第327話 【BLACK EDGE 其の327 狂気】

 BLACK EDGE

 著者:pirafu doria
 作画:pirafu doria

 第327話
 【BLACK EDGE 其の327 狂気】

 ブラッドに電撃を浴びせたフレッタ。崩れゆくブラッドに

「俺の電撃にインターバルがあると思ったか。残念だが、それは間違いだ!!」

 と言いながら倒れるのを見守った。

 ブラッドが地面に顔をつけて倒れる。フレッタは倒れたブラッドに近づくことはなく、遠くからブラッドの様子を見る。

 二回目の電撃。充電した電力をほとんど使い切って放った攻撃だ。

 そんな攻撃ということもあり、動かないブラッドを見て、勝利を確信した。

 フレッタはこの勝負に勝ったと考えて、ブラッドに背を向けた時、ブラッドが立ち上がるのが見えた。

「……っ」

 ブラッドを警戒して予選とは違い、充電した電力を分割して使用していた。
 それでも今の一撃はかなりの電力だったはずだ。

 そう簡単に立てるはずがない。

 だが、ブラッドは立ち上がった。

「…………」

 しかし、立ち上がったブラッドを見て、様子がおかしいことに気がついた。
 ブラッドの身体から溢れ出る黒いオーラ。全身を黒いオーラが包み込んでいる。

 これは何か危険だと考えたフレッタは、ブラッドから離れるため後ろに大きくジャンプする。

 だが、ブラッドとフレッタの距離は6メートル以上離れていたというのに、一瞬でブラッドは近づき、そしてフレッタの腹を殴った。

「ぐっは!?」

 殴られたフレッタはその衝撃で吹き飛び、回転しながら上空に打ち上げられる。

 一瞬意識を失いかけたフレッタは、現在の位置を確認すると、そこは場外の空中。

 フレッタ達がいたのは舞台の中央付近。そこから一撃でここまで吹っ飛ばされたのだ。

 このまま落下すれば、場外負けになってしまう。

 フレッタは残っていた電力を使い、両手を広げると空中で静止した。

 舞台には黒いオーラを纏ったブラッドが、フレッタのことを睨んでいる。
 いつ追撃されてもおかしくない状況だ。

 残りの電力であのブラッドと戦えるだろうか……。

 フレッタは考えるが、どうやっても勝てるビジョンが想像できない。
 さっきまでのブラッドならば、まだしも今の状態は明らかにおかしい。

 龍の力の暴走……。その可能性をフレッタは考えた。
 

 そして今の電力では勝てないと考えたフレッタは、懐から小さなガムを取り出した。

「あの子供に頼るのは好きじゃないが……今回は仕方がない……」

 フレッタはそう言うとそのガムを口の中に入れる。そしてそのガムを噛むたびに、身体に電気が蓄えられていく感覚。

「……充電完了だ」

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