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下には下がいる!経済的格差社会に対する究極の皮肉『パラサイト 半地下の家族』

MEGABOXから移動し、再びセンタムシティ 映画の殿堂へ。
広い!広すぎる!
キャパは1000ぐらいだろうか?半分より前は椅子さえ置けばいくらでも席を増やせそうだ
さすが第72回カンヌ国際映画祭の最高賞となるパルムドールを韓国映画として初めて獲った『Parasite』だ。韓国では5月21日に公開されてるにも関わらず、リアクションを見てると、結構初めての人が多かった。

関連記事 経済失速の韓国で大ヒット『パラサイト』 カンヌは「万引き」の次に「寄生」する格差社会作を選んだhttps://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2019/06/post-12310.php

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半屋外にレインボーの屋根。右を向けば釜山の高層ビルが目に入る

雨が降っていて、入り口で無料でカッパを配っていた。
仕事終わりのたくさんの人たちが駆けつけていた。
カッパをかっこつけて取らなかったことを後で後悔することに・・・

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この日はポン・ジュノ監督の舞台挨拶が予定されていたが、直前になって『Parasite』北米公開の準備で忙しいから、アメリカから監督が部屋で撮ったであろう動画が流された。
「僕の代わりに役者が挨拶するけど、映画を観る前にいろいろと言ってしまわないように気をつけてね!まだ観る前なんだからネタバレ禁止!」
by ポン・ジュノ
富裕層の夫を演じたイ・ソンギュン、妻を演じたチョ・ヨジョンの代理舞台挨拶。監督から口止めされているから雰囲気的に内容は薄め(韓国語だし正直よくわからなかった)。

導入ではメインの貧乏家族の家庭状況がテキパキと紹介される。

半分地下で位置的にトイレがキッチンの上にあるような沈んだ家。
ピザの箱を作ったりして小銭を稼いだり、父は『タクシー運転手』よろしくソン・ガンホ。兄は大学生でバイト、妹もバイト、母もパート。
ひょんなことから、兄(家族の中では一番常識人)が有名大学生と嘘をついて高級住宅街に入り込み、なりゆきでそこの娘(女子高生)の家庭教師をすることに。
豪邸の話を聞いた貧乏家族の妹が、家族に入り込む計画を練る。
そこには、インディアンごっこにハマっている5歳ぐらいの息子がいて、その絵の才能を見抜いたフリをして、妹が潜入。
親バカな母はあっさり騙される。

とまぁこんな感じで乗っ取り計画が進んでいき・・・

ネタバレ、というかストーリーは単純だけど起こっているディティールが多すぎて説明し辛い。
予告編よろしく、貧乏家族が金持ち家族の生活にどんどん入り込んでいくというお話。
中盤、金持ち家族がキャンプで家を留守にすることによって、途中半地下家族がホームアローン状態に。

そこからさらに家の地下シェルターに何かがいることが発覚して、、という前半コメディタッチで描きつつも、途中からスリル満点でサスペンスフル、予測不能な展開に。

そのドタバタの中で「ボタン押すぞ!」と脅しつつ発射しない北朝鮮ミサイルギャグが登場するのだが、韓国のお客さんは結構笑ってた。

細かいことは書かないが、

ラストの悲劇を誘発するのは、異常気象による「大雨」
そして「体に染みついた貧乏人の臭い」を指摘し

「金を払ってるんだからやれ」という人間の尊厳を踏みにじる、金持ちの一言だ。


前半は会場内で何度も笑いが起こり、途中から悲鳴が、そして最後は…
雨の中観ていることに妙な臨場感があり、背筋が凍りついた。

英語字幕が理解できなくても、ソン・ガンホ氏の顔芸しかり(ギャグの内容と何が起こったかサイレントでも理解できる分かり易い)エンターテインメントであり、同時に人間の愚かさ、浅ましさに対する皮肉たっぷり、さらには人間の尊厳とは何か?考えさせられる傑作だった。



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