背中の手

朝起きたら背中に手が増えていた夢を見た。
産まれたての動物の赤ちゃんみたいに血みどろで
だけど生命の誕生に本能的な悦びとゾクゾクを憶えているようなそんな夢だった。体毛が体液でケバケバに纏まった感じがずっとしていた、洗い流して乾かして好きな専用の柔軟剤をつけて初めて空を飛べるようになるみたいだった。

服の下に得体の知れないまだ上手に動かすことが出来ない腕が眠っていることが信じられなくて何度も鏡で確認した。はじめは感覚が無くて気づかないうちに左の背中の腕が折れて痣だらけになってしまっていたらしくその翼のような腕を動かす時、それが翼として機能できるものになるのか確かめることができない状態だった。翼なんて持ったこと無いのに元来持ち合わせていたような気持ちになった。これからこの腕をどう使っていくかワクワクしたところで目が覚めた。
人とは違う優越感は自らが得体の知れない怪獣みたいになっても尚私の中に残るのだと思ってなんだかそれが一番面白かった。

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