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自己紹介

遅ればせながら、自己紹介です。
「。ロ」です。Xの鍵垢で活動しています。
「。ロ」とは自分でも奇妙な名前だと思いますが、紆余曲折ありまして、なし崩し的にいつの間にかこんな名前となっておりました。
元々の名前は「ピロリ」でした。なぜピロリかというと単なる思いつきです。
途中で「北の将軍さま」とか「うんこ」とか「マリー・アントワネット」とか「【ピロピロ】己未は悪魔の印【ピロピロ】」とか紆余曲曲曲折ありまして、結局「。ロ」に落ち着いております。この流れだと「。ロ」が至極まっとうな名前に思えてくるから不思議ですね。

リアルでの私の名前は「ひかり」です。ちょっと「ピロリ」と似てますね。
正直なことを言うと、さっきはウソをついてました。ごめんなさい、「ピロリ」は全然思いつきではありません。本名と語感が似ている名前にしたというわけです。
「ひかり」と言えば、私のアイコンも光ってますね。これは少し前にTLに流れてきた、「暗闇で光る野口さん」の画像を借用したものです。ちびまる子ちゃんの野口さん、かつて似ていると言われたことがあります。地味で無表情で何を考えてるかわからなくて、でも何事か1人で面白がって「ククク…」とほくそ笑んでるちょっと不気味な人、という印象でしょうか。やはりちょっと私っぽいかもしれません、嫌ですね。
でも私の名前の通りに「ひかって」いる「野口さん」の画像を見た時には、さすがに運命を感じましたね。「これだ!」と思いました。

私は自然豊かな山あいの村で育ったんですよ。父は村役場、母は郵便局で働いていました。兄は今でこそああですが、子供の頃は兄妹仲良く遊んでまわってました。どんぐりを拾ったりね。
故郷では、春は山菜、秋はキノコが豊富に採れました。同居してた祖父が山菜やキノコ採りの名人だったので、よく一緒について行って色々教えてもらったものです。楽しかったなあ…あの頃は、すべてが輝いて見えた。目ぼしいものは何も生えていないように見える地面でも、そこに祖父が手を伸ばすと、魔法のように山菜やキノコが現れるのでした。青空を背景にして得意気に祖父が笑みをこぼす。つられて私も一緒に笑いました。きらきらした思い出です。あの頃は良かった。そう、あの頃までは。

様子が変わったのは私が中学にあがる頃からです。祖父がよく採ってきたキノコが原因という話もあったけど、どうかな…。私にはよくわかりません。
とにかく、その頃からなんです。私の身体が光るようになったのは。明るい場所では何ともないのですが、暗いところに行くとボーッと緑色に光るんです。暗くなればなるほど強く光りましたね。

蓄光によって光るのかもしれないと、試しに昼間は土蔵にこもってみたりもしました。でも相変わらず暗闇では発光するばかりで。お手上げです。初めのうちは眩しくてなかなか眠りにつくことができませんでしたが、じきに慣れました。
夜道を歩いても車にひかれる心配をすることがないのが良かった点ですかね。あとは肝試しのときに重宝されます。

病院にも随分あちこち通いました。でもどこへ行っても初めての事例で治療法は無いと言われるばかり。医大病院に紹介され、入院して全身くまなく検査もしましたが、結局なにも分かりませんでしたね。実験動物にされそうな気配を感じた母が、無理やり退院させてくれました。

祖父はね、随分と気に病んでいたみたいです。自分が採ってきたキノコのせいなんじゃないかって。もともとお酒が好きなほうだったのですが、私が光るようになってからは更に進むようになってね。昼間から家にこもり独りで酒をあおって、肝臓を患い、次第に痩せ衰えて…。私は、そんな祖父を見ていられなかった。

ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、
ひひかり、ひひひかり、ひひひひかり、ひひひひひかり、ひひひかかり、ひひかかかりり、ひひひひひひかかかかかかりりりりりり、ひひひひひひひひひひひひかかかかかかかかかかかかりりりりりりりりりりりり

ひかり。

不思議ですね、ひかり、という言葉だけで、なんだか辺りが光っているように感じられます。ひかり。そうは、思いませんか?
あなたが、見ている、この画面も、意識はしていないかもしれませんが、光っているのでしょう?光っている、はずです。光らない画面に、何かが、映るはずもありませんものね。え、映りますか?ああ、あなたの顔がね。真っ暗な画面は、くだらないあなたの顔面を反射して見せてくれますもんね。それって、どういう事か、わかりますか?あなたは、拒絶されてるんですよ。あなたが今見つめているのがスマホかパソコンかは分かりませんが、あなたは拒絶されてるんです。あなたは、暗闇の一部になることを、拒絶された。撥ね付けられたんです。あなたは、嫌われている。拒まれているんですよ、世界から。


ふふ。


私は祖父からも拒絶されました。祖父は、私を見ているようで何も見ていなかった。酔いに潤んだ瞳で私をぼんやり見つめ、「ひよりさん?」とそう訊ねた。違う、私はひかり。ひよりはね、私のお母さんの名前です。
私は闇に光る手で祖父をやさしく撫でました。祖父は不思議そうに、緑色の光の軌跡を眺めていた。祖父は暗闇に融けてしまい、もうどこに座っているのか判別もできない。闇に受け入れられた人…。

私は、哀しく光る身体を闇にあずけ、帰る場所を探しに彷徨い出ました。懐かしいあの奥深い山へと、分け入っていきました。籔や繁みを掻き分け掻き分け、祖父と長閑に笑いあった、あの、懐かしい故郷へ。そして、

ああ、あった、あった、あの、光るキノコです。昔と同じ場所に、昔と同じように。闇の中で、緑色に輝いて。そっと、笠を撫でてみます。祖父を屠ったその手が緑色の光の弧を描く。懐かしさがこみ上げて、涙が溢れてきました。これは、わが家。私の故郷です。光を、撫でて。もっと、撫でます。撫でよう、もっと、もっと、もっと、 ………。


時が流れました。私は、数十年分の歳をとったようです。順調に、私は増え続けています。まばゆく輝く、緑色の光が、山々を覆い…。私、私、私、私、私がたくさん。今年は豊作のようです。暗闇のなかに、まばゆく輝く、私たちの身体。村役場も郵便局も呑み込んでしまいました、  人間たちも?
嬉しい。私は独りではありません。私、私、私、私、私、私、私、私。暗闇はもう、私たちの世界には、存在しないのかもしれない。

私たちは、喜んでいる。
私たちにしか聞こえない光の歌をうたいながら、大地を侵食し、地面を蝕み光の世界を育んでいく。
光の世界。光に、満ち溢れた。
私たちは笑っている。闇は駆逐された。
闇は、もう、戻ってこない。
嬉しい。嬉しい。嬉しい。嬉しい。
この世界は、我らになった。我らは、この世界に。


讃美歌をうたおう、我らのうたを。
ひかり、ひかり、ひかりのうた。
我らのうた、世界のうた、神々のうた。
祝福あれ、祝福あれ、祝福あれ…。



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