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実践版三国志を読んでみた/鈴木博毅氏

実践版三国志/鈴木博毅氏
著名な三国志から現代の私たちが何を学べるかを分析した本です
私たちは三国志の知恵を、自らの人生にどう生かせるか

■はじめに

◯三国志の兵法を分析する5つの軸
①なぜ彼らは飛躍の瞬間を掴めたのか?
②なぜ勢力を拡大し続ける英雄が生まれたのか?
③勝ち残る者、敗北する者の人間関係の違い
④なぜ英雄の後半生には、悲哀が漂うのか?
⑤繁栄を続けた英雄たちの人生を美しく完結させる叡智

魏:曹操→荀彧
蜀:劉備→諸葛亮孔明
呉:孫堅→周瑜

■乱世とは過去の権威が崩れていく時代

「これがために、有能な人材は宮廷を去り、野に隠れ、力量ある者は、地方に割拠した」
有能な人物は口をつぐみ、中央権力から離れていきます

◯民衆の不満や怒りを新たな達成のための力へ
曹操は青州兵法をに宗教の自由を保障し、家族たちには土地を与えて帰納させた
食糧生産力を高める屯田制の開始
曹操の民衆保護政策を聞きつけて、流民が彼の領地に集まった、これにより農業と経済を発展させた

◯荀彧の若い頃の選択
・危機を予測しそれを避ける行動を躊躇わない
・次の時代を創る人物を見極め受け入れる

◯新しい時代を支配する力とは何か、常に問う
時代の転換点は、様々な難題をその時の人々に提示する
次の数年、どんなニーズが社会を支配するか
次の数年、どんな技術がビジネスを有利に導くか

■一瞬の輝きで消えた人の失敗の本質

◯優れた人材を吸収しながら、人材のリスクに対処する
現代でも大手企業内で不正行為をするのは、多くが優秀な人物です
優秀な人には重要な仕事、多くの仕事が任されますが、ブラックボックス化すると、他の人では仕事内容をチェックできなくなる

ある業務をAさんに全面的に任せてしまうと、その人の限界が会社の限界になる
これはひとを中心に業務を組み立てる場合のリスクです

◯優れた人材を渇望しつつ、仕事に人をつけて管理する
人に仕事をつけるとは、特定の人の能力に応じて仕事を任せることで、その人が職場を離れると業務遂行力が大きく落ちる

仕事に人をつけるとは、業務を明確に定型化することから始まるので、誰でも同じ品質が保てる

曹操は仕事に人をつけることを徹底していた
仕事に人をつけ、ダブルキャスト以上の布陣をしておく
これにより組織内で優れた個人が私的な権力を膨張させることを防いだ

◯厳しさと仕組みを縦糸、才能への愛を横糸にした曹操
曹操の仕組みは従業員側には過酷な環境です
しかし曹操は成果を上げた者を無差別に褒め称えることで不満を解消しています
そのため常に同僚と競争して成果を出す環境でま組織は一致団結していた

■なぜ劉備はわらじ売りから皇帝になれたのか

◯共通の利害で味方となり、相手に自然に決断させよ
劉備が複数の陣営に転がり込んで、なおかつ生き残れた理由は、「相手と共通の利害を語る」能力の高さが推測できる

曹操が孫子に精通し、劉備は「六韜(りくとう)」を熟知していた
◯利益を共有して自ら接するように相手を扱う
「どんなに人材を集めても、その心をつかんでいなければ必ず逃げられてしまう」
「うまく国を治めている君主は、父母が子を愛し、兄が弟を愛するように、人民に臨む」

◯必要な行動は直ちに行い、自らに躊躇を許さない
必要なときに、必要な行動を躊躇するな
「良いことだと分かっていても実行せず、好機が来ても決断をためらい、悪いことだと知りながら改めようとしない、道が廃れた理由はこれでございます」

◯成長を続けるには、地位や富を得ても周囲を見下さない
劉備は平原国の管理者になったとき、民衆に経済的恩恵を施し、身分の低い者を差別しなかった
身分の低い者たちの“認められたい”という欲求を満たして信義を得た

◯六韜の兵法書としての特徴
1.民衆の心を満たして惹きつける徳治政治
2.躊躇しない果断な行動力の強調
3.王者の人徳と大義名分の重視
4.戦闘における個々の戦術論

◯相手の心が渇望しているものを与える者が上に立つ
「天下の人々は利益を与えてくれる者には道を開き、一人として邪魔する者はいない
つまり人民から収奪しない人物が、民心をつかんで支持を勝ち取ることができる

◯自らを疑い、目標実現に足りないものを見つけだす
劉備は20年近く奮戦を続けら猛将の関羽や張飛がいてま飛躍できない情けない自分を振り返った
・自分には何が足りないのか?
・自分の何が間違っているのか?
人間は自分が優れていると考える分野では外部の専門家を探しません

私たちもふと立ち止まり、自分の目標に近づける道を歩んでいるか確認する
行きたい場所に近づいていないなら、何が欠けているのか?

■呉の孫権、家業を繁栄させた3代目の若頭

◯孫権の人心掌握術
周囲の手本となる凄い部下をトップが褒め称える

リーダーの自分と部下ではなく、凄い部下と比較ささて奮発させる

次は自分が褒められたいという人間を増やしていく
孫権は正しい功労者に、正しい待遇を与えました
君主としての正しい人事評価は、新たな貢献者を生み出す好循環を生む

◯リーダーがなすべき4つのタスク
1.目標を掲げる
2.先頭を走る
3.決める
4.伝える

◯危機を機会として利用し、集団を強く一致団結せよ
リーダーとは集団に現状を定義して説明することが必要です
今自分たちがどんな状況におかれて何が求められているのか、なにを打破する必要があるのか
孫権は敵の姿を正しく把握して説明することで、危機を何度も飛躍の機会に変えた

■曹操を選ばなかった諸葛孔明の狙いとは

◯自分が情熱を注ぐことができる、花開く前の機会を見つけよ
孔明は自分という人間を省みて、もっとも情熱を注げる目標を探した
曹操はすでに成功し始めていた
孔明は自分にぴったりの機会と目標を探して、劉備を見つけた

◯予期せぬ機会には、計画を変えて人と資源を注ぎ込め
ピータードラッガーは「予期せぬ成功」について、それは重要ながら放置されることが多いと指摘
「予期せぬ成功ほど、イノベーションの機械になるものはない。だが予期せぬ成功はほとんど無視される。困ったことに存在さえ否定される」

◯模範となり、人から強さや誇り、誠実さを引き出す
孔明の戦略は司馬懿とは逆に「人間の強さ」に焦点を当てている
・優れた法律を制定する
・優れた人物を発見し、抜擢して活躍したさせる
・自らにない能力を他者で補う
・謙虚さに寄る共感と納得で統治する
・緻密な頭脳により計画を練り、結果を積み上げる

◯何事も完遂させるためには、強い疑り深さこそ武器にせよ
司馬懿は騙すための演技をして、魏帝国の曹爽一派は警戒を全く解いてしまったことで、クーデターを成功させた
ビジネスの重要な契約、履行の約束にま絶対はない
安易な思い込みが想定外のトラブルに繋がることもある
何事も確実に行うには、健全な猜疑心こそ発揮すべきなのです

◯一番弱い部分を底上げして全体を強くせよ
ビジネスにおける「制約理論」は、プロセス全体の中でもっとも効率が低いボトルネックに全体の成果が左右される事を指摘したもの

制約理論のTOCステップ
1.制約を特定する
2.その制約を徹底活用する(有用性の効率を高める)
3.制約を底上げする(ボトルネックの許容量を増やす)
4.新たなボトルネックを探索し同様の対処を行う

■すべての諸葛一族を滅ぼした司馬氏

◯人生を大きく変えたくば、優先順位を大きく変えよ
人間には誰しも自分が優先するものがあり、それに応じて決断している
優先きたまのに応じて、人生を創り上げ、時に至って決断を重ねてきた
人の優先順位が決断を作り、それが積もり積もって人生となる

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