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首の差で

タンゴの曲に"Por Una Cabeza"という曲がある。
タンゴの大歌手Carlos Gardelの歌う名曲だ。

『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(原題: Scent of a Woman)という映画で盲目の退役軍人役のアルパチーノがこの曲で踊った。

この曲、邦題は「首の差で」
アルゼンチンは昔からサッカー以外にも競馬にも人気があり、自分の気持ちが果たされない思いを「いつも首の差で負ける」と競馬の馬に例えて歌った曲。
ブエノスアイレスのウルキサ地区にある歴史あるミロンガ"Sin Rumbo"も馬の名前が由来だ。

あまり縁起の良い曲ではないが、曲調が切なくドラマチックなせいか、結婚披露宴のファーストダンスでこの曲を踊りたいというカップルが居るとか。

アルゼンチンタンゴの曲には歌詞のついたものも多く、どんなに良い曲調でもスペイン語がわかる人には好まれないことがある。


そういえば、、、
初めてアルゼンチンに訪問して日本人のみでタンゴ公演をした時に、"ラ・クンパルシータ"の曲を踊った。タンゴの発祥の土地で踊らせてもらった嬉しさのあまり、微笑みを湛えて踊ったところ、現地の高齢の婦人に「この曲は笑いながら踊る曲じゃない」と厳しく注意を受けたことがある。

知らないと云うことは時として罪になる。
特にタンゴという文化に関しては、その歴史的背景や曲の由来、歌詞の意味を理解した上で扱わねば、私達のクンパルシータの失敗のように、意図しない反感を買うこともある。タンゴを踊る外国人である私たちは、アルゼンチンの文化であることに常にリスペクトを持って踊らねばと思う。

La Cumparsita / Anibal Troilo

1972年8月17日に演奏された世界三大劇場と言われるColon劇場での映像。
この時のトロイロ楽団のピアニストはJosé Colángeloだといまさら発見。.

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現在のコロン劇場。数年前にリニューアル工事が行われ、素晴らしい外観が蘇った。実は向こう側が正面なので、この写真は裏側。裏側でも見事な建物だ。

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