光函
手紙
激しい雨をくぐり 硝子の水滴に弾かれ
生成りの布を擦りぬけてきて
いつのまにか机の上につもっていく
静かな光
机の上に左手
考えもなくうらがえる掌
受け取るかたちをつくって
うごきだした右手 あなたへの手紙
書くことができそうです
輝く水
太陽が静かに浮かんだころ
ふたりの声はやわらかな葉をつくった 脚を伸ばして
腕を巻いて
目を水でいっぱいにして
色を香にかえる光に
包まれた棕櫚の
うえで澄んでいく
水
静かに聞えてくるふたつの脈
捜しあぐねていたのだろうか
声はたがいを呼んでいる
声を光にかえる思いに
みちあふれた皮膚の中で
水はひとつに
輝く
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