していないので、これからの動きをチェックという感じでしょうかね。

Prevail Therapeutics $PRVL

GBA遺伝子変異パーキンソン病に対するPR001のフェーズ1/2試験の再始動、ゴーシェ病2型に対するPR001のフェーズ1/2試験の開始、GRN遺伝子変異前頭側頭型認知症に対するPR006のフェーズ1/2試験の開始を予定しています。

中枢神経系に特化していますね。CEOが特許等の秘密保持の観点でもめているという話もあり、今のところ積極的に投資をしようとは思いません。

REGENXBIO $RGNX

RGX-314に関してはwet AMDに対する網膜下液投与のフェーズ3、脈絡膜上投与のフェーズ2(実際に9月15日に開始したようです)、糖尿病性網膜症に対するフェーズ2試験の開始、ムコ多糖症の2型に対するRGX-121の中間データ開示、1型に対するRGX-111のプログラム開示、セロイドリポフスチン症の網膜症状に対するRGX-181、中枢神経症状に対するRGX-381の治験届の提出が控えています。お腹いっぱいですね。

会社としては眼科領域、中枢神経が主要ターゲットですね。前回記事でも触れましたがRGX-314のデータにあまり興味がそそられなかったので保留しています。以下記事にもありますが、術後の視力低下が17%の患者でみられたというのは、どうなんでしょうか。程度はわかりませんし、もともとの病勢進行によるものかもしれませんが、個人的には懸念点です。

Rocket Pharma $RCKT

ダノン病に対するRP-A501のフェーズ1試験データ、ファンコーニ貧血に対するRP-L102の追加データ、パーキンソン病に対するRP-L301のフェーズ1試験データ、白血球接着不全症に対するRP-L201の追加データの開示を予定しています。ちなみにですが、Rocket Companies $RKTではないですよ。

2017年に妙な上場の仕方をしていて、詳しくないのでよくわかりませんが上場済みだったけど死に体だった製薬企業(Inotek)と一緒になって乗っ取った、という感じでしょうか?なぜ単体での上場を目指さなかったかなどいろいろ不明で、個人的には好きな感じがしません。

Sarepta Therapeutics $SRPT

デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するCasimersenのUS承認、SRP-5051のフェーズ2試験のデータ開示を予定しています。

筋ジストロフィーに関しては長い歴史とバトルがあるようで、理解に時間がかかりそうなのでスキップします。

Ultragenyx Pharmaceutical $RARE

オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症に対するDTX301のEOP2会議(フェーズ3に進む前のFDAとの相談会議のようなもの)と、そのDTX301のデータ開示、1a型の糖原病に対するDTX401のEOP2会議、ウィルソン病に対するUX701の治験届提出を予定しています。

ティッカーをみてもわかるように遺伝子治療にかかわらず希少疾患に関する治療開発をフォーカスとしているようです。CRYSTIVA(染色体連鎖性低リン血症、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症、腫瘍性骨軟化症の治療薬 ※非遺伝子治療)では協和キリンと提携しています。

Verve Therapeutics(未上場)

ANGPTL3, PCSK9をターゲットとした冠動脈疾患に対するリード候補品の選定を行うとのことです。

未上場ですし、これからという感じですね。

おわりに

いかがでしたでしょうか?遺伝子治療に取り組んでいる会社や研究機関は他にも多数あり、あくまで上記まとめは2020年の下半期にメジャーなアップデートがあるものに限られていますが、個人的には動向を追っていきたい企業が増えたので勉強できてよかったなと思っています。

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