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愛犬を看取った話

13歳の秋、ビックサムのペット売り場。

可愛い子いるかなーと覗きに行ったときに、アタチと出会った

目が合った瞬間、私もアタチも「あ、会えた」って気づいたの。

小さい身体から、ぴょこっと伸びた尻尾をフリフリして、「おねぇちゃん、ここだよ。アタチのこと連れて帰って」って、一生懸命。真っ黒まんまるなお目目で話しかけてくれた。

急いでお母さんを探して連れて行って、お母さんにも同じように尻尾フリフリ。お母さんも、そのときにアタチが伝えてくる「アタチ達一緒にいなきゃダメなのよ」オーラに気付いたみたい。



ご飯の時間に吠えてなければ、飼ってもいいよ。っていうお父さんを連れて御飯時に再訪。

吠えずにしっかりお座りしてご飯を待つ、アタチ。

まーるい穴のあいた段ボールに入れられて、まーるい穴からまん丸のお鼻を覗かせながら、クンカクンカして一緒におうちに帰ってきました。



それから15年間。

マイペースでツンデレなアタチ。

ネンネしてるときによしよしすると逃げる。けど、私が悲しくて泣いてると、涙ペロペロして慰めてくれる。


好きなものはササミとリンゴときゅうりと柿。嫌いなものはしつこいおねえちゃんとペットフード。

好きなところは若い頃はソファのヘリ。年取ってからは、冷たいフローリングの上。時々お父さんとテラスに出ては、まん丸お目々を閉じて風の匂いをクンクン気持ちよさそうに嗅いでたね。

いたずらする時はソファの裏に隠れてコソコソ紙類を食べては、ウンチを詰まらせて苦しんでも懲りないおばかちゃん。

可愛くて可愛くて、写真を撮ろうとするとあまりにも近くによってくるから全然収まりきらないアタチ。


箱入り娘のアタチは、お散歩が好きなのか嫌いなのか。家を出た瞬間から、帰ってくることを楽しみにしてテクテクして。家に帰ってきたら、玄関からお母さんの元に猛ダッシュ。


大きな病気もなく、箱入り娘でのんびり過ごしてたアタチが体調を崩し始めたのが15歳になるほんの一週間前。

止まらない嘔吐と食欲不振。結果は膵炎。その時の受診で見つかった、パールネックレスのような尿管結石とかなり際どい腎機能データ。


看護師のお母さんとおねえちゃんは、アタチが死ぬ時は腎不全だなって。その時からわかってた。


そこからの1年間、アタチは美味しくない低脂肪ペットフードをなんとか食べながら、家族みんなに"アタチそろそろ死ぬのヨ"って覚悟をさせるための人(犬)生を送ってくれた。


あと2週間で16歳になるよっていう、9月上旬。

お母さんから、アタチがご飯を食べなくなったこと。もう病院に行って点滴したりするのもやめて、おうちで看取ってあげようと思うけど、どう思う?っていう相談と報告があった。


わたしは、アタチに長生きして欲しかった。だけど、苦しんだり我慢してるばっかりで長生きしてては欲しくなかった。お利口さんのアタチは膵炎で入院してから1年間の間、いつか必ずくるお別れの時のことをちゃんと覚悟させてくれていた。

それに、仕事の合間にずーっとアタチのことを心配して面倒を見てるお母さんのことも心配だった。

アタチとわたしは姉妹で、大好きなお母さんのことをこれ以上しんどくさせるのはよくないよねって、思い合ってたと思う。


だから、アタチがご飯を食べられなくなってからは、点滴もご飯も無理しなくていいね。ご飯の代わりにうざったいくらいの愛情を、箱入り娘らしくできるだけ穏やかな時間をおうちで過ごさせてあげたい、、と決めて実家に通った。


ペットフードが食べられなくなって2日目。試しにおかゆを作ってあげたら、美味しそうに手のひらから食べてくれた。

だけど大好きなおかゆも3日目から食べられなくなり。

最後に食べたものは、旅立つ3日前。大好きなきゅうりとりんごと梨。おいしそうに食べてくれたけど、ぜーんぶ綺麗に嘔吐しちゃったね。

それからはお水も飲まなくなって。


けど、旅立つ前の日の夜、わたしの手のひらからほんの少しの塩とお砂糖を付け足したお水を。かわいいかわいい小さい舌でペロペロ ペロペロ おいしそうに舐めてくれた。

もう歩くほどの体力も筋力もなくなってるのに、ウンチが出そうになるたびフラフラっと起き上がって頑張ってトイレまで行こうとするお利口さんのアタチ。

最後まで頑張り屋さんのお利口さんのアタチでした。


ご飯を食べれなくなって1週間。お水を消化できなくなってから3日目の朝。

お母さんが仕事に行く前に、お口から魂を絞り出すようにして、お空にいきました。


もちろん悲しい寂しい。今になっても、アタチのことが愛おしくてたまらない。

だけど、最後までマイペースに穏やかに、お利口さんで甘えん坊ちゃんだったアタチには

なによりもありがとう、楽しかったね。大好きだよ。

の気持ちが大きい。


お母さんと一緒に、アタチのお骨を拾わせてもらった。

いつも頭蓋骨チャン、って、おでこなでなでしていた まさにその頭蓋骨ちゃんが。

そのまんま綺麗な形で残っていて。

当たり前だけど、ヨシヨシしたらアタチの頭の形で。

歯槽膿漏チャンのクシャいお口と歯も。ちゃんと残っていて。可愛い歯槽膿漏の犬歯は、お守りとしてカプセルに貰いました。


犬が生まれてきて飼い主と出会うとき、必ず前世から深い縁で繋がれていて、犬が飼い主を探して見つけ出してくれる。飼い主達と過ごして、使命を果たしたらお空に帰って行く。そしてまた、使命を果たすために生まれ変わってきて、また使命を果たしていく。


こんな話を、アタチがいよいよかもってなったときにお母さんと読んだ。

そして、アタチが起きてるとき、その話をアタチとしたの。ちゃんと真っ黒お目目でわたしのことをみて、一生感お話を聞いてくれた。

また次も、かならず私たちの近くに生まれておいでね、って。それでまた、一緒にお母さんのことを幸せにしてあげようね、って。アタチのことを連れて行ってあげれなかった、おねぇちゃんのお気に入りの海とか、大好きなニンニクとか、今まで我慢してきたりんごとか、思う存分食べようねって。


ちゃんと聞いてくれて、わかったよって言ってくれてたから。

肉体は骨になってしまったけど、魂は一緒にいてくれるから。


いつかまた会える日が来るから、その日までおねえちゃんは楽しく過ごすから、いつでも遊びにおいで。


大好きだよ。


寂しいけど悲しくはないし、いつかまた会えるって信じてる。



もしも偶然、このnoteを読んでくれる老犬の死を迎える飼い主さんがいてくれたら。


ワンコは、あなたのことが大好きです。

いまは肉体から魂が抜けて、目に見える形でそばにはいなくなったとしても

必ずいつか、また会えるようになってるみたいだから。


たくさん偲んで、好きなものお供えして、私たちも食べて

ワンコ達が大好きだった思ってくれてたであろう私たちのまんま、過ごしていきましょうね。

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