たかが星、されど星

街は全て焼けました。私はその時独りだったので
無我夢中で走って逃げました。あまり特別な事じゃなかった。ギリギリの中でひとつずつ解決していく感覚や何かに追われる感覚はいつだって傍にあって、ただその中でたまに訪れる愛に満たされ何かに追われていることを少し忘れている時間が盲目的でうっすら罪悪感を纏いつつも心地良く、それでいて明確にしあわせだと感じていたのです。パチパチと少し先にもう火が迫っているのが分かります。振り返ればその先は絶望でしょうか。それとも私はあっさりとこの現実を受け入れ、この丘をただひたすらに登り続けることに命を燃やすことが出来るのでしょうか。いつの間にか陽が落ちて先程までは見えなかった星を見つけました。ずっと空を見上げて登っていたことに気がつきました。下を向いていたらしんどくなると何となく思っていたようです。一番星です。私は嬉しくなりました。ずっと見守ってくれていたような気がする星、君も私を凄く好きで一番の理解者でした。そして、私も君の瞬きに合わせて目配せをし君の全てをわかった気になって居たのです。

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