あのときの自分に見せてやりたい
せっかくの美瑛だからと、青い池に行ってきた。
思ったよりも、青かった。
美しき青。
前に来たときは見れなかった景色だ。
前回、この場所に来たのは、明らかな季節外れ。まだ雪解け前の、冬と春の境目のことだった。
部活の合宿で、例年この近くの施設を利用していた。その施設から青い池までは、ちょうどハイキングで行ける程度の距離だ。
合宿だからもちろん、基本的にほとんどの時間を練習に費やす。しかし、息抜きだって重要だと言わんばかりに、スケジュールにはある程度まとまった自由時間も設けられていた。
ハイキングに行って帰ってくることも十分にできるくらいの自由時間。とはいえ、季節はほぼ冬だ。外は一面銀世界。ろくにできることもない。そのはずだった。
「青い池行こうぜ!」
同期のひとりが、唐突にそう言い出したのだ。およそそれは執念みたいなものだったのだと思う。
ちょうどその年は、私たちの学年にとって現役最後の年。来年以降、この場所に来る機会はなくなる。
だから、どうしても一目、青い池を見ておきたかったのだろう。
「よっしゃ、行くか!」
雪はまったく解けていなかったが、一縷の望みをかけて行くことにした。
近いとは言っても、それなりに距離がある。道中、互いに馬鹿話をしながら歩いた。気楽な連中だった。
しばらく歩いて、ようやく辿り着く。しかし、雪で覆われているため、入り口がわかりにくくなっていた。さらに、ぽつんと靴だけなぜか揃えて置いてあったりして、不気味だった。
まあそれはともかく、青い池。
普段ならば青いはずのその池は、当然のごとく、青くなかった。
白かった。
時間かけて雪の中歩いて、来てみたら、やっぱり白かった。
美しい青は、見られなかった。
なんだよ、白い池じゃん、と笑いながら、来た道をみんなで戻っていった。
雪玉を投げ合ったり、ふざけながら。
※きちんとコンディションが整っていれば、青い池はとても綺麗です。おすすめ。
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