【6日目】ホット・ファズ

 こんばんは。ドンドンドン、ドンキー、ドンキー盲点、です。
 目の付け所がシャープ!
 というわけで6日目はホット・ファズを観ました。

 最近、「つけびの村」を読んだりして、田舎の噂が軸となって事件に発達していくものばっか摂取してる気がする。先日の神保町フリマ(出版社が自発的にやってる小規模の神保町古本まつり的なやつ)で、白水社の「小悪魔」もゲットしたことだし。

 さて、本作は上等な刑事物のコメディ。この映画が嫌いな人はいるのか? って思うくらいのセリフでの伏線回収、そして映画愛が詰まった1作でした。エンディングで使われてたスーパーグラスのCaught By the Fuzzもかっこいいし。しょぼさをマシマシにしたイギー・ポップみたい。

 ところでロックンロールとはなんでしょうね。現代では音楽のイチジャンルではなく、魂の動きについて用いられているような気がします。というのも、この映画ではパトロールのことをロックンロールと呼んでいる場面がありまして。

 例えば、長尾謙一郎の名作「ギャラクシー銀座」では、ニートの青年が白いスーツ、サングラス、オールバックという出立ちで、夜な夜な悪戯電話をかけるんですが、これをロックンロールと呼んでいる。あるいは甲本ヒロトは絵画の中にもロックンロールがあると言っている。
 ああ〜! こういうのを言語化したいんじゃ!!!!!
 なんか心臓が爆発して、脳はピカピカ、焦点は定まらず、汗は止まらない。されど、生の実感があり、ハッピーみたいな感じ。生きているこの「今」に無限にズームして、コンマ無量大数分の1を確かに掴んだ感じ。この至高と恍惚。

 そこで我々、撮影班はジョルジュ・バタイユに突撃。すると彼の口から衝撃の言葉が!!

「至高性」の重要な点は以下の諸点である。①何にも仕えず、従属しない自由で自律的な意識の状態。②富あるいはエネルギーの無益な消費。③将来の目的をめざす「企て」、「明日への配慮」を振り払って、今現在を十全に生きる現在重視の姿勢。④理性を否定するというのではなく、理性の体制を一時超出するという超理性的な姿勢。⑤個人的で利己的な快楽実現ではなく、他者あるいは外部の世界と深く交わっている共同的な関係性。

 いや、もうゴリゴリにロックンロールの解説ですやん。これ、多分かなりのバンドマンに言っても共感してもらえると思う。

 というわけで、今回は映画の話から他のものへ軽やかに脱線する無職の鮮やかな疾走をお届けいたしました。では、ホット・ファズのこのセリフでお別れしましょう。

 「黙れ! 母さんを忘れたのか?」
 「母さんは死んだ。死んでよかったと、初めて思うよ。今の父さんを見たら、母さんはまた、自殺すると思う」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?