第6話『包囲網』

参上! 怪盗イタッチ

第6話
『包囲網』

 イタッチを囲む警官達。窓から美術館を脱出したイタッチだったが、コン刑事が足止めしているうちに、フクロウ警部が駆けつけてイタッチの素早く囲んだ。
 そしてイタッチは逃げ場を無くしたのであった。

「俺を捕まえる? この程度でできると思うのか」

 イタッチは折り紙を取り出し、何かを作ろうと折り始める。しかし、そんなイタッチにコン刑事がタックルをして、折り紙を折るのを阻止した。

 コン刑事がタックルをしたことで倒れそうになるが、どうにか身体を立て直す。コン刑事はイタッチの腰に抱きつき、倒れさせようと押してくる。

「よくやったぞ、コン刑事!!」

 フクロウ警部達はコン刑事に続いて、イタッチに覆い被さろうと取り掛かる。だが、コン刑事にタックルされながらも、イタッチは折り紙を完成させた。
 作ったのは傘。折り紙の傘を広げると、飛びかかってくる警官達は傘に弾かれてしまう。

「な、なんだ、あの傘は!?」

 傘に弾かれて地面を転がったフクロウ警部は、仲間と共に立ち上がる。雨粒が傘に当たり、跳ね返るように警官達が傘によって弾かれてしまう。
 不思議な折り紙の力に動揺する中、イタッチにタックルを続けていたコン刑事も、傘に当てされて弾き飛ばされてしまった。

「さて、そろそろ時間だな」

 警官達を遠ざけたイタッチは、空を見上げる。すると、上空にヘリコプターが現れる。
 ヘリコプターの操縦席には、ダッチの姿があり、ダッチはヘリコプターからロープを下ろした。

 イタッチがそのロープに捕まると、ヘリコプターは上昇していく。それによってイタッチの身体も宙に浮いた。

「お宝は頂いたぜ、じゃあな!!」

 ヘリコプターと共に空へと逃げていくイタッチ。それを走ってフクロウ警部が追う。

「待てェェ!! イタッチ!!!!」

「待つかよ!!」

 走っても追いつくことはできず、ヘリコプターとイタッチは夜空の奥へと消えてしまった。

 イタッチに逃げられて、フクロウ警部は事務室の隅で大量の始末書を書かされていた。

「次こそは次こそはイタッチを捕まえてやるゥゥゥ!!!!」

 イタッチを捕まえると連呼しながら、ペンを進めていく。そんなフクロウ警部の机にお茶の入ったマグカップが置かれた。

「お疲れ様っす。フクロウ警部」

「ありがとう……って、コン刑事か。君、まだ残ってたのか」

「警部が始末書を書かされてるって聞いたので……」

 フクロウ警部の隣に座り、コン刑事は始末書の山を眺める。

「すごい数っすね」

「いつものことだ……。イタッチを捕まえられなかったんだからな」

 コン刑事は始末書の山に手を伸ばすと、始末書の半分を手に取り、隣の机に置く。

「コン刑事?」

「それならアタシも同じっす。イタッチに逃しちゃったんすから、アタシも半分やるっすよ」

「しかし……」

「フクロウ警部だけに責任を押し付けられないっすよ」

 コン刑事は自身のバッグから筆箱を取り出して、桃色のペンを取り出した。そしてそれで始末書を書き始める。
 その様子を見て、フクロウ警部はやれやれと首を振る。

「……分かった、半分は任せたぞ」

「はいっす!!」

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