ラピスラズリのリボン

憧れと劣等と信じたいものが
柄に青い小さな花が沢山立体的に描かれている
白い陶器質の包丁で私の背中を深く刺して
これは愛だと歌っていた。そんな夢を見た。
愛されていると分かっていたのに、信じられなかったからその痛みに私は泣いた。ずっとずっと欲しかったものをやっとの思いで手に入れたと思ったからだ。

深くぐっと押し込んで彼女は私の背中からスッと
真っ白な包丁を抜いた。包丁はうつくしく真っ白なままで空気は冷たく清く透き通っていた。
それはラピスラズリのリボンだ。
傷口が波を描き、周りをモルフォ蝶が遊んでいる。白い霧が貴方と私を包み私たちは声を洩らして泣いた。言葉もなくただ互いに目を合わせることのないまま泣いた。

私たちはずっとひとりだった。今も未来もきっと変わらない変えられない孤独がそこに在ると知っていた。一生涯治らない傷、消えないそれはTATOO

お別れの言葉も言わずに背を向けて
貴方は私の背に目を背けるように
貴方の光へ向かっていく
私はそこに暗闇などはなから無かったことを
知っていた。無数の星に君達の輝きに圧倒されて私が不器用を理由に作り出した暗闇がいかに惨めだったか知って泣いた。きらきらしていけない事なんて無かったのに愛を信じちゃいけない理由なんて無かったのに。

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