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夏は死ね

ドラッグストアの駐車場の雪山が日に日に小さくなっていくのを見て「ああ、もう春なんだ」と感じ始めた。

高校卒業までは関東に住んでいて雪とはそれほど縁がなかったので、視覚的に春を感じることができるのは少し新鮮な気持ちだ。

人によって好きな季節、嫌いな季節というものがあると思う。花粉症の人は春が嫌いだし、寒がりな人はきっと冬が嫌いななんだと思う。

僕は夏が大嫌いだ。
小さい頃は海やプールが気持ち良いという理由だけで夏を好いていたのに、この頃はどうも好きになれない。

暑すぎる。

無許可に人の肌をこんがり焼いてくる日差しにも、何をしているわけでもないのにただ汗を垂れ流している自分の汗腺にも、嫌気がさす。

もちろん海が気持ちいいのは今でもそうなんだろうと思う。ただ海に行くような、少年のようなパッションはもうない。

海に行ったとしても日傘をさし、肌に日焼け止めを塗りたくり足元だけを海水に浸らせるようなつまらない人間になってしまったのだ。

少年の僕はきっと両親の視線の先で勢いよく海に飛び込んでいたのに。

ただ大人になったことで無くしたものばっかりではない。

小さな頃は感じなかった秋の魅力に気づけたのだ。

まず何故か秋になると飯が異様に美味く感じるようになる。(僕はこれを秋バフと呼んでいる)

そして暑さが日に日に消えていくのを感じながら衣替えをするのも心地よい。(僕は暑さのウイニングランと呼んでいる)

人の「好き!」の感情には質量保存の法則が存在していると思っていて、きっと無くした夏への好意は秋に移ったのだと思う。

これから夏が来る。

少し憂鬱なのは変わらない。

ただその先にいる秋に会いに行くために今夏も乗り越えるぞ!

最後に秋の一番好きなとこを言いたい。

それは近年夏と冬の気温的な主張が激しくなることで、不本意にも自分の存在している期間が短くなってしまってる秋の情けなさだ。

綺麗すぎた秋の雲


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