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神の指に導かれて 〜ヨッドと土星回帰〜

本来ホロスコープを見るにあたってはあくまでも全体を見ることが大事だと思っているので、複数のアスペクトのうち何か一つに過度に焦点を当ててあたかもその人の特性の全体像を表すような解釈は正確ではないと思っています。が、過去にとても印象的な出来事がありましたので、この記事ではヨッドに焦点を当てて執筆しています。

占星術では、人の生年月日・時刻・場所からその瞬間の星々の配置を一枚の図(ネイタルチャート)に表し、その図をもとにその人の先天的特性を見ていきます。今回は私のネイタルチャートに関するお話です。

さて、私のネイタルチャートにはヨッドが1つあります。
ヨッドはインコンジャンクト(150度)が2つとセクスタイル(60度)で形成する二等辺三角形の複合アスペクトです。
ヨッドがあると、自覚しにくい違った質のエネルギーで葛藤し縛られるためそのエネルギーを使いこなすのが難しく、また頂点の天体は他の2天体により変化を促されるので、ヨッド自体は試練や困難を伴う蓄積型・遅延型のマイナーアスペクトに分類されます。
一方で、ヨッドは別名「神の指」と呼ばれ、ヨッドの頂点の星が「神との約束の地」としてその人に向かうべき道を指し示すとされます。針の穴よりも小さいその特定の領域に辿り着くことができれば、その人独自の分野・領域を切り開く可能性があると言われています。

私のヨッドは太陽(双子座11ハウス)と月(牡羊座9ハウス)のセクスタイル、そして頂点は土星(蠍座4ハウス)からなっています。オーブは1度程度でルミナリーが関わること、そして何より体感から影響が大きいと思っています※。
私のネイタルチャートにてヨッドを具体的に解釈すると、以下のようになります。

月 :初突猛進に専門的な分野に触れることで精神的安定を得る
太陽:より良い未来のため、同志と共に書く・話す活動をする
土星:科学・オカルト的なことを形作ることで自分のエネルギーを充填する

頂点の土星は、太陽と月の複合的目的のために鍛え上げられる。一方で、太陽と月は土星のために妥協を強いられる。

→ 底辺をなす太陽と月のエネルギーを頂点の土星に対して使う、という形でこのアスペクトを使っていくことになる。

占星術を知る前はヨッドが自分にあることすら知らなかったのですが、今ではこの性質を強烈に感じています。というのも、まさに上記の図式で私の土星を身も心もボロボロになるまで酷使せざるを得ない時期があったからです。
そんな季節は、私が会社に入社してしばらく経った頃に、訪れたのでした。

まず、私は学生時代にガチガチの理論物理学を専攻していたのですが、それは社会に物理学で貢献したいという高尚なモチベーションから選んだのではなく、ただ世界を支配している理論(理論物理だけでなく物理化学や数学も私にとっては同じ)を理解したいという自分自身の欲求からでした。結局は高校で魔術の本を熟読していた延長にあった選択だったのかもしれません。

理論物理学を学んだ後に会社の開発部門に配属されたものの、鉛筆とノートしか持ったことのない私は「モノ」を作ることができず、かなり会社で浮いていたことは別の記事でも書いた通りです。そして、学んできた分野などさっさと捨て去り、とにかく成果を出さなければと毎日実験室で粘る私に、ある日突然空から隕石が落ちてきたのでした。
それは、ただ好きで理論物理を学んでいただけの私に対して、その分野で論文を業務外で執筆することや、新規の開発計画書を会社に提出するなどといった難関が、志を同じくする人間関係の中で課せられたのでした。それも社内政治的な事情から内密に進めなければならないとのことで、この異常な状況を私は同期にも上司にも、そして日々業務でお世話になっている先輩にも相談できない状況になってしまったのでした。
(ここまで読んで、「それって業務じゃないの?進め方おかしくない?」と思われた方、おっしゃる通りです。部内は、限りある開発予算を皆で奪い合う熾烈な構図だったためある意味カオスとなっており、重工系の開発が乱立する中で少数派、特に理学系・量子系の分野で新しい開発案件を立ち上げ確実に予算を勝ち取るには、計画が横槍によって頓挫しないようしかるべき時が来るまで関係者間で完全クローズドにして進めるのが常套手段となっていました。ちなみに、開発予算に自分たちの人件費が含まれる仕組みなので、案件が通らなければ自分で人件費を賄えなくなったに等しい状態でした)
正直かなりきつくて、本当に辛い時期でした。結果的に私の土星には多大な負荷がかかっていたと思います。状況に翻弄され、休みもほとんどなく、大の大人が公共の場で涙を見せるなんてみっともないのは百も承知なのですが、この頃ばかりは本当に精神的に追い詰められ、会社のトイレや電車、バスでもよく涙が出ていましたね・・。
そしてこの時期、空の土星は静かにゆっくりと、私のヨッドの頂点に近づいていたのでした。実はこの時のいろんな事情が後に拗れに拗れ、その末に私は強迫性障害発症への道を辿ることになります。(ちなみに4ハウスでのサタンリターンは自分の精神的なベースキャンプを失うような感覚になると思います)

もともと私はいろんな分野に関わりたくなる傾向があって、理論物理の他にも東洋医学や魔術、占星術、タロット、脳髄液調整(自分で行うための専門の書籍が出ています)、強迫性障害に限らず健康全般を自分で管理するための分子栄養学の知識は言わずもがな、解剖学も専門有料アプリ"アトラス"を毎日必携するほどよく調べてしまいます。
こうして並べてみると、関わる分野がどうしても蠍座の象徴する科学・医学・オカルト系に偏ってしまっていることは否めません。これが土星が太陽や月に強いている「妥協」なのでしょう。

私はまだまだ道半ばで、正直どんなことをしていても「コレジャナイ」感はあるのですが、"約束の地"に辿り着くために必要な寄り道なのだと割り切っていきたいです。領域A、領域Bだけでなく、領域A・B両方をある程度理解できるからこそ辿り着ける領域Cがあると信じたい、みたいなイメージです。それに、急に現実的な話になってしまいますが、死ぬまでに目的地に到達できる保証もありませんし、何を選んでみたとしても結局”選ぶに足る価値がある”と自分が判断して手に取っているのだから楽しむしかない、といったところでしょうか。
個人差はあれど、土星の年齢域は56歳前後からと言われています。今では、その頃までにもっと自分の土星を鍛えていきたいと思っている私です。
(太陽と土星の連携、言語化を意識するという意味でnoteを書いているのも事実・・)


◾️土星回帰(サタンリターン・サターンリターン)についての補足
土星は約29年周期で軌道を回っています。この土星が、あなたが生まれた時の位置に29年ぶりに戻ることをサタンリターンと呼びます。
人の人生は長い年月にわたる積み重ねによって作られますが、サタンリターンはその努力や積み重ねの方向性に問題がないか、このまま進んで良いのかを確認させられるような人生の節目です。言わば、次の29年に向けての再調整期間とも言えます。
あなたが何かを望んでいるとして、土星はその望みを叶えるために必要なものを、努力をもって獲得する機会を与えてくれます。しかしながら、それを掴み取るかどうかを最後に決めるのは私たち本人の意思であることから、サタンリターンは「選択の時」とも言えるのです。

私を例にもう少し掘り下げてみます。私は「この開発部門で成果を上げたい、そのために努力を積み重ねたい」と願いました。上述したような環境下で継続的に成果を上げ続けるためには、多大なエネルギーを必要とします。土星は、「あなたは、エネルギーが枯渇するような環境下でも成果をあげ続けられる人間になりたいのですね?ではその器量が獲得できるよう訓練してあげましょう」と、私を鍛えてくれたわけです。しかし、理想と現実の間にある大きなギャップを必死に埋めてでも望んでいる道をそのまま進むのか、別の道を行くのかを最後に選ぶのは私自身です。その"現実における選択"を迫られる苦しさが、サタンリターンの辛さなのではないかと私は思います。まだ答えを出したくないことに答えを出さねばならなくなり、状況も同じままではいられなくなってきます。しかし、そうして次の29年を迎えるため取捨選択をした私たちに対し、土星は相応しいものを与えてくれます。私の場合は、より良い職場環境と新しい仲間でした。


◾️サタンリターンを迎えて辛さを感じる人へメッセージ
自分が1回目のサタンリターンの時期に感じていた大きな悲しみや苦しみを思うと、その時期(29歳前後)を今生きている人にとっては、まさに自分の限界と日々一生懸命向き合う大変な時期だと思います。

大丈夫、泣いていいんです、本当に。
泣いてしまうくらい、人生における大きな過渡期なんだと思うんです。

私はすぐには理解できませんでしたが、一生懸命乗り切った後には、土星の恩恵を感じられる時が来ると思います。
今は、今のことだけ、できることだけ、で本当にいいんです・・

余談ですが、ホロスコープではその人の先天的な体質も見ることができて、私のホロスコープでは”より良い未来のため仲間と共に活動する中で、自らのエゴが神経系に負荷をかける”ということがちゃんと出ているんですよね。
実際に私はこの後に強迫性障害に悩まされることとなったわけですが、では事前にホロスコープをもし自分で読めていたら発症する前に立ち止まったのかといえば、それも難しかったと思います。「ここで最後に何が残るのかを自分の目で見届けなければ、おそらく私の心は死んでしまう」という予感が強く私の中にはありました。難しいものですね。

※ヨッドは頂点の星が個人天体(太陽、月、水星、金星、火星)じゃないと使えないという説も聞きますが、私自身は強く体感がありましたので有効と判断しています。
※この記事は、サタンリターン「だから」辛かったというお話ではありません(サタンリターンが必ずしも何かを手放さなければならない時期になるとは限りません)



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