『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』は旧作と比べても面白かった!

皆さん、こんにちは。「ぴの」という者です。

先日、9/11から公開されていた『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』を観に行ってきました。

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(引用元:https://collabo-cafe.com/events/collabo/crayon-shin-chan-movie2020/)

予告編:


自分はクレヨンしんちゃんの劇場版はほぼ毎年観に行っていますし、過去作含めて全部視聴済みです。特に「オトナ帝国」「ヘンダーランド」「ロボとーちゃん」あたりが好きで、こららは思い立った都度繰り返し観るくらい気に入っております。

普段はあまり感想など目で見える形で残したりはしないんですが、今回は個人的に非常に面白く感じたのと「鉄は熱いうちに打て」と自分の奥底から来る謎の熱意に後押しされたため感想を残すことにしました。
(※記事の2章目以降の内容はネタバレを含みます。「興味が沸いたから、あとは自分で観に行きたい!」という方はご注意ください。)

1. あらすじ

公式HP

地上の人々の落書きをエネルギーとして空に浮かぶ「ラクガキングダム」は、落書きをする人達の減少に伴うエネルギー不足により存亡の危機に立たされていた。王国軍は無理矢理落書きをさせるために「ウキウキカキカキ作戦」を遂行すべく地上に降り立ち、春日部への侵攻を開始した。
これを阻止すべく、ラクガキングダムの姫は描いたものを実体化させる力を持つ王国の秘宝「ミラクルクレヨン」を宮廷画家を通して地上の勇者に託すことにしたが、それを入手したのは野原しんのすけであった。
しんのすけと彼の落書きで実体化したぶりぶりざえもん、ニセななこ、ブリーフの4人は勇者として春日部を奪還すべく動き出したのだが…。

(引用元:wikipedia

まず、昨年の劇場にて発表された予告でも出ており、長らく劇場版では出番が少なかった(出たとしても声がない状態かつ短い時間のみ)「ぶりぶりざえもん」が久々にメインキャラとして活躍するとの報に期待が高まった記憶があります。
なんせ、故・塩沢兼人氏の演じるぶりぶりざえもんがメインキャラとして活躍したのは「ブタのひづめ」以来、最後にセリフがあったのは「温泉わくわく大決戦」のEDの一言のみだったからです。

それが今回、2016年より新キャストとして声を充てられた神谷浩史氏のもとで初めて劇場版でのメインキャラ起用となっています。

2. 個性的な味方キャラ達

(※以下、ネタバレ含む感想となります。)





1章にて触れた「ぶりぶりざえもん」もファンからの根強い人気と強烈な個性を持っており、筆者自身としても大変お気に入りのキャラクターです。
しかし、物語序盤にてミラクルクレヨンにて生み出される「ブリーフ」「ニセななこ」も今回の映画の感想を語る上で欠かせない存在となっているので順番に触れていきます。

ブリーフ
今回の物語で最初にしんのすけに生み出されます。
「何故か」履いて二日目の臭いを持ち、新品ではないそうです。
なんで…?は劇場でも思ったし、帰ってからも一生思ってます。なんで新品じゃないんですか…?

ミラクルクレヨンで生み出されたメンバーの中では比較的常識人(?)なポジションで、ラクガキングダムの内事情にも詳しいため物語の指標を示す役割となっております。
(というよりは、しんちゃんやぶりぶりざもんは中々常識外れな言動や行動を取りますし、後述するニセななこもコミュニケーションに制限があるため、必然的に一行を引っ張る存在にならざるを得ないという所はあるかもしれませんw)
そして何より、物語上一貫して「ラクガキングダムの窮地を救う」ことを第一の目的としており、そのため終盤では重要な鍵を握る存在となります。

ニセななこ
ブリーフの次、キャンプ小屋の中で物寂しくなったしんのすけに生み出されたキャラクターです。
しんのすけが好きな「ななこおねえさん」を模して作られましたが、勢いのあまり本物とはかけ離れた存在となってしまいました。
オマケに、生み出される時に吹き出しで「しんちゃんスキよ♡」とか書かれたせいで一生その言葉しか発せなくなっていますw
(皆でカレー食べる前に「いただきます!」って言う中でも、カレー食べている間に各々感想を言っている時でも、「しんちゃんスキよ♡」としか言えません。あまりにもシュール)

上述のセリフの問題のせいで言葉を使ったコミュニケーションは取りませんが、
・生み出されてしんのすけに逃げ続けられた後でも、膝枕して寝かし付けてあげている
・ブリーフやぶりぶりざえもんが水を恐れて進めない時でも、自ら率先して道を切り開く
・道中で見つけたびわの皮を剥いてあげて、他の一行に食べさせてあげている
・戦闘時にはその体格を活かして「肉弾戦で」敵に果敢に立ち向かっていく
等、言葉はなくとも黙々としんちゃん含む仲間のために行動していく様はまごうことなきイケメンでした。(もちろん褒めています。)
正直、この劇場版オリジナルキャラの中では一番好きです。

ぶりぶりざえもん
しんちゃんが春日部へ帰る道中にお腹が減って動けなくなった時、「すくいのヒーロー」として生み出されました。
キャラとしては今まで通り「ザ・卑劣」という感じで、
・積極的に働こうとしない(というより、本人に特別な能力があるわけではないのでどうにもできない場合が多い…)
・形勢が悪くなるとすぐに逃げたり敵側に寝返ったりする(「黙れ!私は常に強い者の味方だ」は今回も健在でしたw)
・その割には自分の手柄でなくても見返りを求めてくる
等、羅列するとアレなんですが「期待通り」の立ち回りをしてくれていました。

そんな一言で言えばク〇な彼ですが、
・しんのすけが運転する車で後ろから出たジェットの火に焼かれて一人騒いでたり
・電車に乗るときに怪しまれないように「生け捕りにされたブタ」みたいに吊るされる扱いを受け入れていたり
等、どこかにくめない所があるのもこのキャラの魅力だと思っています。
また、何かにつけて裏切ろうとするんですが何だかんだ完全な悪者にはなりきれなかったり、キメるところはちゃんとキメてくれるあたりも人気の所以でしょうね。

上記以外にも、
・春日部へ帰る道中で出会い、色々と手助けをしてくれる6歳児「ユウマ」
・きゃりーぱみゅぱみゅ氏が演じる「ラクガキングダムの姫」
など、物語上のメインキャラはまだまだいるんですが書き始めるとキリがないのでここでは割愛します。

3. 「面白かった」「見ごたえがあった」と感じた点

物語のあらすじ、そして主要なキャラの説明をしたところで本題へと移ります。
個人的にこの作品の魅力として挙げたいのは、
・場面ごとの各キャラの行動、心理が非常に丁寧に描かれている
・物語の流れとして単純明快ながらも、「勢い」で盛り上げてくれる
・ギャグのテンポが良い
の3点です。
以下では、1点ずつ「どのあたりからそう思ったのか?」という詳細を書いていきます。

場面ごとの各キャラの行動、心理が非常に丁寧に描かれている
「当たり前のことじゃん!」って思われるかもしれませんが、意外と難しい事だと考えています。
アニメに限らず創作物においては「物語の都合上、このキャラにはこう行動してもらわないといけない」といった感じで強制的にそのキャラの行動が定められてしまう場合があるからです。(いわゆる「ご都合主義」というもの)

ではこの作品ではどうなのか?って考えてみると、各キャラはそれぞれの理念・思想・個性に従って「自然と」行動に移していると見て取れました。
例を挙げると、
・ニセななこは(他の味方が大事じゃないってワケではないと思いますが)しんのすけ第一のため、車から落下するときでも「しんのすけ>他の味方」の順に助けている
・ラクガキは「水に触れる=死」であり、ブリーフ含むラクガキの一同は水や雨に対して非常に恐れる描写が多々あった
・しかし中盤、雨の降る中しんのすけが敵に捕らわれそうになった時、ニセななこが自ら消滅することも顧みずに身を挺して守りに行った(春日部への道中で水を恐れずに道を切り開こうとしていたのも他ならぬニセななこだった)
・ぶりぶりざえもんは自分の利益を第一優先としているため、金目のモノがちらつくと驚くべき早さで春日部行きを決めた
・しかしぶりぶりざえもんの中でも「すくいのヒーロー」であることには拘りがあり、人を不幸に陥れてまで手に入れる地位よりも「ユウマの母を救う」ことを優先した
・ブリーフは「水にぬれる=死」を終始恐れていたが、終盤では自分の第一の目的とする「ラクガキングダムの窮地を救う」ことのために自己犠牲を厭わない行動に出た
・ユウマはいざ春日部に来ると母の行方を気にするあまり集団行動よりも母を探すことを優先し離脱した
・春日部への道中でしんのすけの勇敢さに感化された結果、ユウマは終盤普段の大人しめの言動からは考えられないような「人を動かす説得」を自らしはじめた
等々。

上記で挙げた行動は自分がそう思っているだけで、実際は物語上の都合に過ぎない部分もあるかもしれません。
ですが、少なくとも「なんでこの場面でこんな行動に出たのか?」で考えると非常にキャラの行動理念・優先基準に基づくものであり、状況に対してのアクションが自然に決まっているように感じられました。

物語の流れとして単純明快ながらも、「勢い」で盛り上げてくれる
前述した「キャラの行動が自然に決まること」は物語上の違和感を解消してくれる一方、「行動や進行が予想通りになり、飽きが出てくる」という欠点も抱えていると考えております。
実際、終盤の春日部市民全員でラクガキする流れになるところとかは「まぁ、そうなるんだろうな」って思ったりもしました。

しかし、そのあたりも飽きを感じさせないくらいの「勢い」がありました。
・劇中専用の挿入歌「やっちゃえば?(確かそんな名前)」による一転攻勢の盛り上がり
・中盤まで強制的にラクガキをさせ続けられていた子供たちのみならず「埼玉紅さそり隊」「バラ組のチーター」などのお馴染みキャラ達も参戦しはじめるファンサービス
・「アスファルトの道中」とか「建物などの障害物がある」とかの問題がありならがも、それらを感じさせない勢いのある描写

予想された展開ながらも、一致団結して目的を達成しようとする様には改めて涙をさそわれました。

ギャグのテンポが良い
これに関してはもはや個人の好みの問題になるんですが、劇中で挟まれるギャグのテンポが非常に良く感じました。
例えば、ブリーフパンツこと「ブリーフ」が普通に喋って動いてることって(面子の問題もあるけど)あんまり道中で突っ込まれないんですよね。だから観ている時も段々当たり前みたいに感じてきていました。
しかし、幼稚園の前で助けたよしなが先生が喋っているブリーフを見て「パンツがしゃべってる・・・」ってボソッと言うんですよね。「手足あって普通にしゃべってるけど、そういえばコイツブリーフパンツやったわw」って時間差で思い出して一人でツボってました。

他にも、
・事あるごとに寝返ろうとするぶりぶりざえもんの天丼ネタ(ボコボコになって帰ってきたときの「作戦通り!」まで含めて)
・「バーカバーカ!」と罵倒しながらダッシュで離脱した瞬間に落とし穴に速攻ハマるぶりぶりざえもん
・「怪しまれないように変装しよう」から即ブタの生け捕り式に吊るされて「おかしいだろ!」ってキレるぶりぶりざえもん
等、今回も緩急ついたギャグが目白押しで非常に楽しく見させていただきました。

4. ちょっと残念に感じた点


上記で書いた通り、本作は非常に終始楽しく観させていただいていたんですが、一方でちょっと残念に感じた点というのもありました。

「面白そう」なキャラクターが「面白そう」なままで終わってしまった

上述のしんのすけ一行とか、相変わらず自分の靴下がメイン武器のひろしとか、そのあたりのキャラの活躍は見てて面白かったし物足りないなんて思わせる所はありませんでした。
しかし、特に敵側「ラクガキングダム」で出ているオリジナルキャラ達に関しては特に活躍することなく終わってしまいました。
ひとつ例を挙げるとすれば、

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(引用元:https://www.fashion-press.net/img/movies/23407/GXU.jpg)

この「食料大臣<弟>(CV:レキシ氏)」とかもっと喋って動けば絶対面白かったと思うんですよ。理由はなんとなくですけど、こんな見た目で「Cool!」とか言ってて面白くないワケがないと思うんですよ。
しかし、敵サイド幹部は「防衛大臣」「鬼軍曹」を除いて地上に降りすらしません。防衛大臣は終盤でほぼ無力になっちゃいますし、鬼軍曹もめちゃめちゃイカツいスタイルしておいて特に格闘シーンとかはありません。

もちろん、尺の都合ってところもあると思います。
キャラ一人ひとりに活躍の機会を設けると、それだけメインキャラ達の登場時間が少なくなり、結果陳腐な仕上がりになっていたかもしれません。(「宇宙のプリンセス」とか最たる例だと思っています)
しかし、個人的には「せっかく面白そうなキャラクター達がいたのになぁ…」と残念に思った点ではありました。

「ラクガキのため拘束される人々」の描写がくどい

これはしんのすけが遠くに飛ばされて~春日部に戻ってくるまでの時間の流れを感じさせるための描写ではあったのですが、流石に挟まれる回数が多すぎる(ふたば幼稚園だけでも3~4回くらいあった気がします)と感じました。

見る度に状況が刻一刻と変化していってるならまだ退屈さは感じないし、実際おえかきサンバのくだりとかはBGM(マ〇ケンサンバ)も相まって面白かったんですが
・壁に張り付けられたマサオくんは張り付けられたまま
・カスカベ防衛隊や他の面々が隙を見て抵抗しようとするとかもなく、基本的にはラクガキさせ続けられる子供たちを見るだけ
といった感じで、個人的には「同じシーンを何度も見せられている…」って気分になりました。

5. 総評

最初に書いた通り、今年の劇場版クレヨンしんちゃんは安定の「ぶりぶりざえもん」、強烈な個性を持った「ニセななこ」や「ブリーフ」など劇場版オリジナルキャラの描写が多く、例年の同シリーズ劇場版と比べても非常に出来の良い作品だったと感じました。
終盤のアクションシーン等、展開が分かっていても楽しめるところがあるので気が向いたら2度目を観に行くかもしれません。それくらい面白かったです。
4章で述べた残念に思ったシーンとかもあったんですがそれを差し引いても本筋の面白さがあるので、この記事をご覧になられた方も是非劇場へ足をお運びいただけると嬉しいです。

以上、下記に雑感を入れておりますが自分が感想として主張したかったことでした。
ここまで読んでくださった方々、ありがとうございました。

6.余談

上記に載せたかったんですがイマイチどこに挟もうか…?って悩んだ結果、書ききれなかった内容を以下に雑感的な感じで置いておきます。
主張したいこと…というよりは純粋な感想メインです。

OPにクレイアニメがなかった

劇場版の恒例行事だと思っていたんですが、珍しく無かったです。
姫がラクガキングダムの兵に追われながら、ミラクルクレヨンを地上に送る描写と共にちょこちょこスタッフロールが入るという形式でした。
特別好き!ってワケでもなかったんですが、なくなるとそれはそれでなんか物寂しさありますね…

駅で酔っ払って捕らえられたひろしについて

ひろしが駅の改札を出たところで「ラクガキをしてください!」と言われ、紙にペンで一筆書きしたところ「良しっ!」の声と共に連れていかれ、なぜかサトーココノカドーの子供用エリアに放置されていました。

…いや、何が「良しっ!」なのかも分からないし、そもそも連れていかれた割に放置されてるんだって話じゃないですか?w

あとから考えて「多分ラクガキさせようとしたけど泥酔状態で手が付けられなくてそのへんに捨てられたんだろうな」とかも思いついたんですが、それはそれでシーンを想像するだけシュールでした。

巨大ぶりぶりざえもんがラクガキングダムを空へ押し返すシーンについて

物語の締めへと向かう中での巨大ぶりぶりざえもんが人々をおたすけするシーンは、「ブタのひづめ」の終盤で上昇しきれなさそうな飛空艇を押し上げたシーンのセルフオマージュだったんだと思います。

「ブタのひづめ」の終盤で「これからは人助けをしようと思ったのに、もうダメらしい…」と一度は諦めながら消滅したぶりぶりざえもんが、ルーツが違う形になれど再び「人助け」をするために現れ、人々を救った…という事実に対し現在これを書きながらじんわりと感動しています。

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