見出し画像

野村アセット『リオープン・ジャパン2301』の償還売りの仕組みで学ぶリスクトレードビジネス

例の野村AMの償還売りの仕組みで学ぶリスクトレードから一連のリスクトレードの流れを簡単にご説明します。

なお実際このようなやり取りがあったかどうかは分かりませんのであくまで僕の妄想です。一般論として読んでみてください。

↓クロス詳細(そもそもこれがそのバスケットかどうかわかりませんが💦)

■リスクトレードの流れ

① 野村AM→証券会社

投資家がバスケットを売りたいです、金曜日の引け値基準で幾らで買ってもらえますか?と証券会社3社程度にヒアリング

② 証券会社→野村AM

このバスケットは金曜日の引け値のXbp下の値段でなら買いますと返答

このXが一番低い証券会社と取引をするための引き合い。当日のマーケット環境、株式の流動性、ボラティリティ、その証券会社の取り得るリスク許容度などで決定

③ 野村AM→証券会社

投資家は証券会社からの返答の中で一番有利な価格で取引証券会社を選びます。今回の場合は100bp(1%)安い価格でお願いしますと返答

Done

つまり他の証券会社は野村AMが売りを持っていること詳細な情報と共に取引前から知ることになります。そして大方この情報を顧客に拡散します。
ヘッジファンドなどが反応してショートすることもあります。

④ ToSTNeT(JSDA OTC)クロス

野村AM売り=証券会社買い(証券会社ロング)
これは証券会社自己が介在する仕切り商いなのでこの理解が必要です。

証券会社は成立した価格でクロス(ToSTNeT)を振って、このロングポジションを市場で解消します(証券会社自己部門が売却します

この時点で目の効くプロトレーダーは市場には見えていないフローがやってくることを認識します。僕がクロスが見えない個人投資家が不利だというのはこの点です。

QUICKやBloombergと契約すればこれらクロスは見えるようになります。
もちろん費用がかかります。僕は退職後5か月ほどBloombergと契約していましたが高くてやめました💦

担当者紹介して欲しい方はご連絡ください。見える世界が変わります。

■証券会社の儲け方

証券会社が買い取ったこのポジションを売却しますが、この時証券会社自己部門は金曜日引け値から1%以内であれば利益が出ます。先ほど言った通りトレードを取れなかった証券会社が投資家に拡散することで動きが大きくなる(理論値より下げる)可能性があります。

通常は流動性見ながら売れるものはかなり早めに売ると思います。アルゴを使うなら出来高追随もしくは価格追随型アルゴ。ターゲット価格が金曜日の引け値-1%ですからそれを基準にしたアグレッシブなもの。

しかし流動性が厳しい銘柄はVWAPなりある程度インパクトかけないように金曜日-1%リミットで売っていくのが普通です。

これらは会社毎や自己トレーダーの裁量で決められます。

しかしマーケットが下向きになればなるほどポジションで損失が出る可能性が高い → 先物を売ってヘッジする

※この辺りで何か動きがおかしいを気づけると相当レベルが高いです。
※個別で今回のPFに入っていた銘柄をお持ちの方は動きの異変に気付くかもしれませんね。
※この先物売りポジションはあくまでも現物で持つポジションのヘッジですから現物株が減ってくればそのサイズに合わせて当然買い戻しされます。

証券会社としてはこのポジションで大きな利益が出なくても良いと考えています。大きく損が出なければ良いという感覚が近いです。何故なら

・バスケット引き合いで勝てたので野村AMからポイントGet、野村AMから他の委託注文がもらえる可能性向上 → ブローカーズポイントアップの可能性 → リレーション向上

ブローカーズポイントとは四半期に一度の証券会社むけ通信簿
このポイントでランクが決められて翌四半期の発注量が決められます。

証券会社は顧客からの受け入れ手数料とリスクトレードでの損益を細かくチェック → 顧客ごと取り得るリスク量が違う

こんな流れ

■このPFみて思うこと

実際銘柄を見ると日本を代表する企業ばかりの超大型株ポートフォリオ。設定時1000億超えるアクティブファンドだと流動性の点から考えてなかなか2番手3番手や中小型株を入れるのは難しい今の投信業界の難しさが良く見えてきます。

実際中小型オープン型ファンドの中にはいわゆるプライム上場の大型株が組み入れられているケースもあります。

あとこのような大型ファンドが早期償還するなんてかなり久しぶりです。あまり起きることではありません。

今のような大相場には必ず象徴となる出来事や様々なフラグが立ちます
例えば上昇の象徴と言えばバフェットさんの商社株第1弾買い増しになるかもしれません。この上昇マーケットがいつまで続くかわかりませんがこの野村アセットの早期償還もその転換点を象徴するイベントの候補でもあるし、バフェットで始まりバフェットで終わることもあるかもしれません。

因みに野村は2000年2月に『ノムラ日本戦略ファンド』という悪しき歴史もありますから…

僕は円安というかドル高、ユーロ高が鍵、つまり欧米の金融政策の変更が先か日銀の金融政策変更が先かというのが転換点だと思っていますがどうでしょうか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?