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熱帯びる内輪差

内輪差にわたしは心底興奮する。
理由はない。ただ20歳の時車校でこの言葉を知ってからずっと、なんだかうっすら楽しいのである。今はもう慣れてきてしまったが、当時は寝る前などに「あれ、なんかわくわくするけど何だったっけ?」→「あぁ、内輪差を知ったんだ」となる程だった。


内輪差というのはいわずもがな、前輪と後輪の軌道の差のことで、前輪の辿ったところそのまんま後輪通るかと思いきや、後輪は仕組み上少し内側を通りますということである。

街で、内輪差を目の当たりにすると、なんかまじでちょうど良い分量うれしい。心のあたりにzip2周分くらい、なんかうれしい感じになる。バスの内輪差の時なんか、キャーである。ある時、人と歩いていて、曲がってくる車が危ない時に「内輪差!!!」と注意したことがあったけど、あれは我ながらほれぼれした。


内輪差、なんて甘美な響き。前輪がたどった道をたどらない後輪。少し内側をゆく後輪。曲がり始めたとしても最後まで油断できぬあの感じ。魅力的である。ここまで言っておいて、なぜすきなのかこれ以上全く説明できない。理由が特にない。けどそこが良い。本能を突き動かす、あゝ内輪差。

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