戦翼のシグルドリーヴァ 感想とまとめ
本記事は2020年10月より放送され同年12月に放送が終了したアニメ作品、戦翼のシグルドリーヴァについて個人的な感想と一部考察をまとめたものになります。
対象読者としてアニメ視聴済みで、下記のようなことを思った方を想定しています。
・シグルリ見てみたけどよくわからんかった
・あの部分自分はこう思ってるけど、他の人はどう考えてるんだろ
・作品が面白かったので感想を読んでみたい
内容にはアニメ本編のネタバレを多分に含むため、最終話まで視聴してから読むことを推奨します。
また個人的な見解、解釈である点を理解したうえでお読み下さい。
はじめに
筆者はおじさんコメンタリー全話を視聴し、小説4冊を読んで今回の記事を書いています。
小説内で語られている内容は可能な限り記載せず、コメンタリーで触れられていたことを踏まえまとめています。今回まとめる内容ですが筆者の感想の他に、正直アニメだけではわかりにくかった点についてもまとめています。
感想としてよく聞いたり筆者自身も思ったことが以下の点だったので、主にその点について触れていきます。
・結局オーディンは何がしたかったのか
・北欧神話がない世界ってどういうこと
・最終話で何をしていたのかよくわからなかった
上記についてある程度理解するだけでも、1度視聴しただけの時より数倍は楽しめる作品になるのではないでしょうか。その内容についてコメンタリーで語られていた内容を交えながらまとめました。
度々になりますが、個人的な解釈になる部分も含まれている点、理解してもらえると幸いです。
北欧神話とオーディンについて
1. 神々が生きていた時代
オーディンのみが滅びの結末ラグナロクが来ることを知っていて、オーディンはラグナロクに備え戦力を揃えようとするが失敗に終わる。
2. 実際に起きたラグナロク
神話の時代ラグナロクが起き、巨人たちに神々は滅ぼされる。
神々の世界は滅びを迎えるが、オーディンは一人生き残ってしまう(史実と違う点)。
3. その後オーディン
生き残ったオーディンはラグナロクで滅んでしまったという事実を受け入れなかった。本当のラグナロクはまだ来ていない、これから起こるものだと認識してしまう。そのため、ラグナロクが来るため備えなければならないという使命感があった。
4. オーディンが人類に対して行ったこと
ラグナロクが起こった事実を認めないため、人々の世界から神話の伝承を消した。これから来るラグナロクに備え、戦力を手に入れるために人類を鍛え命を奪い手駒にしようとする。
上記を踏まえ、物語を要約すると
・過去に起こったラグナロクを認めず、これから本物のラグナロクが来ると思っているオーディン
・オーディンは人類に頼る気はないので、自分で人類を鍛えて殺して戦力にしようとしていた
・実際は次のラグナロクは来ず、血の繋がった娘にも否定され授けた力に敗北する
という話になります。
オーディンが滑稽に思えますが、自身も諦めが悪く潔さは無いと言っているので、ラスボスの考えとしては妥当なものではないでしょうか。
以下、今回の考察に至った根拠となるセリフや場面をまとめたので、気になる方はチェックしてみてください。
9話
・この作品の世界では北欧神話がないと明示される
・ヴァルハラ探索でラグナロクはすでに起こっていることを知る
→オーディンが入念に人間社会から痕跡を消している世界
・オーディン「私たちは滅んでなどいない」
→ラグナロクでの滅びを受け入れず、これから起こると信じている
・コメンタリーより余談ですがオーディンがアズズに前線にいるべきではないと忠告していたのは、アズズの身を案じてのことではなくアズズがいるとオーディンの企みがバレてしまう恐れがあったからとのこと。実際にこの回でアズズによって真相が明かされてしまっています。
10話
・人類側が滅びの時は既に過ぎていると認識する
・オーディン「戦う力、動機、敵も用意した。大勢が死んだがまだ足りない。」
→オーディンの目的は人類を強くしてから殺すことであると自白する
ワルキューレの加護がなくならないことからも、虐殺ではなく手駒にすることが目的であると分かる
11話
・クラウ「あなたの故郷は既に滅びている」
→オーディンにラグナロクが起こっていたことを認めさせようとするが聴く耳を持たない
・オーディン「戦死者を多く出すことも俺の目的だ」
「戦死者を、エインヘリアルを」
「その命を奪い、俺の館に閉じ込めるだけだ」
→これらのセリフからも人類をオーディンの戦力に加えるためには命を奪う必要があると分かる
最終話まとめ
1. クラウVSオーディン
・クラウとオーディンが戦っていた場所
コメンタリーより、あの場所は神々の世界であると語られていました。
オーディンは過去に起こったラグナロクについて、理性では認めているが感情として認めたくないものとして、あの滅び後の風景があるようです。
・クラウに執着するオーディン
クラウは神の子孫だから、過酷な戦場でもオーディンと同じように生き延びてきた。オーディンはクラウも自分と同じ道を歩み孤独になると思っている。
血の繋がった家族であるクラウに固執するところや、クラウの「敗北を認められない狂える神ではなかった、孤独に抗おうとしていた一人きりの神だった」というセリフからも、オーディン行動は滅びを避けられなかった未練からではなく、孤独から逃れるためでもあったのかもしれません。
・クラウに似た少女を打ち抜くシーン
あの少女ですがコメンタリーでは、オーディンの子孫であり未練のようなものであると語られています。クラウがそれを魔弾で打ち抜き、終わってしまったラグナロクに対する未練を断ち切らせるという構図でしょうか。
その返しにグングニルでクラウを撃とうとするオーディンですが、結局撃てずに敗北します。(ここでクラウが何かして打ち消したのではなく、オーディン自身が撃たなかったことはコメンタリーで明言されていました。)
クラウを殺すと本当に孤独になってしまうと思い、撃てなかったのでしょう。
この対決では抽象的な描写が多いので、具体的にこれはこうであると解釈するのは難しいかもしれません。アニメーションなのでそこら辺は様々な解釈で良いのかもしれません。
いずれにせよオーディンのこれまでの行動の経緯や理由を分かっていれば、ある程度納得のいく描写になったと思います。
2. 園香VSスヴァルト・ワルキューレ
園香強すぎないか?とは思いましたが、小説を読んでいれば納得の部分もあります。
桜の機体を落とすところは切ないです。
3. 宮古VSトール
宮古とトールの対決ですがシールド隊の雄姿が刻まれるシーンになります。
この作品では男性が死に対して前向き過ぎるところがありますが、世界観の設定として男は英雄に憧れている、死に様は美しいものだという価値観があるようです。
死の価値観についての説明はコメンタリーで語られていましたが、確かに小説版でも思い当たる部分があり設定としてしっかり練られていたようです。
4. アズズVSオーディン
クラウに否定され未練を打ち砕かれても諦めようとしないオーディンに、アズズが辿り着き説得しようとします。
「ウチのヒーローが来るのを」というセリフから、一話と同じ方法でヴァンドランデを破壊するシーンは熱いです。
ピラーを破壊され敗北したオーディンがどうなったかは不明です。
感想
ここから個人的な感想になります。
良かった点
1. 駒込・アズズが可愛い
この作品の魅力として女の子が可愛いという点がありますが、その中でも駒込・アズズというキャラはずば抜けて好きになったキャラでした。
まず駒込・アズズという名前の響きが好きで、藤真拓哉先生のキャラデザはもちろん、一人称がウチなところや、天才美少女を自称しているところ、宮古にデレデレなところなど性格面でも魅力が多いです。天才という設定は、英霊機の改造や北欧神話がない世界での神話の解明などの面で発揮されていますが、作戦面ではガバガバな気がします(そこも好き)。
CVがM・A・Oさん(出演作 刀使ノ巫女:此花寿々花役、フリップフラッパーズ:パピカ役 等)なのも個人的に評価が高いです。
2. オーディンの演技が凄い
引用: TVアニメ「戦翼のシグルドリーヴァ」WEB予告 | 第12話
URL:https://youtu.be/opwFZMsnEaE
オーディン役の花守ゆみりさん(出演作 結城友奈は勇者である:三ノ輪銀役、ローリング☆ガールズ:御園千綾役 等)の演技がただただ凄かったです。
この役なしではこの作品は引き締まらなかったと思うので、オーディン役をやってくれて本当に良かったなと思います
3. シーンや演出に拘りを感じる
水着回をはじめ、お風呂シーンで湯気に頼らずキャラをぬるぬる動かしたり、最終決戦前の気合の入った着替えシーンなど所々で拘りを感じます。
演出では最終話でのSE入りOPや一話と同じタイトルでオマージュした内容を入れるなど熱かったです。最終話ではEDも入っており、初めてイントロの映像まで入れているという拘りもありました。
ここまでやるかってところで力を入れてくれているのが好感度高いです。
4. 小説が面白い
アニメとは関係なくなってしまいますが前日譚の小説が非常に面白いです。
文章のため描写が細かいし、設定が分かりやすくアニメ視聴後に読んでも前に読んでも楽しめます。アニメでは既に亡くなっているキャラが魅力的なのが辛いところですがおススメです。
良くなかった点
1. 展開がわかりにくい
こんな記事を書いていますがコメンタリーを見るまで、最終回どうなってんだこれとなっていたのが正直な感想です。
最後の戦闘ももう少し背景を理解していれば、もっと楽しめたのかなと思うともったいなく感じます。
2. 男の出番が多い
これは個人的な指摘なので悪いわけではないのですが、ストーリー上重要であったにせよ男の出番が多すぎた気がします。特に4話はやりすぎかなぁと思いました。
これに関しては女の子が可愛いアニメを見たいオタクの戯言なので、気にしなくても大丈夫です。
総評
もう少しストーリーをシンプルに伝えればもっと評価されてたのかなと思うと残念ですが、これはこれで良かったのかなとも思います。
何よりキャラが魅力的というのがありますが、自分はこの回りくどいところも含めて好きな作品と思えました。
オーディンのその後、出現し続けるピラーなど、謎はまだ残っているので続編をやるなら期待したいです。
まだBDの発売やイベントなどもありますし、何より聖地巡礼には行ってみたいので、これからもこの作品を楽しんでいきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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