第326話 【BLACK EDGE 其の326 蘇れ】

 BLACK EDGE

 著者:pirafu doria
 作画:pirafu doria

 第326話
 【BLACK EDGE 其の326 蘇れ】

 身体の自由が効かない。だが、痛みもない。

 真っ暗な空間にブラッドは放り出されていた。

「……ここは」

 首は動かないが、目を動かして左右を見る。だが、何もないし、何も感じない。そのはずだった。

 ……お前は何者だ……

 何もないはずの空間で声。だが、聞こえたというと違う。頭の中に直接声が流れてきてる感覚だ。

「お前こそ何者だ。ここはどこなんだ」

 ブラッドはその声に応えるように喋ろうとする。だが、声が出たというには少し違う。
 ブラッドの声と音という形で出たのではなく、まるでテレパシーのように電波として発した感覚だった。

 ブラッドの言葉に反応したのか、それとも無視したのか。

 ……お前は何者だ……。

 また同じように言葉を感じた。

 ここがどこなのか、この声の主が誰なのか。分からないことが多い。だが、それでもこの声に答えなければ、何も進まない気がしたブラッドは。

「俺はマルクだ」

 と自分の名前を伝える。すると、しばらくの沈黙の後、

 ……違う。

 と返ってきた。

 何が違うのか。俺は俺だとブラッドが思っていると、

 目の前の黒い空間が動く。とても大きな何かが動いたのか。ブラッドの髪は風に揺れた。

 そして奥から二つの赤い何かが近づいてくる。そしてブラッドの近くに来てやっとそれがなんなのか理解した。

 それは巨大な紅瞳。ブラッドの身体よりも大きな瞳はブラッドを睨みつける。

 そして直感でその声の主がその眼の持ち主であると分かった。
 そしてその声の主はブラッドに

 ……お前は俺だ。俺の一部だ。

 と言った。

 何を言っているのか。だが、その声の主はそう言った後、暗闇の中に消えて行った。

 動くことのできないブラッドはそれを追いかけることも、何もできずにただその声の主が去っていくのを見守ることしかできなかった。

 雑音がブラッドの耳に響く。

 そしてその雑音が観客の声だと気づいた時、ブラッドは思い出した。

 ブラッドはフレッタとの戦闘中に電撃を喰らい、倒れてしまったこと。

 目を開くと、そこには地面があった。

 だが、なぜだろう。不思議なことにダメージを感じない。

 ブラッドは身体が動くことに気づくと、ゆっくりと立ち上がった。
 何があったのかは分からない。

 立ち上がってフレッタの方を見ると、そこにはフレッタが息を荒くして苦しそうにしていた。

 何が起こっているのか。ブラッドは理解できず。だが、今が勝機だと考えて、戦う構えを取った。

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