11月号

エンタメ日記 

エンタメに求めてるもの、エンタメから受け取ったものの話 序章

まず、この話をするためには、私がぼんやりと世界に対して行き詰まりを感じていて、薄っすらと諦めていることから話す必要があるなぁと思ってどうしようかと思った。

だから、エンタメに求めていることを簡潔に言うと、信じられるものがここにはあるということに尽きるのかもしれない。誠実さを求めてるんだなということには最近気がついた。
他にも好きなものや探しているものはたくさんあるけれど、それは曖昧な形で私の中にあるのでうまく言葉にできるわけもなく、ある意味存在してないも同然だった。言えることがない!
ただ、そういう物語やエンタメに触れた時に起きる曖昧なものの形が完全にわかる瞬間が好きで、それを追っているうちに今の自分になっていったなという感じがする。

みんなもあるよね?これだ!っていう瞬間。


この話だけじゃきっと何も答えてないことになるなと思ったので具体でできる話をすると、
いつも頭の片隅にこれを通して物語を理解する回路のようなテーマを決めている。
さらざんまい以後は「欲望を手放すな、欲望は君の命だ」と「はじめからおわりまでまるい円でつながっている」が全体のテーマで、年度ごとにこれだけは忘れずにいようと思う言葉をノミネートさせており、

2019年「井の中の蛙大海を知らずされど空の青さを知る」(HiGH&LOW THE worstドラマ)

2020年「なぁ志摩お前は空が青く見えてるか?」(MIU404綾野剛インスタ写真)
次点「人はそう簡単に救われないし、救えない」(MIU404脚本家Twitter)

2021年「一人だけど孤独じゃない」(大豆田とわ子)
次点「最期くらい呪いの言葉を吐けよ」(呪術廻戦0巻)

2022年「そうしてお互いを知り、お互いに知り得ないことがあるのを知る」(『本と鍵の季節』著者コメント)


これらのワード並べただけで、物語に何を求めてるかの話の全てだから終わり!って自己完結してしまいたくなるぐらい。はじめて並べたけどこれだけで満足してしまいそう。


まず、共に過ごした時間の長い短いは関係なく、その出会いによる影響で世界が色づくことを青春の青だと言ってる節があるので、大げさに言うと、世界の美しさの話が、ノミネート上二つに関わる青の話。

"狭い世界からみる空の青さの美しさも、外に出て広い世界に立って見上げた空の美しさも、良い。その青さに気づく物語、良い。青くなくたって、空の美しさに気づくだけでもいい"2019/11/23

誰かと見上げる空の意味と、一人では見えなかった景色の話。物語の中では割と普遍的な関係なので青春に関わる話を読んでる時なんかは特に空の話をしてしまう。


次に、2021年からは、関係にはっきり名前をつけても全部違うんだから意味なくない?という思いと、名前のある関係に自分達だけの意味があることがいいという気持ちが合わさって、「友達」という関係に惹かれていったことがめちゃくちゃわかりやすく表れている。特に友達についてはまほやくが全部書いてくれている……。

"まほやく、2周年ストめっちゃ楽しみだ。「友達」って言葉を最近、能力も年齢とかも何もかも違う人たちが一緒にいる理由をあらわす言葉だと思っているから、そこにテーマを当ててくれてるのすごい期待してるんだよね"2021/11/23

まほやくで賢者が魔法使いたちのことを「友達」という言葉で関係を名づけているところが本当に好きで、周年ごとのティザーサイトの言葉がそのまま私の曖昧に考えていたことを綺麗な言葉にしていってくれていて怖いぐらい。その中で、私の中のぼんやりしていた「友達」という概念も固まっていったように思う。人と人とが一緒にいる理由。
今年はついに、「幸せの御伽話のようにできなくても」という、彼らが選ぶ彼らだけの結末に対する覚悟を出してきたので、来年のティザーサイトの文言が出た時には、隣にいたはずなのに遥か彼方に行っちゃうんだろうな……となぜか寂しさまでも感じている。

分かり合えない部分があってもそれでもあなただから共にいる。共にいた。共にいたいと思う。それでいいじゃんっていう。恋がわからなさすぎて行き着いた逃げといわれればそれはそう。


どんなお話読んでても孤独との向き合い方にたどり着くし、人と人が必ず関わってくるのでしばらくこのあたりのこと考えつつ、面白いお話を探してフラフラしてるんだろう。天才とその隣にいる人間の話が好きなのも、分かり合えないまま共に生きる話が好きなのも、全部一つに繋がってる。


こんなこと初めて文章にしてるし自分でもそんな風に思ってたんだ!?って驚いてる。あまりに綺麗事の話をしているよなって思ったけど、それを信じたいっていうせめてもの抵抗みたいなもので。冒頭に諦めてるって書いたけど、やっぱり諦めたくないから、せめて誰かが想いを託した物語を、エンタメをちゃんと受け止められるような自分でいたいな〜って思ってる。


以上

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