見出し画像

くらら

2018.05.03

三流の玄人も一流の素人に勝る。
こうして恥を忍ぶからだ。
己が満足できねぇものでも、
歯ぁ食いしばって世間の目に晒す。
悔いてる暇があったらとっとと次の仕事にかかれ。

葛飾北斎の娘、葛飾応為を主人公にしたドラマ「眩(くらら)~北斎の娘~」のグッときた台詞。

自分の満足いかない出来になってしまった仕事を納品したくない応為を北斎が叱る場面。

80幾つになっても、いくら絵が売れても、出来ない自分に涙を流して悔しがる。あと5年生かしてくれたら本物の画工になってみせる。そう言って死ぬまで描きつづけた人、葛飾北斎。

ストイックというか変人というか、でも仕事に対する姿勢は相当きびしかったようだ。

世界にはいろんな絵描きがいる。

この連休、徳島県鳴門にある大塚国際美術館に行ってきた。

ダ・ヴィンチ、ゴッホ、レンブラント、ピカソ、ゴヤ、モネ、その他たくさん。とんでもない数の名画が広い館内所狭しと並ぶ。

これ全てレプリカ。2000年経っても色あせないという陶板印刷の技術を使って再現された世界中の名画がひとつ屋根の下にある。

劣化しないから普通の美術館ではありえないカメラ撮影もOK。モナ・リザとツーショットなんてのも可能なのだ。なんか恐れ多くて出来なかったけど。

ゴッホの部屋では7つのヒマワリが見られる。ゴッホが描いたと言われる花瓶に差されたヒマワリの作品は7点、その他も合わせると生涯に十数点ヒマワリを描いているらしい。ヒマワリ好きだよね。

世界中の美術館に点在するはずの7点が一度に見られるってのは凄いことだなぁ。しかも1点はすでに戦争で焼失しているもの。
まぁ、この美術館には何でもあるんだけど。とても2.3時間じゃ見きれませんよ。。。

7つの作品、ヒマワリの花が花瓶に差されてるという所は同じなんだけど、背景の壁、花の本数や色、筆のタッチなど少しずつ変えて描かれている。

試行錯誤しつつ自分の描きたいヒマワリを探していたのかな。と思ったらそうじゃない。

「このヒマワリはこっちの壁に、このヒマワリはこっちに飾ろう♪」って描き分けていたらしい。

え、ほとんど一緒やん?2枚いる?
って思うんだけど、本人にとっては譲れないこだわりがあったのかもね。ゴッホは3番目に描いた作品が好きらしい。私は4番目のやつかな。

この人もストイックというか変人というか、思い込み激しいというか。。。

ヒマワリを描いてた時期とその後の展開の落差を思うと、この7枚の絵を見ると胸が苦しくなる。例の耳切事件の自画像もあったけど、落ち込んで自傷した自分自身をも表現の対象にするってところが、この人の芸術家としての生き方だったのかもしれないな。

そんなこんなでひとつひとつの絵に色んな思いを馳せていたら、全く時間が無くなってしまった。最後の方は館内マップを睨み、さながらオリエンテーリングのように作品を消化していくような感じに。。。とにかく広いんだよ。

すれ違う人もこっちだ!あっちだ!と行ったり来たり。普通の美術館にはない光景でちょっと笑ってしまった。

「何事も自分が及ばないと嫌になる時が上達するときなんだ。」by葛飾応為

まぁ、とにかくやってみて自分の出来なさを自覚しなきゃ、成長する機会もないのだ。ちょっと上手く出来るようになると、失敗も怒られるのも怖くなって新しいことに挑戦するはじめの一歩が重くなる。

北斎は死ぬまで満足することなく、挑戦と挫折を繰り返していた。もう何歳だから無理だとか遅いとかいうのは、挑戦しない自分への言いわけだ。人間は死ぬまで挑戦できるのだ。

浮世絵に憧れウッキウキにヒマワリを描いていたゴッホさん。私もたくさんの芸術に触れて少し勇気が湧いてきたよ。

今出来ることをやってみて自分の出来なさに嫌になって。落ちこんだらそれも何かのネタにになるかもしれないし。それからまた次に行く。それでいいかな。

旅の途中立ち寄った淡路島は、青い空と海と太陽と新緑と至る所に可愛い花が咲くユートピアみたいなとこでした。いいなぁ、南国。

ゴッホさん南国憧れ強いけど、もしかして寒いとこの出身かな?と思って調べたらオランダ北部の出身。年間気温を調べたらちょっと私の出身地と似てたから親近感湧いた。いいよね、あったかいとこ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?