我が子よ!ありがとう! 呉服店編
ー始まりは突然ー
5月下旬のこと。1歳になる子どもの記念写真を撮りに、大型ショッピングモールに旦那と3人で向かった。
店内入るとしばらく一直線の廊下が続く。その角を曲がろうとしたときに、突然い若い女性から声をかけられた。
女:「今人気のお着物を皆さんにお聞きしているんです!良かったらどっちが良いか、シール貼ってもらえませんか?」
目の前には綺麗なお着物が2着、展示されていた。
撮影があるからと私は素通りしたかったが、珍しく旦那がくそ真面目に話を聞き始めた。
結局、シールを貼るだけで終わらず、アンケートまで書くことに。
時間がなく、本当に急いでいたので、適当にアンケートに答えて・・・最後に住所と氏名、電話番号を記入・・・(あぁ。個人情報が。)と一瞬思ったが、面倒くさそうだったので、ちゃちゃっと書いて撮影スタジオに向かった。
そう。始まりはここからだった。
-謎の不在着信-
それから1ヶ月ほどして、知らない番号から着信が入るようになった。
ネットで検索したら、この間アンケートを記入した呉服店。
もちろん無視。
しかし後日、知らない携帯番号から着信。
私は基本、知らない番号から着信があるとネットで検索して、怪しそうなら出ない。
しかし、同じ番号から2度3度着信があったら・・・もちろん、知り合いかな?と思いますよね。
そしたら電話越しに出たのは、あのアンケートを記入した呉服店の若い女性だった。(まじか)
とりあえず適当に話を合わせることにした。
最初に感じたのが、どうでもよいトークであるということ。きっと顧客との距離をぐっと縮めるための作戦なんだろう。私が好きなテレビ番組の話を始めた。
そして次に感じたのが、話が長いということ。なかなか切らせてくれない。
(おいおい。子どもがようやくお昼寝して、今私のゴールデンタイムなのに・・・)
案の定、長電話後に子どもが泣いて起きた。私の時間を返して欲しい・・・
ー謎のあみだくじ大会ー
1度電話に出てからというもの、定期的に電話が来るようになった。
1~2ヶ月に1度くらいのペース。
2回目に着信があったのも携帯電話から。
まさか、呉服店からのセールスがこんなにしつこいと思わず、前回の携帯番号を登録していなかった為に、2回目も出てしまうことに。
(※ちなみにこのとき、3日間連続で着信があった)
女:「呉服店オープン○○周年を記念して大あみだくじ大会があるんです!」
女:「ハズレなしで、私が参加したいくらいなんですけど・・・スタッフは参加できないんです。本当にこんなこと滅多にないので、是非○○様に参加して頂きたくて!」
女:「一番良いので、お着物とかもあるんです!すごいですよね!ただ転売防止用に仕立代が5万円ほどかかるんですが・・・何十万もするお着物なので、こんな機会ないと思います!」
女:「番号何番が良いですか?当たってほしいものとかありますか?」
もちろん何度か断った。が、長々と話をしていると、人間気持ちも変わってくる。
(あみだくじのついでに大型ショッピングモールの中にある子ども用品のお店でも見に行こうかなぁ・・・)
私:「じゃぁ、とりあえず○○番で・・・」
心に若干のモヤモヤを抱えながらも、暇だったので行くことを決心した。
-あみだくじの結果-
くずくずの子どもを車に乗せて走ること25分、目的地に到着。
携帯を見ると例の番号から着信が…
(しつこいわ…もう着いたわ)
絶対に何か勧誘されても買わない!と心に誓い、十分に警戒しながらも、1歳の子どもを抱きかかえ入店。
担当の女性が話しかけてくる。
店内は数名客がいて、にぎわっている様子だった。
(私だけじゃなくて良かった・・・と一安心)
着物の生地の展示会がされており、女性に連れられて見て回る。
(おそらく貴重な品で、職人が手間をかけて造っているものだろうなぁ・・・と感じるが、素人にはよく分からない)
試着室3つ分ほどの、小さい隔離されている小部屋につれられる。
目の前には着物生地が数十枚と、壁にはあみだくじの表が貼られていた。
ざっと100人ほど参加しているのだろうか・・・本当に参加しているのかは疑問だが、私が事前に伝えた番号には、私の名前が書いてあった。
40代後半の男性が、こう説明する。
男:「今回の大あみだくじ大会は、お着物とかに興味をもってもらいたい!あまり日頃お着物を身近に感じていない方々にお声がけをしているんです。」
男:「興味もたれてる方は、勧誘をしなくても購入して頂けるので!」
男:「なので外からは見えないように、このお部屋を隔離させてもらっているんです〜」
(なるほど。いちいち説明しなくても良いのに。)
事前に伝えていた番号を、スタッフの方とあみだくじの歌を唱いながらたどる。
「あみだくじ~♬あみだくじ~♬」
結果は…
男:「え!?おめでとうございます!訪問着当選です!うわ~すごい!」
男:「え これ本当!?や 本当だ!」
男:「これ本当にくじですからね!隣の番号たどると・・・ほら!全然違う品があたるでしょ!」
(えええええええぇぇぇぇー!!)
その瞬間、私の心の声を代弁するかのように、抱っこしていた我が子が大泣き。
そう。悪い予感は当たってしまった。その瞬間頭によぎる、仕立代5万円・・・さてどうしたもんか。
ー腹をくくるー
女将さんのような60代ほどの年配の女性が小部屋に入ってきた。
女将:「お着物どれにされますか?こんな生地も良いですけどね~お好みの色とかあります?」
その人がチョイスした生地はなんとも地味な色。全く私好みではない色。
そもそも訪問着がどういうものかも知らない。
女将:「お子さんもいますし、落ち着いた色合いの方が良いと思います。ご兄弟はご結婚されていますか?親族ならお着物の方が良いですよ。」
女将:「お子さんのご入学式や七五三なんかでも、着用する機会ありますよね~」
年配の女将は、次々と興味のない着物を並べてくる。
そんな中、私の心を察したかのように子どもはグズグズし始める…
結局、てきとーに選ばれた着物3点を、鏡をみて試着することになった。
全く興味のない生地の着物を試着する…私は何をしているんだろうか。
そして頭の中は、どうやって5万円を捻出しようかフル回転・・・(本当に買わなければならないのか。本当に必要なものなのか。)
(いや、兄弟も結婚していないし、双子の従姉妹も今大学生。数年後に結婚するからその時に着るしかないか…)
自分に何度も何度も買う理由を納得させ、5万円を支払う覚悟で試着をすることにした。
ー子どもは最強!ー
鏡を見て、いざ試着!と思った瞬間、我が子のぐずり具合はピークに。
私からくっついて離れない・・
仕方なく携帯のYouTubeで大好きなトマトちゃんの歌を流す。
しかし、私の足にぴったりくっついて離れない。どうしたものか。
数分間、我が子と格闘した結果、試着は無理だと判明。
呉服店の店長がやってきて、試着は日を改めることに。
店長:「お子さんを預けて来店するか、誰か見てもらう人がいた方が良さそうですよね・・・」
(確かに!)
ーふと気がつくー
家に帰り、冷静になって今日の出来事を振り返る。
私は昔から、くじ運は良くない。なぜならいつも1等を狙って、欲を丸出しにするタイプなので、必ずハズレになる。
しかし今回は違った。訪問着が当選!これは間違いなく、1等というくらい大物である。
が、何だが胸がザワザワする。当選したのに、仕立代5万円を支払って、欲しくもない着物を買うことになったからだ。
(5万円あったら、他のことに使えるのになぁ・・・)
そんなことを考えながら、仕事から帰ってきた旦那に話のネタとして今日の出来事を全て話す。
結果、旦那は爆笑。
騙されてる。相手のやり口。呉服店はよくある。くじだって仕込みかもよ。
旦那:「そもそも転売防止のために仕立代とかいうけど、仕立てた品でも転売できるし。転売しないんで、生地下さいって言えば?笑」
旦那:「仕立代5万円だけでも、呉服店は利益出るんだろうなぁ」
旦那:「着物?なんて流行去りがあるわけだし、維持費もかかるよね~」
旦那:「着物買ったら、帯とか他のも欲しくなるでしょ?そういうので色々他にも買わせるんじゃないの?」
色々な言葉を投げつけられて、現実に引き戻されたのと同時に、ホイホイと軽い気持ちで参加しに行った自分がみじめで情けなく思えてきた。
旦那は最後にこういった。
旦那:「俺は直接、着物を見ていないから分からないし、本当に何十万もする良い着物かもしれないし、憶測でしか話せないけど・・・本当に必要な品で、自分が欲しければ、買えばいいんじゃない?」
(必要ありませーーーーーん)
後日、呉服店には子どもを預けられず、行くことができないので今回は見送らせて下さい…と断りの電話を入れた。
ー振り返りー
私は昔から騙されやすいタイプで、この手のやり口に引っかかりそうになることが多い。
今回は我が子が助けてくれたんだなぁ・・・と、心から感謝しかない(泣)
私一人であれば、間違いなく購入していたであろう。
【まとめ】
①何か重要なことを決断するときは、誰かに相談する
②1人より複数人で行く
③今、本当に必要かを考える
④「No!」と断る
今回の呉服店さん、本当は良いお店なのかもしれない・・・あくまでもこれは、私の考えなので、皆さんも参考程度に、面白おかしく読んでもらえたらと思います。
ただより高いものはないとはこういう事か!と実感した今日この頃です。
てな訳で、この記事を作成している間にも例の番号からから着信が…
本当にしつこいので、皆様もお気をつけください。
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